予讃線を走る特急しおかぜ・いしづち号は、それぞれ岡山駅・高松駅を始発駅とします。途中の宇多津駅で連結・解結作業を行い、宇多津〜松山では同じ列車としての運行です。
2024年2月23日は三連休の初日やイベント開催日とあって、高松〜松山よりも本州〜松山の需要が高まります。そのため特急しおかぜ号の輸送力を増強するべく最初から両数を増やしています。
その代わりに高松〜松山間も特急で移動できるようにするべく、高松〜宇多津・多度津間で特急いしづち号を設定。特急しおかぜ号と乗り換えてもらう方式を採用しているのです。
こういった輸送方法は年末年始やお盆の時期に見られ、JR四国ではお馴染みの運行方法となっていました。
しかし、今回はかなり特殊な例。特急いしづち号ではまず使わないであろう、気動車特急が多く充当されたのです。
通常なら8000系・8600系電車特急での運行。普段では絶対に見られないディーゼル特急いしづち号の様子をご覧ください。
特急しおかぜ号といしづち号の連結・解結が行われている、宇多津駅に来ました。
まずご紹介するのは、宇多津駅〜高松駅で設定された特急いしづち8号。
松山から高松へ行きたい特急しおかぜ8号の乗客の、乗り換え先になる特急列車です。
そして、特急いしづち8号に充当されたのがこちら。なんと国鉄キハ185系でした!
普段は特急うずしお(高松〜徳島)、特急剣山(徳島〜阿波池田)、特急むろと(徳島〜牟岐)で運行しており、特急いしづち号に入ることはまずありません。電車特急の代わりに気動車特急が充てられるだけでも珍しいのに、まさかの一番古いキハ185系です。
通常ならヘッドマークが取り付けられるのですが、特急いしづち号は無いのでしょう。バックライトが剥き出しの状態になっています。
列車は3両編成で、3号車は自由席。
中間車両の2号車は特別車両「ゆうゆうアンパマンカー」が連結されています。
2号車は指定席車両なのですが、特別車両「ゆうゆうアンパンマンカー」である故、発売しておらず。自由席としても利用できないとのことで、この特急いしづち8号の輸送力は2両分となります。
行先方向幕には「特急 高松」が入っていました。
「特急うずしお 高松」ではない、汎用表示なのがポイントです。
入線から発車まで割と短かったため、早速車内へ。
今回は1号車の指定席を利用します。特急列車ながら今でもサボを使用している、かなり貴重な存在です。
1号車は半分指定席、半分自由席となっています。
指定席座席については、座席カバーが青いところです。
国鉄らしいクッション性のある、フカフカ座席。
背もたれが低かったり、テーブルが小さかったりと、時代を感じさせるポイントも多いです。
松山からの特急しおかぜ8号が遅れており、特急いしづち8号も接続のため遅れます。接続しなければこの特急を設定した意味がありません。
非常に開放的な国鉄車両の後面から、最新型電車8600系を見られる。こんな機会を得られるとは思いもしませんでした。
対面乗り換えで、松山・今治などから高松へ向かう方が、こちらへ乗り換えて来られました。
遅れているため最小限の停車時間で、どちらの特急列車も扉を閉めます。
完璧な並走を見せてくれまして、ピッタリくっつきながら宇多津駅を出発。
年季を感じさせるエンジン音を聞きながら、新型車両と一緒に走れました。
キハ185系いしづち号と、8600系しおかぜ号の並走発車!
国鉄エンジン音聴きながら新型車両ピッタリ張り付くなんて、こんなの最高すぎる…! pic.twitter.com/MwOhOl4vxL
— パスケース (@Pass_Case) February 23, 2024
相当じっとくっついているので、列車が固定していて周りの景色が動いているみたいな錯覚に陥ります。
しばらく線路が並行する区間を終え、特急しおかぜ号は高架をさらに上へ登っていきます。
JR四国チャイムから始まる車掌さんの放送を聞きつつ、特急しおかぜ号は瀬戸大橋へ向かって本四備讃線にお別れです。
線路が三角形を作るデルタ線となっており、今度は本州から高松方面へ繋ぐ線路が合流してきます。
程なくして最初の停車駅、坂出駅に到着しました。
この列車では使用されていない気になる特別車両、ゆうゆうアンパンマンカーを見に行ってみましょう。
通常通りの自動扉には、ゆうゆうアンパンマンルームで飲食しないよう案内が貼られていました。
室内へ入ると鉄道車両とは思えない、非常に開放的な空間が広がっています。
こちらは「プレイルーム」とされる区画で、靴を脱いでお子さんが遊ぶことができます…
ゆうゆうアンパンマンカーは土休日を中心とした繁忙期、特急うずしお号や特急剣山号に連結されます。
この特急いしづち号で「ゆうゆうアンパンマンカー」は営業していないので、プレイルームには鎖が掛けられていました。
2号車後ろ寄りに指定席があって、ここの指定席を取ったお客さんのみが、プレイルームに入れるシステムです。
先ほどの座席と比べてみても、かなりゆったりしていて快適そう。足元には大きなフットレストまで設置されています。
この「ゆうゆうアンパンマンカー」は、半分グリーン席・半分指定席の車両を改造し、指定席部分をプレイルームに改造した車両です。
一方でグリーン席はそのまま残されており、指定席として発売しています。国鉄時代のグリーン席に指定席料金で利用できる、鉄道ファン的にもかなり嬉しい列車です。
天井には高徳線などの駅名が、ひらがなで書かれていました。
車両端には車内販売の区画があって、この列車では黒いシートで被されていました。
その向かいにはベビーカー置き場と、記念スタンプが設置してあります。
対象外の列車でも設置されたままで、押そうと思えば押せそうです。
1号車寄りは通常通りでしたが、3号車寄りはアンパンマンのラッピングが施されています。
進行方向一番前の3号車は、全席自由席です。
キハ185系が走る区間では縁のない貨物列車、高松貨物ターミナル駅の横を通過します。
さらに高松運転所の横を通過しました。
今日は寝台特急サンライズ瀬戸が琴平延長のため、まだこちらにいませんでした。
回送列車として高松駅を出発する、2700系気動車とすれ違います。
終点の高松駅に到着しました。
この列車は折り返し、特急うずしお9号徳島行きとしての運行。車内では清掃作業が行われます。
特急うずしお9号では、ゆうゆうアンパンマンカー運転日において、キハ185系が使用されています。
今回の特急いしづち8号にキハ185系が充当されたのは、高松駅への送り込みにもちょうど良い時刻だったためでしょう。
側面の行先表示器は「特急うずしお 徳島」に変わっていました。
今度はゆうゆうアンパンマンシートの営業列車なので、プレイルームの鎖が外されています。
清掃作業が終わって扉が開くと、早速子供たちが遊ばれていました。
先頭と最後部には、アンパンマン仕様の特急うずしお号ヘッドマークが取り付けられました。
10:08、キハ185系は高徳線を走り始め、徳島へ向かって出発です。
続きまして、高松からの特急いしづち7号多度津行きをご紹介。
高松から松山へ行きたいお客さんは終点の多度津駅で、岡山から来る特急しおかぜ7号に乗り換えることになります。
改札内へ入りますと、琴平駅から戻ってきた寝台特急サンライズ瀬戸がいました。ここで折り返して、高松運転所へ帰っていきます。
サンライズが出発してお隣の6番線ホームには、特急いしづち7号多度津行きとして運行する、2700系気動車がやってきました。
この時点では特急しまんと号の幕を表示しています。
しばらくすると表示が一度消え、8600系で見るのと同じ「特急いしづち号」のヘッドマークが出されました。
四国最高峰の石鎚山をくっきりと描いていますが、この気動車特急でも全く違和感ありません。
側面についても「特急いしづち」。このこの赤い車両で見るはずがない列車名です。
普段の特急では存在しない行先の、「多度津行」もこの通りです。
しばらくするとお隣にも、折り返し特急いしづち9号多度津行きになる、8000系電車が入線してきました。
こちらの車両についても、「特急多度津行」と表示することができます。
日本一小さい県の香川県内で完結してしまう特急が、ホームで並んでいるという不思議な状況です。
その中でも気動車特急で運行される、2700系気動車の特急いしづち号へ乗り込みます。
写真ではLEDが切れてしまっていますが、「いしづち7号多度津行き」の案内が流れていました。
10:47 高松駅 発
8000系による多度津行き特急いしづちを横目に、同じ多度津行き特急いしづち号はディーゼルのエンジン音を立てて出発しました。
高松運転所にはさっき見たサンライズ瀬戸や、キハ185系も止まっています。
坂出駅に到着、こちらの発車標でも「特急いしづち7号多度津」の表示がありました。
そして瀬戸大橋から高松・松山両方向へ線路が分岐することで形成される、宇多津のデルタ線へ。
写真だと見づらいですが、瀬戸大橋から宇多津へ向かう、特急いしづち7号の姿を見ることができました。
宇多津駅に到着してしばらくすると…
お隣のホームに岡山から来た、特急しおかぜ7号松山行きが到着しました。
しかしこちらが停車する前に、特急いしづち7号は扉を閉めてそそくさと発車。
あと一歩のところで残念でした〜っと、逃げ切ったみたいな感覚です。
といっても、こちらの多度津行き特急いしづち号に乗り換える意味が無いので、接続する必要はありません。
程なくして丸亀駅に到着。宇多津駅〜多度津駅では、結果的にかなりの高頻度ので特急が発着していることになります。
列車はスピードを落とし、まもなく終点多度津駅の放送が流れました。
車内表示器は出口が左側と表示していますが、実際の出口は右側です。
多度津駅 着
アンパンマントロッコを横目に、2700系気動車の特急いしづち7号が到着しました。
正面には普通列車阿波池田行きが入ってきて、4番線ホームを空けろと言っていそう。
お客さんを下ろした2700系気動車は、すみません〜!っと後退りしていきました。
やっと空いたかと言わんばかりに、普通列車阿波池田行きが所定位置に停車。
松山駅が有名ですが、JR四国でよく見る縦列停車です。
程なくして宇多津駅で逃げ切った、特急しおかぜ7号松山行きが到着しました。
高松から松山へ行きたいお客さんは、ここで対面乗り換えすることになります。
繁忙期に見られる四国特急の運行方法、これまでは1本普段使わない車両を使ってるな程度だったのですが、今回はそのオンパレードでした。
ゴールデンウィークやお盆などそのような機会があれば、再びご紹介できればと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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