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【九州最長普通列車】熊本発門司港行き区間快速 4時間15分鹿児島本線の旅[2312いしづち(3)]
熊本城の石垣をイメージした黒い駅舎、12月の雪がちらつく熊本駅です。 九州新幹線が開通してから、在来線の鹿児島本線は地域内輸送がメインに。 その中で1日1本、熊本駅から北九州市の門司港駅 ...
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北九州市から大分、宮崎を経由して、鹿児島中央へ至る計画の東九州新幹線。
その中でも大分までの誘致運動が盛んであり、日豊本線ルートの他に久大本線ルートも提案されている程です。
全国新幹線鉄道整備法における基本計画線では、「福岡県福岡市を起点とし、大分市付近、宮崎市付近を通り、鹿児島県鹿児島市を終点とする」ことが示されています。
これに基けば山陽新幹線の博多〜小倉は、東九州新幹線との共用区間。捉え方によっては東九州新幹線は一部開業していることになります。
2022年秋に開業した西九州新幹線は、博多〜武雄温泉で特急リレーかもめ、武雄温泉〜長崎で新幹線かもめを乗り継ぐ形です。
今回はそれに似ている形で、博多〜小倉で山陽新幹線、小倉〜大分で特急ソニックに乗車。東九州新幹線を体験してみることにします。
博多駅在来線ホームには、特急ソニック17号が停車中。
特急ソニックは博多〜小倉〜大分を結んでおり、山陽新幹線が並行していながら在来線特急一本で行くことができます。
しかし、今回はあえてこれを乗り過ごしてみました。
山陽新幹線と特急ソニックを乗継ぎ、博多から大分まで最速手段のご紹介です。
特急ソニックを見送った後は、新幹線ホームへ。
博多駅は在来線はJR九州ですが、新幹線はJR西日本の管轄となります。
JR九州は白を基調としているのに対し、JR西日本は黒を基調にしており、その境目が結構分かりやすくて面白いです。
博多駅12番線ホームより、のぞみ24号東京行きに乗車します。
お隣には6両編成の九州新幹線800系が停車中です。
山陽九州新幹線の直通便は8両編成となっており、現在6両編成の西九州新幹線も、全線開通して山陽新幹線直通開始されたら、車両運用効率化も考えて8両になるかもしれません。
東九州新幹線もこれに合わせられるでしょうか。
11:15 博多駅 発
特急ソニック17号が発車してから15分後、追いかけるようにして博多駅を出発しました。
吉塚駅には先ほど見送ったのと同じ、885系電車が博多方面を向いています。
東九州新幹線が建設されるとしたら整備新幹線として建設予定、その場合は最高速度260km/hに抑えられます。
一方で、博多〜小倉を含む山陽新幹線の最高速度は300km/h。あっという間に整備新幹線を凌駕する高速域に達しました。
海岸線沿いを行く鹿児島本線に対し、山陽新幹線はトンネルで山を貫きます。
スピードが速いだけでなくルートを短絡する、新幹線ならではの利点です。
小倉〜博多は新幹線駅ひと区間なので、自由席特急料金は990円。そのためこの間で新幹線を利用する方も非常に多く、自由席車両は全区画埋まっています。
新幹線駅ひと区間の中でも、しっかり最高速度ギリギリまで速度を上げます。そのおかげで両都市間を僅か15分で結んでくれるのです。
北九州市街に入りまして、大分へ向かう日豊本線の分岐駅、西小倉駅を見下ろします。
バラストに雪がまぶされている、小倉益に到着です。
11:30 小倉駅 着
やはり小倉駅で下車される方が非常に多く、政令指定都市間を15分で移動できる利便性の高さを、たくさんの方が享受しています。
小倉駅は2面4線の島式ホーム構造です。
ここから大分へ線路を伸ばすのに、分岐を新大阪側にするのか、博多側にするのか議論されるところ。
もし新大阪側に分岐を作ったら、博多から大分への新幹線は普通に走らせられますが、新大阪から大分への新幹線が小倉駅で進行方向を変えなければなりません。
これは逆も然りで、大分から博多と大阪どちらへの流動を重視するか、決断する必要があります。
小倉駅で特急ソニック大分行きへ乗り換え。
階段を降りまして、在来線のりかえ改札を通ります。
西九州新幹線のような対面乗換ではなく、普通の乗換。
階段を登ったり降りたりで、それなりの時間は掛かります。
在来線ホームに来ると奥には、先ほど見た白いソニックに対するもう一つの車両、青いソニックがいました。
あちらはグリーン車の運転席後ろにパノラマキャビンがあって、130km/h走行での展望を楽しむことができます。
博多駅で見送った特急ソニック17号がやってきました。
このように博多駅で特急ソニックに乗り遅れても、後続の新幹線に乗れば追いつけてしまいます。
鹿児島本線から日豊本線へ入るのに、特急ソニックはここで進行方向が変わります。
車内へ入るとカウンター付きの広いデッキがあったりして、乗るのが楽しくなる列車です。
11:42 小倉駅 発
12分乗り換えで、小倉駅を出発していきました。
先ほど見下ろしていた西小倉駅を通過しまして、日豊本線へ。鹿児島本線や新幹線の高架から離れます。
白いソニックは4〜6号車、青いソニック4〜7号車が自由席です。
今回はこちらを利用しましたが、小倉駅発車時点で全区画埋まるくらいでした。
この時は九州でも雪が降っており、いつもと違った雪景色が単純に美しいです。
特急ソニックには停車型と速達型が交互に運行されており、この便は速達型の中でも最も所要時間が短い便です。
東九州新幹線になったらある程度駅数を絞ることになるので、これまで特急が停車していた駅周辺に新幹線駅が出来ないことも多々出てきそうです。
大分まで日豊本線の最高速度は130km/h、GPSなので正確ではありませんが、ギリギリまでスピードを出してくれています。
今回乗車している885系電車は振り子装置を備えており、車体を傾けることでカーブでも速度を落とさずに走行可能です。
豊前市は周防灘の埋立地に形成された工業地、奥には火力発電所も見られます。
山国川を渡りまして、福岡県から大分県へ入りました。
駅前アーケードの丸い屋根を見つつ、中津駅に到着です。
ホーム上に「日本一長い鱧(ハモ)の椅子」があることでもお馴染み。ハモ料理が郷土料理であることにちなみ、駅名標にもハモの絵文字が描かれています。
中津駅到着前には記念館の広告放送が流れるのですが、福沢諭吉の故郷でもあります。
駅館川によって作られた宇佐平野を最後に、まもなく山の中を貫くことに。
左手には突如ハリウッドの山が現れ、USA駅を通過します。
西屋敷駅を通過すると、日豊本線は二手に分かれます。
これから立石峠を越えるのですが、今走っている下り線から上り線が離れていきました。
そして列車は立石トンネルへ突入します。
日豊本線の峠区間が開通したのは明治時代、当時長いトンネルを掘削する技術がありませんでした。そこで複線化に際して追加の一本は、長大トンネルで山を貫くことにしたのです。
トンネルを抜けて小倉方面の線路が近づいてきたところ、立石駅が設置されています。
まだ完全に合流しきっていないので、上りホームと下りホームが少し斜めに離れているのが特徴です。
ここからひと区間は複線化されておらず、単線区間になります。
中山香駅を通過し、ここから再び複線へ。
しばらくは上下線同じところを並走していきます。
まっすぐ山へ挑む小倉方面の線路に対し、大分方面の線路がそこから離れていきました。
今度は大分方面の下り線が古い線路で、山を迂回しつつカーブを走ります。
上下線一緒になって戻った頃、正面には大分空港道路が構えています。
大分空港は大分市街地からバスで60分とかなり不便、ホバークラフトで海上輸送も開始しますが、関西圏〜大分において東九州新幹線は航空機に対してシェアを獲得できそうです。
この列車は杵築駅も通過する便、中津〜別府ノンストップとなっています。
丸い国東半島付け根の山を越え、別府湾沿いまで来ました。
港にはフェリーさんふらわあが停泊中です。
大阪から大分を結んでおり、ゆったりした船旅を満喫できちゃいます。
温泉地で有名な別府市ですが、県第二の町として市街地も発展。奥には別府タワーもいました。
向かいには、クルーズトレインななつ星in九州が停車中です。
別府から大分は近いですが、おんせん県おおいたのメッカでもあり、観光需要を考えたら別府市にも間違いなく新幹線駅が設置されるでしょう。
日豊本線の中でも景色の良い区間、別府湾沿いを走っていきます。
終点大分駅到着を前にして、石丸謙二郎さんによる大分名物の案内放送が流れるのもお馴染み。「りゅうきゅう」という魚の切り身を醤油ベースのタレで和えた、大分の郷土料理が紹介されています。
別府湾を挟むようにして、別府市と大分市が並んでいる様子も。
通過する西大分駅には、貨物駅が併設されています。
東九州新幹線は整備新幹線としての建設と考えられるため、並行する日豊本線はJR九州から経営が切り離されます。
小倉〜大分は普通列車でもお客さんがそれなりに乗っているため、おそらく第三セクター鉄道として存続。日豊本線では貨物列車が走っているので、肥薩おれんじ鉄道と同様の形になりそうです。
大分市は人口47万人を有する、九州を代表する都市。
その中心部へ高架線によって到着していきます。
13:01 大分駅 着
博多駅から新幹線と特急ソニックを乗り継ぎ、1時間46分で大分駅まで到達できました。
東九州新幹線鉄道建設促進期成会が2016年に発表した東九州新幹線調査欠陥によると、小倉〜大分の所要時間は31分。ここから推測するに博多〜大分は50分未満で結ばれると思われます。
大分駅から先は具体的な新幹線誘致運動が行われていません。もし東九州新幹線が大分駅まで来たら、ここで特急にちりんへ対面乗換できるようになるかもしれません。
また、豊予海峡にトンネルや橋を架けて九州と四国を結び、四国新幹線と繋げる構想もあります。
大分を取り巻く新幹線計画は様々で、一鉄道ファンとしてはかなり期待が高まる場所です。
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東九州新幹線を一部使うようにして、博多から大分までの最速ルートでした。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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