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【JR3社が1県に!】JR東海・東日本・西日本が集合する長野県を縦断・冬の大糸線[史上最長片道切符の旅(48)]

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今回のルート

名古屋〜糸魚川

 

JR旅客各社は、地域ごと6つの会社に分かれています。

各エリアの間には境界駅が設定されており、JR3社を持っている都道府県があります。

それは長野県です。この県は日本一多くの県と接しており、各方面への流動が見られるのです。

今回は、この3会社の在来線を行くことになります。



まずは名古屋駅から、JR東海エリアが始まります。

最初に乗車するのは、特急しなのです。

信濃の国から採られているとおり、名古屋〜長野を結びます。

 

0800 名古屋駅 発

名駅を代表する駅ビルのJRセントラルタワーズを筆頭に、大手私鉄の百貨店が横並びになっています。

夕方のようなオレンジ色の朝日を受けながら、名古屋駅を出発です。

 

名古屋といえば自動車のまち、中央本線を東へ行くと幅の広い道路を何度も越えていきます。

 

左手からは東海道本線と中央本線を結ぶ貨物線として建設された、第三セクター・城北線の高架が向かってきました。

小さな1両のディーゼル車が停まっているのは勝川駅、中央本線との乗り換えには500m程歩かなければなりません。

 

神領車両基地には当時デビュー前の315系が停車中。

現在では中央本線の顔として活躍しています。

 

名古屋から普通列車に乗ること30分ほど、お手軽な秘境駅として知られる定光寺駅・古虎渓駅を通過していきます。

駅の周りに家々はありますが、それでも十分自然を感じられる良い雰囲気が漂っています。

 

愛知県と岐阜県の県境、愛岐トンネルを高速で通過していきました。

向かいからはロングシートの通勤電車が走ってきます。



日本有数の猛暑地として知られる多治見駅。

旧セントラルライナーの313系8000番台と211系が連結する、格差普通列車と言われる組み合わせです。

315系のデビューで、これまで程頻繁には見られなくなりました。

 

リニア中央新幹線の岐阜県駅が設置される、美乃坂本駅を通過していきます。

 

中津川を渡りまして、その先にあるのが中津川駅。中山道の宿場町への玄関口です。

 

岐阜県から長野県に入り、最初の駅が田立駅になります。

 

列車は木曽川沿いを駆け抜けていきました。

木曽川は長野県から南下しており、犬山市より愛知県西側の県境を作り出します。

 

日陰になっている線路側には雪が残っていますが、街の方はかなり日が当たっている様子。



中央西線で一番の景勝地が、寝覚の床です。

特急列車内で通過前にアナウンスされることも。

浦島太郎が晩年、釣りを楽しんだという伝説があります。

 

木曽福島駅は中山道福島宿に位置し、木曽町の中心部です。すべての特急しなのが停車しており、かつては木曽福島機関区で蒸気機関車が行き交っていました。

 

カラフルな屋根にはみんな同じく、うっすら白い雪が積もっています。

 

383系電車は振り子を稼働させて、連続するカーブを走り抜けます。

 

松本盆地に広がる田畑では、冬には穢れのない雪原を作り上げます。

 

中央西線から中央東線へ、直接繋がる線路が分かれていきました。

 

これによって線路が三角形を作る、トラス線になっているのですが、その真ん中は留置線が分かれています。

 

中央東線が合流してきまして、塩尻駅に到着です。



0957 塩尻駅 着

駅名標を見ると、グリーンとオレンジのラインが描かれています。塩尻駅からは中央本線が続くほか篠ノ井線が分岐しますが、どちらもJR東日本エリアです。

 

引き続き乗車しまして、列車は塩尻〜松本〜篠ノ井を結ぶ篠ノ井線へ。

南松本駅には貨物駅が併設されており、四日市とは石油輸送が行われています。

 

1006 松本駅 着

横の車両基地には特急あずさのE353系が停車中。

 

ホームでは松本〜新宿を繋ぐ特急あずさと並びました。

 

松本市は県庁所在地の長野市と共に大きな都市。

いろんな広告看板が掲げられていて、新潟駅の万代口を懐かしく思わせます。

 

反対側はアルプス口であり、その名の通りアルプス山脈が広がっていました。



今度はJR西日本へ向け、大糸線に乗車します。

特急あずさは通常松本行きとして運行されますが、1日1往復だけ大糸線に乗り入れる、南小谷行きが走っています。

今回乗車するのは、そんな南小谷行きの特急あずさです。

 

12両編成でやってきた特急あずさ。後ろより3両を切り離して、ここから9両編成で大糸線へ直通します。



1041 松本駅 発

スキーシーズンということもあり、区画の半分が埋まる程度のお客さんを乗せています。

 

松本城の最寄り駅、北松本駅を通過して、梓川を走ります。特急あずさの名前はここから採られました。

 

大糸線は左手にアルプスの山々が続き、これが本当に素晴らしい景色です。

 

この区間は電化されているため架線柱が必要ですが、景色を分断してしまう電柱は右側に統一しています。

 

これによってアルプスの景色を存分に楽しめるのです。ここまで車窓を重要視している路線は無いでしょう。

 

信濃大町駅は富山方面へ繋がる、立山黒部アルペンルートの玄関口でもあります。

黒部ダムや大観峰などを経由する、厳しくも豊かな自然の中を行くルートです。

 

左手に広がっているのは木崎湖です。

逆さ足で有名な『犬神家の一族』の撮影が行われています。

 

列車は盆地から山岳地帯へと入ります。



凍って雪が積もった中綱湖には、カラフルなテントが立っていました。

そのテント内ではワカサギ釣りをしているそうです。

 

連続していた仁科三湖、最後は青木湖です。

これらは糸魚川静岡構造線上にある構造湖、地殻変動で地面が陥没し、水が溜まってできました。

 

スキーシーズンのみ停車していた臨時駅の、ヤナバスキー場前駅跡を通過。

2016年からすべての列車が通過していたのですが、2019年春正式に廃止されました。



世界有数のスキー場として知られる、白馬駅に到着。

新宿から来ていた夜行快速ムーンライト信州の終着駅で、スキー客輸送を担っていました。

 

この時もスキーに向かうお客さんがたくさん降りられ、外国人観光客の方もチラホラ見られます。

 

松川を渡りながら、アルプスの山々も空との境界が曖昧になりました。

 

途中、運転停車が行われた信濃森上駅、向かい側の線路やホームにはこんもり雪が積もっています。

 

列車は姫川に沿って急カーブをゆっくり走行、9両も繋いでいる特急あずさはその姿を車内からはっきり確認できます。

 

JR東日本の長野エリアでは、駅名標の背景に写真を用いたものを見られます。

長野駅であれば善光寺、豊科駅であれば犀川白鳥湖の写真です。



1156 南小谷駅 着

松本駅から1時間以上と割と長い時間走り続け、終点の南小谷駅です。

 

小さなお子さんもいらっしゃって、皆さんこれからウィンタースポーツを楽しまれる様子。

 

ここはJR西日本とJR東日本の境界駅、駅を管理しているのはJR東日本です。

 

北陸新幹線開業により並行在来線が第三セクターへ転換され、この2社の境界駅は在来線でここだけとなりました。



また、大糸線の格差を見せつけられる駅でもあります。

南小谷駅より南側のJR東日本エリアは電化されており、1日1往復とは言え特急あずさも乗り入れます。

一方で北側のJR西日本エリアは非電化、短いディーゼル車が走るだけです。

 

更に、JR西日本エリアの大糸線(南小谷〜糸魚川)は、輸送密度102人/日(2019年度)。存廃議論も行われています。



1207 南小谷駅 発

キハ120形は特急あずさとお別れしながら、エンジン音を響かせて走り出します。

 

架線が無くなるだけでも雪に埋もれた感は増幅し、まさに水墨画の世界です。

 

結構運休することも多いですが、土砂災害や雪崩から線路を守る、スノーシェッドも掛けられています。

 

この先姫川沿いを走り続ける大糸線、雪を吹き付けてデコレーションされた鉄橋を渡りました。

 

最初の途中駅、中土駅に到着。

駅名標を見てみると確かに青色で、JR西日本エリアに来たことを実感します。

 

進行方向右手を振り返ると、姫川第三ダム。

糸魚川静岡構造線が分断するこの地域、1982年の追加工事中にも断層が発見されるなど難工事だったようです。

 

列車は右手へカーブしながら、再び姫川を渡りました。



1221 北小谷駅 着

長野県内のJR西日本駅としては最北となる、北小谷駅で下車しました。

 

駅の構造は1面1線の棒線駅。南小谷方には道路が交差しています。

 

列車の本数は1日7往復、輸送密度に見合った本数と言わざるを得ません。

 

大糸線活性化協議会というのが存在し、その旗が立っていました。

この列車からは、他にも生活利用者の方が1人下車されましたが、1日あたり乗車人員は2人(2020年度)。状況の厳しさがはっきりと分かります。

 

大糸線は国鉄時代、線内で長野県最北の駅であるここまでが長野鉄道管理局でした。

しかし国鉄分割民営化の時は鉄道運行の特性に合わせて境界駅が設定されたため、長野県内にもJR西日本の駅ができることとなったのです。

 

雪原の中にぽつんとある小さな駅、その光景にピッタリとも言えるキハ120形が停まります。



1457 北小谷駅 発

2時間以上滞在しましたが、徒歩圏内に道の駅があるのでそこまで退屈はしません。

 

暫く姫川沿いを走行した後、列車は3125mに及ぶ真那板山トンネルへ。

 

その後姫川を渡ったことで県境を越え、新潟県に入りました。

 

新潟県に入って最初の駅が平岩駅です。

周囲に温泉があるためか、観光客らしい2人が降りていかれます。

 

確かに対岸には古そうな温泉街が見られました。

そして列車は姫川を渡り、再び長野県へ入ります。

 

長野県の自然をまだまだ味わわせながら、横川橋梁を越えて鎌倉山トンネルへ。

 

このトンネルを抜けた先で、正真正銘新潟県の鉄路となります。

 

小滝駅の周辺には住宅がなく、秘境駅として数えられます。ただし発電所があるので、文明はそれなりに感じられるようですね。



本数の少ない大糸線ですが、根知駅で列車の交換が行われました。

JR西日本の大糸線は全線単線。しかし根知駅は唯一の交換駅で、このように列車行き違いが可能です。

 

頸城大野駅周辺には小学校があって、駅は集落の中心部に位置します。

1日あたりの乗客は11人(2020年度)で、それ以外の駅が0〜2人なのに比べて段違いです。

 

糸魚川市の中心部が近づいてきましたが、便利な糸魚川駅を利用することもあって、こちらは道路に面した小さなもの。

 

その先糸魚川IC近くには、明星セメントの工場がそびえ立っています。有名な太平洋セメントの傘下にあり、その立派な様相は素晴らしいものです。

 

いよいよ北陸新幹線の高架橋が近づいてきました。

 

さらに、旧北陸本線のえちごトキめき鉄道・日本海ひすいラインと合流。



1545 糸魚川駅 着

えちごトキめき鉄道のホームを間借りしているような、4番線に到着しました。

 

今回は長野県を縦断するようにして、3社を乗り通してきました。特急列車からローカル線まで非常に特色ある行程となったのではと思います。

 

今回乗ってきた路線は全体的に車窓が良く、豪雪地帯となる冬の景色も非常に面白かったです。

特にJR西日本エリアの大糸線は厳しい状況ですが、再び乗ってみたいと思わせてくれるものでした。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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