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【完全に寝台特急】黒いかもめで行く787系グリーン個室乗車記/西九州新幹線で廃止![36ぷらす3長崎(6)]
こちらは長崎本線の終着駅、長崎駅です。 2020年に高架化されたこの駅では、西九州新幹線の開業に向けて着々と準備が進められています。 現在博多〜長崎を結んでいる特急かもめは、西九州新幹線 ...
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九州最大のターミナル駅、博多駅に来ました。島内を走る多くの特急列車が発着し、核ともいえる存在です。
今回乗車するのは特急36ぷらす3(月曜日ルート/金の路)長崎行きです。
JR九州は西九州新幹線開業後、36ぷらす3長崎行きの運行ルートを変更すると発表しています。これは並行在来線の長崎本線において、肥前浜駅~諫早駅の電化設備が撤去されるため。
最終運行日は2022年9月19日と発表されました。
新幹線と隣り合う6番線ホームには、黒く輝く車体が停車中。
今回利用するのは6号車のグリーン席です。
6号車には普通の列車とは異なる、ある特徴があります。それは、床が畳敷きになっているということ。
まずは車両の入り口で靴を脱ぎます。
暖簾をくぐって背中側には靴箱が並んでいますから、自分の座席番号のところへ靴を入れます。
靴箱に気づかず靴を持って入ってしまう人もいましたが、ここに入れられるのでお気をつけて。
畳敷きの車内はご覧の通り、和カフェ的な雰囲気が漂っています。
お座敷車両ではなく通常の座席が並んでおり、長時間の乗車でも疲れにくいです。
6号車ならば進行方向左手の1人掛けの方が、有明海を見られて良いと思います。
10:51に博多駅を出発しまして、長崎まで36ぷらす3の旅が始まります。
右側のホームでは、JR九州の社員さんが手を振ってお見送りしてくださいました。
新幹線の高架橋を横目に、お馴染みの36ぷらす3について紹介するアナウンスが流れます。
とりあえず座席周辺について見てみましょう。
やはり畳敷きですので、足元には開放感があります。
背面テーブルはありませんが、革張りのポケットが備わっていました。
36ぷらす3のロゴもついており、高級感を感じられます。
左側ひじ掛けには、広げると丸を4等分して2つ繋げた形になるインアームテーブル。
提供されるお弁当や軽食を置くくらいですから、デザインに重点を置いても問題ないかと思います。
この列車をデザインしたのはJR九州と言えばこの方、水戸岡鋭治さん。
天井に目を向ければ、水戸岡デザインの列車でよく見られる格子模様が用いられています。
灯り部分にも36ぷらす3のロゴと共に浮かび上がっていて、特別な特急であることを思わされました。
アテンダントさんから各車両で挨拶が行われまして、金の路のパンフレットを頂きます。
車窓案内や沿線の観光について解説があり、長崎行きが無くなればこのパンフレットも内容が変わってしまうはずです。
36ぷらす3は急がない特急列車なので、後続の列車を先に行かせます。
36ぷらす3の車両基地が隣り合う南福岡駅で早速の運転停車。
博多駅を4分後に発車する、特急白いかもめ17号に追い抜かれました。
太宰府天満宮のJR最寄り駅ということで、朱色で塗られた二日市駅にて少々停車。
この駅では佐藤栄作元首相が駅長を勤めたこともあるのです。
左手には筑豊本線が近づいてきました。桂川~原田は原田線と呼ばれ、ローカル線の扱いです。
原田線は0番線ホームから発着、1日6往復だけ走ります。
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列車は福岡県から佐賀県へ入りました。鹿児島本線は基山町と鳥栖市の一部分だけ、佐賀県を経由します。
基山駅にて今度は特急黒いかもめ14号と行き違い。車両は今乗っている36ぷらす3と同じ、787系です。
この辺りで予約していたお弁当が手渡されます。
包まれている36ぷらす3の風呂敷は、持ち帰っても大丈夫です。
2段になっているお弁当を開くと、いかにも高級そうな品々が並んでいます。
こちらが『世界を旅するフュージョンBOX』のお品書き。
フランス料理をベースとしていますが、西九州の素材をふんだんに用いています。
牛ホホトリュフ風味やタコ等、こんなに柔らかいのか!と気づかされる美味しさです。
お弁当箱回収の時、アテンダントさんに感想を聞かれるので、陰キャ鉄オタの方々は心して(笑)
九州の南北と東西の分岐点、鳥栖駅で運転停車を行います。
ここでは金ぴかの豪華絢爛な『或る列車』に追い抜かれました。
この日は博多発由布院行きだったので、この先久留米駅から久大本線に入ります。
かつて鳥栖機関区や鳥栖操車場などもあって広大な用地を持っていた鳥栖駅。その跡地に建てられたのが、サガン鳥栖のホームでもある駅前不動産スタジアムです。
ここで鹿児島本線から分かれまして、長崎本線に入ります。
九州新幹線の高架と直交しまして、新鳥栖駅を通過。
西九州新幹線が全線開通した暁には、ここから長崎方面へ分岐すると想定されています。
右手に注目していると日本最大の弥生遺跡、吉野ヶ里遺跡が見られます。
狙ってないと見逃してしまうぐらいですが、吉野ヶ里公園駅の先という目印があるので分かりやすいかも。
列車は広々とした佐賀平野を駆け抜けていきます。
佐賀県の南側は平野がほとんどで、視界が非常に開けていました。
12:07、佐賀駅に到着です。
13分間の停車時間があり、ここから乗車することもできます。
佐賀駅には1987年に廃止された、佐賀線のホーム跡が残されています。
ここから鹿児島本線の瀬高駅を結んでおり、昇降式の鉄橋が有名です。
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ホーム上ではスタンプを押すことができます。絵柄はバルーンフェスタと恵比寿像です。
佐賀県は日本一恵比寿像の多い都道府県で、ホーム上にもいらっしゃいました。
佐賀駅では特急ハウステンボス/みどり10号に追い抜かれます。
この列車はハウステンボス・佐世保へ走る特急列車。西九州新幹線開通後の36ぷらす3は、こちらになるのではと考えられています。
12:20、佐賀駅を出発しました。
3号車のビュッフェ車両でバニラアイスとホットコーヒーを買ってきました。
コーヒーメーカーから抽出するもので、温かな香りと共に楽しめます。
佐世保方面との分岐点、肥前山口駅で運転停車が行われます。
この駅は最長片道切符のゴールとしても有名ですが、西九州新幹線の開業と共に町名の江北駅に駅名が変更されます。
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ここで特急白いかもめ19号に追い抜かれました。
佐賀平野の中をカーブして塩田川を渡る手前には、撮り鉄さんもいらっしゃいました。
13:04肥前浜駅
肥前浜駅はおもてなし停車の駅に設定されており、1時間ほど停車します。
ここでは駅前の肥前浜宿を案内していただく、町並みガイドがあるのです。
「玉の香」と書かれた煙突は元々酒蔵で、今は酒屋さんの建物になりました。
肥前浜宿は長崎街道の脇街道から、酒蔵通として発展したのです。
左手前の建物は、手紙を一旦ここにおいて飛脚に引き継ぐ継場でした。今でいえば郵便局や、宅配便の集積所などに当たります。
こちらは伝統的建物を活かした宿泊施設『茜さす 肥前浜宿』です。
『茜さす』は歴史的建造物を活用したJR九州による新たな宿泊ブランドで、ここに暮らしているような体験ができます。
重要伝統的建造物群保存地区にもなっているレトロな街並みを楽しめて良かったです。
肥前浜駅の駅舎は2018年、昭和5年の形に復元されました。
駅舎内には日本酒バー『HAMA BAR』も入居しています。
駅前にはマルシェが開かれ、様々な物品が販売されています。
嬉野抹茶ラテや祐徳せんべい等試食も出来まして、この地域の魅力が詰まっています。
買い物も終えまして、そろそろ車内へ戻りましょう。
6号車最後部には、このような畳敷きのフリースペースがあります。
暖簾をちょっとずらさせてもらうと、後面展望も楽しめました。
13:58、1時間近くの停車時間を終えて肥前浜駅を出発します。
肥前飯田駅で特急白いかもめと行き違い。丁度良いカーブを走り抜けていきました。
多良駅で今度は普通列車と行き違いです。
肥前浜~諫早は新幹線開通後電化設備が撤去されるため、このような電車が来ることは無くなります。
列車はいよいよ有明海沿いへ。ドロっとした特徴的な海の様子をすぐ下に見られます。
列車は佐賀県から長崎県に入りました。
並行する道路にはフルーツの形をしたバス停が並んでおり、メロンのバス停などフォトジェニックスポットとして有名です。
島原半島が見えるカーブに差し掛かると、列車は徐行してくれました。
あちらの山は雲仙普賢岳、有明海の向こう側にどっしりと構えます。
このような徐行は2022年にデビューする新特急ふたつ星4047でもされると思いますが、特急かもめで駆け抜けていく経験も共に大切にしたいです。
15時ごろから4号車マルチカーで、金の路についてスライドで紹介されます。
パンフレットにも書かれた7つのエピソードについて、詳しく解説して下さいました。
島原方面と大村方面、南北の分岐点でもある諫早駅で運転停車。
ここには西九州新幹線の駅も設置され、それに合わせて駅も新しくなりました。
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喜々津駅から長崎本線は二手に分かれます。
特急はトンネルで山を一直線に走る、新線と呼ばれるルートです。
そんな山の中にある小さな現川駅で運転停車、特急かもめと行き違います。
そして、九州の在来線で最長の6kmに及ぶ長崎トンネルへ。
トンネル内には肥前三川信号場があって、ここで行き違いが行われる列車もあります。
トンネルを抜けると長崎市街地となりました。
2020年に高架化された浦上駅を通過、この辺りには平和祈念公園や浦上天主堂があります。
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新幹線ホームと隣り合う高架駅の長崎駅へ入線します。
ちょうどお隣には白いかもめ885系が停車中でした。
何度も追い抜かれて今やお馴染みの顔です。
15:38 長崎駅に到着。
在来線特急の2倍ほど時間を掛け、沿線の魅力を感じながらやってきました。
最後にコンコースで長崎駅のスタンプを押します。
伝統的なお祭りの「長崎くんち」がデザインに採り入れられていました。
また、お土産として茹で干し大根もいただきます。
36ぷらす3は九州を一周する特別な列車であり、それが長崎に来られなくなるというのは、かなりの出来事に感じます。
新幹線開通という出来事を控え、鉄道の歴史の転換点にいるということを実感させられました。
最終運行日は9月19日、ぜひそれまでに乗車してみてください!
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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