前回は大阪駅の廃止になったプラットホームを解説しました。
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大阪の改造によって廃止されたプラットホームを見る【うめきた 前編】
大阪駅の駅前には大変広大な空き地があり、数年前まで梅田貨物駅というでした。 貨物駅を大都会の中心部におくことは時代に合わなくなってしまったため、大阪の各駅に機能が散りばめられることになりました。 梅田 ...
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今回は梅田貨物駅の周りを一周し、これから変化していく大阪駅周辺のご紹介です。
大阪駅に入っていくJR線に沿って工事が行われており、多くの工事車両が集まっています。
これは、大阪駅が大きく進化しようとしているところなのです。
この周辺の地図を簡単に示しました。
まずは東京方面から新大阪、大阪を経由し、神戸に向かう東海道線があります。これは多くの人が利用するJR京都線やJR神戸線の愛称で知られている路線です。
それとは別に、東京方面から大阪駅を経由せずに大阪環状線へ抜けるために作られた梅田貨物線という路線があります。つまり、梅田貨物線を通せば東海道線から大阪環状線へ列車を直通させることが出来るのです。
また、黄色で示したところにあった梅田貨物駅に貨物列車を通すため、そして大阪駅に貨物列車を入れないで済ませるための路線として活躍していました。
現在では梅田貨物駅は廃止され、その役割は桜島線の安治川口などへ移されました。そのため、大阪駅から少し離れたところにある線路を特急が通過するのみとなっています。
大阪駅からこれらの列車に乗れたら…という願い。それを叶えるための工事が現在進んでいるのです。
現在、梅田貨物線が走っているのは点線部分。これを大阪駅のすぐ近くまで移動させ、大阪駅の地下ホームが作られようとしています。東京駅の総武線ホームのようなイメージです。
2023年にはこの地下ホームが完成する予定。大阪駅から特急はるか等に乗れるようになります。
さらに、この地下ホームから難波方面へなにわ筋線がという路線ができる計画もあります。現在利用客の少ないJR難波駅が急に便利な路線となる未来が来ている所です。
話が逸れますが、ここには阪神高速道路の入り口があります。
駅の近くに高速道路の入り口があるのは不思議なことでは無いのですが、いざ目の前にして見てみると違和感が否めません。
そんな高速道路の入り口があることから分かるように、このあたりは交通量が多いところです。
梅田貨物線を地下化し、大阪駅のひとつとなるのは交通の阻害になるのを改善するためでもあります。
梅田貨物駅を挟んで大阪駅と反対側に来ました。
あれだけ大きな大阪駅が小さく見え、どれだけ貨物駅が広かったのかがよく分かります。
この梅田貨物線を特急くろしおや特急はるかが通過していきます。
大阪駅をこれらの列車が通らないのはこのように別の場所を走っているからだったのです。
そんな広大でありながら何も高い建物が建っていないおかげで、大阪駅からも目立っていた梅田スカイビルが目の前に現れました。
このビルには展望台もありますので、大阪駅周辺を見下ろすのには最適です。
というわけで、梅田スカイビルの展望台から大阪駅方面を見下ろしてみることにします。
展望台は大人1500円、4歳〜小学生700円と結構な料金でした。
梅田という都会のど真ん中ですから仕方ないですがね。
展望台まで来ましたが、更に上の屋上まで行けるようなので、先にそちらへ行ってみます。
見えてきたのは大都会梅田の景色。
青空とは言えず、ぼんやりとした視界ではありますが、なんとなくこのビルの高さが感じられるものです。
また、南を見ると高層ビルが林立しているのにも関わらず、
南の方は低くなっていることも分かります。
これは伊丹空港がこちらの方面にあるためなのですが、こんなことがはっきりと分かるのも面白い所です。
さて、先程阪神高速道路の入り口部分をご紹介しましたが、その先には不思議なところがあります。
何と高速道路がビルを突っ切っているんです。
これはビル建設と阪神高速道路の計画がぶつかったため。結構有名でテレビなどでも紹介されていました。
さて、大阪駅の方を見ようとしたのですが転落防止用の柵などがあって見づらかったので展望フロアへ戻ることにします。
こちらが本題の梅田貨物駅跡です。
左奥には大阪駅が見え、あれだけ大きなはずなのにも関わらず、小さくさえ見えます。
いかに梅田貨物駅が広大だったかがお分かりでしょう。
大阪駅の目の前ではちょうど梅田貨物線の地下区間が工事中だということがはっきりと分かります。
おそらく列車が通る四角い筒状のものが入れられ、上から蓋がされている所です。
更地となった梅田貨物駅跡の横を蛇のように走る特急列車。近い将来、大阪駅の仲間入りをすることになります。
地上に戻ってきました。ここからは中津駅の方向へ歩いていきます。
国道176号線、そして阪急神戸線の高架下辺りまで来ました。
轟音が響き、薄暗い中に落書きなどもあってかなり不気味なところです。
そんな高架下ですが、ぜひ見ておきたい珍しいものもあります。双頭レールも呼ばれるものです。
こちらは使えなくなった線路をフェンスとして再利用したのですが、それを切り取ったのだと思われます。
現在使われている線路は上下が決まっています。
しかし昔は線路を取り替えるお金を節約するために、片面がすり減ったらひっくり返して再利用していたのです。
そのため、このように上下の形が同じになっています。
この方式を採用していたのは鉄道草創期の頃だと思われますから、解説される価値があるものです。
梅田貨物線に沿って歩き、中国街道架道橋までやってきました。線路と道路が交差するところです。
ちょうどここに工事の解説がなされていました。
梅田貨物線ちょうど仮線への切り替えがされたところでした。
つまり、少し前までは梅田貨物線が赤線のところを通っていたということです。
反対側から見ると柱部分の鉄骨の様子を見ても仮設感が感じられます。
線路の反対側へまわった所で、ちょうど特急はるかがカタコトと通過していきました。
折返し大阪駅方面へ向かいます。
先に来ました阪急のガード下まで戻ってきました。
踏切があるのですがまだ通れるようにはなっておらず、作動はしていませんでした。
相当きれいで新品に見えましたが、踏切は作れない法律があるように記憶しているのですが…?
将来的には地下になる区間だと思いますので、業務のためだから良いのでしょうか?
昔は鉄道用地だったところにはセレブ感満載の建物が立ち並びます。
大阪駅前という立地にふさわしいだけど威厳です。
梅田貨物駅跡の一周を終え、大阪駅に戻ってきました。
2011年に生まれ変わった大阪駅、今後さらに便利になることでしょう。大阪駅が変貌する様子を目の前で見られるのはとても面白いものでした。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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