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本州と四国を繋ぐ唯一の鉄道橋である瀬戸大橋。岡山から四国各都市への列車が数多く行き交っています。
その中で徳島へ行く特急うずしお号は、高松〜徳島での運行が基本。岡山発着の便は1日2往復だけです。
岡山から徳島までの運行経路はこの通り。将来四国新幹線が徳島まで開通した場合、これに並行するようなルートが想定されています。
一方で最大の移動需要である徳島〜大阪を考えると、非常に遠回り。現状では岡山駅で山陽新幹線から特急うずしおに乗り継いでも、高速バスの方が所要時間が短いレベルです。
岡山駅から一本で徳島駅まで連れていってくれる、特急うずしお13号。その存在意義にも注目しながら乗車してみることにしました。
特急うずしお13号は、8番線ホームに停車中。
こちら2700系気動車は岡山〜高知を結ぶ特急南風でも使用されており、この車両が岡山駅に来ること自体は珍しくありません。
しかし、徳島県のシンボルとも言える鳴門の渦潮が表示されており、これを岡山駅で見られる機会は少ないです。
ここで発車標を見てみると「特急南風・うずしお 高知・徳島行き」と表示されています。
岡山発着の特急うずしお徳島行きは全て、岡山駅〜宇多津駅で特急南風高知行きと連結して走ります。
繁忙期は増結すると思われますが、この時は前寄り3両が特急南風7号高知行き、後寄り3両が特急うずしお13号徳島行きでした。
グリーン車は特急南風だけで、特急うずしおにはありません。
また、特急南風7号はアンパンマンシ列車で運行されており、前寄り2両がラッピングされていました。
お隣のホームには、津山線のキハ47が到着。国鉄時代からのタラコ色気動車を、徳島行き特急越しに見られるとは、鉄道ファン的に嬉しい光景です。
それでは軽く車内をご紹介します。
今回充当された2700系気動車は、2019年に特急うずしおでデビューした新しい車両です。
座面も前方にスライドするリクライニング機構で、長時間の乗車でも非常に快適となっています。
普通車でも全座席の肘掛けにコンセントが設置されました。
乗車日は土日で指定席を確保したのですが、直前では窓側がほとんど埋まっていました。逆に自由席はガラガラだったため、利用率としてはあまり良くなさそうです。
うずしお13号の停車駅に、「児島・宇多津」が流れるのは数少ない機会となります。
11:05 岡山駅 発
津山線のノスタルジー車両を横目に、岡山駅を出発しました。
特急南風にアンパンマン列車が連結されていたため、まずはアンパンマンによる自動放送。続いて車掌さんによる肉声放送が流れます。
今走っているのは宇野線、特急は路線最高時速100km/hギリギリの速度で走っています。
また、線路の両側で用地確保が困難なため、ほとんどの区間が単線です。
2009年に早島〜久々原で複線化が行われ、ちょうど早島駅で反対の普通列車とすれ違いました。
四国特急だけでなく、岡山都市圏の通勤電車も行き交う単線区間。複線化されたのはひと区間ですが、駅で停車しての交換待ち合わせが必要なくなっています。
茶屋町駅を通過しました。
ここから列車は四国方面へ向かうため、本四備讃線に入ります。
宇野線の線路は右へ分岐し、高架下をくぐって左へ離れていきました。瀬戸大橋開通以前は終点の宇野駅から高松駅を結ぶ、宇高連絡船が本州〜四国の輸送を担っていました。
最初の停車駅、児島駅に到着。
ここでJR西日本からJR四国へ乗務員さんが交代です。
ジーンズの街として非常に有名で、エレベーターの壁面などにもジーンズ柄が採用されています。
児島駅を出発すると程なくして、瀬戸大橋を走り始めました。ここで自動放送による瀬戸大橋の案内が流れます。
この瀬戸大橋は今走っている在来線の外側に、新幹線を通せる設計で作られました。いつかこの橋を新幹線が通り、四国各都市まで至る未来が来てほしいです。
瀬戸大橋は途中いくつかの島々を経由しており、こちらはその一つである与島です。騒音問題のため速度を落として走っているため、新幹線開業時には防音壁など更なる対策が必要になるはずです。
現在新幹線は走っていないため、線路などの代わりに重しが設置されています。これによって橋のバランスをとっているそうです。
さて、こちらは特急南風と特急うずしおの連結部です。そろそろ解結の準備がなされる頃で、この間の扉が閉められます。
列車は四国の地へ足を踏み入れましたが、高松・徳島へ向かう線路は左へ離れていってしまいました。
今走っているのは高知・松山へ向かう線路、さらに向こうからは高松〜松山を結ぶ線路が近づいてきました。
これら3本の線路によってデルタ線が形成されています。
四国に入って最初の停車駅、宇多津駅に到着しました。
ここまでやってきたのは特急南風7号の解結作業を行うためです。
乗車列車の間違いを防ぐため、前が高知行、後が徳島行きと案内がされます。
そして特急南風7号高知行きが先に発車していきました。
特急南風を切り離すため、宇多津駅に寄ったうずしお13号徳島行き。
ここで進行方向を変えて宇多津駅を出発です。
しばらく後ろ向きで走りますが、結局高松駅で再び進行方向が変わるので、座席回転はしないままとなります。
今度は松山〜高松を結ぶ線路を走っていて、左側からは岡山〜高松を結ぶ快速マリンライナーが走る線路が近づいてきました。
基本的に全ての特急列車が停車する坂出駅ですが、特急うずしおは全て通過します。
おそらく今回の場合、坂出駅11:52着の快速マリンライナーがすぐ後ろに迫っており、ホームにも余裕がなく停車していられないのだと思われます。
予讃線の最高速度は130km/h、多度津〜高松に関しては複線化もされています。
丸っぽい山がいくつか見られるのも、香川県らしい景色のひとつに思います。
四国桃太郎貨物駅の愛称が付けられた、高松貨物ターミナル横を通過。四国島内の貨物列車は、高松貨物ターミナルから松山貨物駅と、瀬戸大橋の線路だけを走っています。
さらに予讃線の上下線を挟むようにして、高松運転所が見えてきました。
JR四国バス高松支店も隣接していて、大型バスまで停まっています。
また、寝台特急サンライズ瀬戸号もここでお休み中でした。
高松から走ることになる、高徳線が近づいてきます。ここから行き止まり式ホーム構造の、高松駅に到着です。
12:03 高松駅 着
岡山駅から高松駅の所要時間は58分。
最速達の快速マリンライナーより遅く、4分後に快速マリンライナー25号が到着するため、高松駅で下車される方はほとんどいらっしゃいませんでした。
かつて高松港から来たお客さんを迎えるターミナル駅だったため、行き止まり式のホーム。特急うずしお13号はこのまま徳島駅へ向かいますが、再び進行方向を変えます。
12:05 高松駅 発
今回乗車している特急うずしお13号は、高松〜徳島59分で最速達便です。
所要時間1時間を切っているのは、下り13号と上り22号だけ。どちらも岡山発着便になります。
架線柱が立っている複線の予讃線から離れ、非電化路線の高徳線を走り始めます。
高松市の観光名所としても知られる、栗林公園を高架から眺めつつ通過。
高松琴平電気鉄道琴平線と立体交差します。高松から金刀比羅宮がある琴平までは、こちらの私鉄が便利です。
高松市の中心市街地は、高松駅から南へ1.5kmの高松琴平電気鉄道の瓦町駅周辺です。
そこからさらに南へ500mほど、栗林駅に到着しました。
四国新幹線が開業した場合、高松市内の駅として栗林駅周辺が一つの候補地になっています
特急うずしお号は停車パターンが様々ありますが、今回乗車したのは最速達便。
最速達便の特急うずしお以外全列車が止まる、屋島駅も通過しました。
2700系気動車は制御付自然振子装置を採用しており、車体を傾けることでスピードを保ったままカーブを通過できます。
ディーゼル特急ながら最高時速は130km/hであり、在来線特急としての本気を見せてくれるはずです。
さぬき市の中心駅である、志度駅に停車。
先に到着していた、特急うずしお12号と行き違います。
志度駅の近くには徳島文理大学香川キャンパスがあるのですが、2025年4月に高松駅横へ移転します。JR四国の交通結節点がアクセス駅となれば、列車による通学利便性が向上し、JR利用者の増加も見込まれます。
程なくして、オレンジタウン駅を通過します。
近くにはJR四国グループよんてつ不動産が開発したオレンジタウンがあり、1998年に開業した新駅です。高松や徳島への通勤通学需要を見込んで、朝夕の時間帯に特急うずしおも停車します。
高徳線と並行する高松自動車道と交差しました。
高松〜徳島でも高速バスが運行されていますが、所要時間は1時間30分。特急うずしお自由席が2840円に対し高速バスは2300円でさほど料金差も無く、特急うずしおが1本/h運行していることからも、優位に立っていることが分かります。
一部特急うずしおが停車する、讃岐津田駅を通過しました。
通過駅が多く15分ほど停車しないこの間に、どんどん速度を上げていきます。
逆に言えば最速達便でも割と停車駅が多く、なるべく途中からの需要も拾っているようです。
東かがわ市の中心駅、三本松駅に停車しました。
特急うずしお13号に道を譲るため待っていた、普通列車徳島行きを追い抜きます。
一部特急うずしおが停車する、讃岐白鳥駅を通過。
さらにお隣通過した引田駅も、一部特急うずしおが停車します。
三本松駅から連続する3駅はそれぞれ、大内町、白鳥町、引田町の中心駅だったところです。東かがわ市はこれら3町が合併して、2003年に誕生しました。平成の大合併を経てもそれぞれ町の中心に変わり無いため、何本か特急列車も停車する意味がある訳です。
列車はいよいよ香川県と徳島県の県境、大坂峠へ向かいます。
これまで平野部を走り続けていましたが、山間部へ景色が一変しました。
カーブにより勾配を緩和しつつ、トンネルも増えてきます。
今回乗車しているのは2700系気動車ですが、特急うずしお号では2017年にデビューした、2600系気動車も走っています。2600系気動車では空気ばね式車体傾斜装置を採用しており、特急南風にもこの車両を投入する予定でした。
しかし、四国山地を越える土讃線はカーブが多く、空気ばね制御に使う空気容量の確保に課題が。
そこで制御付き振り子装置の採用に切り替え、新たに2700系気動車を製造したのです。
こちら真っ直ぐな大坂山トンネルで県境の山を貫きます。
高徳線内でカーブ等険しいところは大坂峠周辺くらいなので、2600系気動車は特急うずしおで使われることになりました。
トンネルを抜けると、徳島県に入りました。
阿波大宮駅で運転停車中の特急うずしお12号と行き違います。
最初の停車駅は板野駅、4,5人ほど下車されました。
信号待ちのため、本線上で停車。
どうやら板東駅で行き違う普通列車が遅れていたみたいです。
鳴門線の乗り換え駅である、池谷駅を通過します。
一部特急うずしおが停まる駅、駅舎は高徳線と鳴門線のホームに挟まれる位置関係です。
藍住町と北島町の境にあり、両自治体の玄関口である勝瑞駅を通過。こちらにも一部特急うずしおが止まります。
今回乗車した特急うずしお13号、徳島県内の途中停車駅は板野駅のみでした。
とにかく穏やかな吉野川を渡りまして、まもなく徳島駅に到着です。
吉野川沿いを走る徳島線は、一駅手前の佐古駅で合流してきました。
城下町や藍産業で栄えた徳島の町へ入っていきます。
徳島駅は徳島城のすぐ近くに位置しているため、中心部にあたる旧城下町と近い印象です。
指定席に乗車の方は、ほぼ全員が終点徳島駅まで利用されていました。
逆に高松駅から乗車の方は少なめで、あまりイメージの無かった岡山〜徳島の需要がそれなりのものと分かりました。
一方、土日で自由席はガラガラの現状となると、少々厳しいと言わざるを得ませんが…。
13:04 徳島駅 着
反対列車遅れのため、8分遅延で終点徳島駅に到着しました。ディーゼルしか香らない徳島駅、小さな主要駅の雰囲気を未だに残してくれています。
岡山発着の特急うずしおを設定している理由を考えてみると、やはり山陽新幹線からの乗り継ぎ客取り込みが一番の目的でしょう。
岡山駅からの所要時間は1時間59分であり、最速達便にすることで2時間切りを意識しているはず。
大阪からでは所要時間でも高速バスに負けているため、僅かな需要としても、広島や福山からの乗り継ぎ客を見込んでいるように思います。
また、岡山から四国4都市全てに直通特急を設定しているのも、ある種のブランドとして必要かもしれません。これは数年前まで宇和島行き、宿毛行きの特急も設定されていた過去から予測されるものです。
徳島は県の代表駅であり、本州から四国の都市へ一本で行ける価値は、それなりに高いと考えられます。
南風とタッグを組んだ上での直通と、最速達便としての走り。ぜひ徳島へお越しの際はこの便を選んでみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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