色んな種類の通勤電車や特急が走る近鉄では、ドア位置が合わないためホームドアの設置が困難でした。
唯一導入されているのが、大阪阿部野橋駅の3,4番線ホーム。
ロープ昇降式ホーム柵で、2018年に本格導入。近鉄で最初のホームドアとなりました。
そして鶴橋駅2番のりばでは2023年7月からホームドア設置工事が開始。
約2両分ではありますが、運用開始しています。
特急が発着するホームでは、近鉄初のホームドア。通勤車両と特急車両共に対応したロープ柵は、どのようになっているのでしょうか。
ホームドアが設置された、鶴橋駅2番のりばへ。
鶴橋駅の近鉄改札から階段を登った先、ちょうど正面にホーム柵がありました。
設置されているのは8両編成が停車したとき、後ろ7,8号車辺りの2両分です。
支柱はグレーをしており、あまり目立たない色合いになっています。
早速、実際にロープが昇降する様子をみてみましょう。まずは6両編成の通勤電車から。
列車が入線してくると、スピーカーから「2番線のロープが上がります」と流れてきます。
チャラチャラチャランとチャイムが鳴り、上部で緑色の光が点滅し、注意喚起していました。
ロープが完全に上がると、列車のドアが開きます。
ロープが降りる時は「2番線のロープが下がります」と流れ、チャイムが鳴ります。完全に降りきってから、列車のドアが閉まりました。
6両編成の通勤車両を基準にすると、1両あたり左側3扉と右側1扉の間に、1本柱が立てられています。
おそらくこの配置であれば、特急含め全車両の扉位置に合わせられるのでしょう。
6両編成の通勤電車だと、大阪上本町寄りのホーム柵が一つ分空いています。
おそらくここのロープ柵が昇降するのは、8両編成の特急だけと思われます。
続いて4両編成の特急車両では、どうなるのでしょうか。
特急はほとんど1番のりば発着ですが、大阪上本町駅始発の特急は2番のりば発着です。
4号車最後部にある扉が、ギリギリホーム柵に掛かっていました。
通勤車両3扉分の幅広いロープ柵が上がっており、ほとんど列車の停まっていない部分です。
ホーム転落を防止するため、駅員さんがこの辺りへ移動して注意を払っておられました。
ホーム柵の梁にあたる部分、特急のドア真上には四角い枠があります。
おそらく今後、特急の乗車位置を示す案内が表示されるのでしょう。
特急も同様に、ホーム柵が降りきってからドアを閉めていました。
それでは新たに設置された、ホーム柵を詳しく見てみます。
大阪阿部野橋駅にあるホーム柵は、ロープが赤色、帯が黄色に塗られています。
一方で鶴橋駅に設置されているのは、ロープが白色、帯がグレーです。色合い的に線路やレールと同化しており目立ちづらいので、今後テープなどで色が変わりそうです。
上部には先ほどご紹介した通り、緑色に点滅するライトと、乗車位置案内を示すであろう枠があります。
支柱の側面にはスピーカーと、非常開ボタンが設置されています。
万が一列車とホーム柵の間に閉じ込められてしまったら、このボタンを押せば外へ出られます。
柱にはホーム柵における、注意のピクトグラムが貼ってあります。
今度は反対側から、ホーム柵を見てみましょう。
今の所2両分だけ設置されており、ロープの幅は1:1:3:1:3のように見えます。
一番端を除き、「1:3」で通勤電車1両分のセット。
車両と車両の境目には、ドア・ホーム柵の開閉を示すランプが設置されています。
詳しくは分かりませんが、ランプの下には操作パネルっぽいものがありました。
車両の途中にある柱には、センサーが取り付けられています。
近赤外レーザー光を使って列車との距離や位置を検知しており、これでホームドアの開閉を安全に行います。
ピンクと水色のランプは、列車到着時に変化します。
列車が停止するまでは、ピンクと水色の◯が灯されていました。
ホーム柵が上がり切ると、水色の◯が×になり、ピンクが消えます。
ホーム柵が降り始めると、ピンクが点灯。
ホーム柵が降り切ると、×が水色の◯になりました。
ホーム柵を設置する時には、プラットホームがその重さに耐えられるよう、強化工事を行う必要があります。
設置済みの箇所については、もちろん既に補強が行われています。
まだ設置されていない所であっても、2番のりばには筋交いのような補強が入っていました。
ホーム柵の柱を設置する場所はこれまで通り、一方でロープ柵の部分はこれからも乗客が乗り降りするので、ホームが綺麗になっていました。
どうやらホーム柵設置に伴い停車位置が変わったようで、乗車位置案内のシール跡が見られます。
停車位置確認のシールも新しそうで、車掌さんが停車位置が正しいか確認する目印が、各特急ごとに設けられていました。
近鉄のニュースリリースによると、鶴橋駅1・3・4番線ホームにおいても、ホームドア設置の検討を進めるとされています。
中でも1番線ホームではその動きが顕著で、乗車位置案内や停車位置のシールが、新しく貼られた感じがありました。
3・4番のりばに関してはそこまではっきりした変化は感じませんでしたが、ホームの縁が整えられていたりと、これから動きがありそうです。
各方面へ特急が発着する鶴橋駅に導入された、昇降式のホームドア。特急ひのとりや観光特急しまかぜ等、もっと多種類の列車にも対応することになります。
今後展開したとき、どのような昇降を見せるのか非常に楽しみです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。