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【鉄道消えても発展中】酪農が支える中標津・別海 根室交通バスで厚床支線廃線跡[史上最長片道切符の旅(93)]
標茶駅〜根室標津駅と、中標津〜厚床の2線で成り立っていた標津線。 なんとなく標茶〜厚床が本線、中標津〜根室標津が支線に見えますが、実際には標茶〜根室標津が本線、中標津〜厚床が厚床支線でした。 &nbs ...
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標津線厚床支線の廃線代替バスに乗り、厚床駅へ来ました。
ホーム上には今でも標津線が分岐していたことを示す、看板が立っています。
ここから乗車するのは北海道最長の本線を持つ、根室本線。
末端部の釧路〜根室は花咲線と呼ばれ、道内屈指のローカル線です。
09:14 厚床駅 発
真っ白な雪を巻き上げ、顔には一面氷が張っています。交換設備の廃止された棒線駅を出発です。
別当賀川流域の一面雪原を、キハ54形の唸りを轟かせながら走ります。
浜中町に入りまして、姉別駅に到着。駅舎にはなぜかルパン三世がいます。
浜中町はモンキー・パンチ氏の故郷であり、町内の駅にはルパンのキャラクターがいるのです。
この他に、ルパンラッピングの列車が走ったことも。
浜中駅は浜中町の中心部から離れており、街の広がる霧多布岬まで7km程です。
黒い森の中を走っていると、大きな角を持った四本脚の影。
北の車窓に華を添えるエゾシカですが、運行上はヒヤヒヤものです。
茶内駅で反対方向の列車と行き違いました。ここには銭形警部がいます。
山へ入ると寛いでいるエゾシカが沢山現れました。
花咲線ではエゾシカが大量発生しており、特に視界の悪い夜では衝突しない方がおかしいレベルです。
2022年春に廃止された糸魚沢駅を通過します。
2015年に新しくされたばかりの待合室がまだ残っていました。
列車はここから別寒辺牛湿原の中を走ります。
ジメジメした泥は凍りつき、その上に一面雪が積もって完全な雪原のようです。
鉄橋で渡る川は青く凍っており、氷点下2桁極寒の世界を視覚的に感じられます。
盛り土の両側凍った川に挟まれており、線路は道なき道に通されたのです。
もう厚岸湖沿いを走っているはずなんですが、凍ってしまっているため雪がこんもり積もって、雪原の中を走っているだけに見えるほど。
くるっと半島が巻き込むようにして、作り出された厚岸湖。
ある程度海の波が入り込む入り口部分は、凍っていないようで太陽の光が煌めいていました。
花咲線の中では主要駅、厚岸駅に到着しました。
先ほどの別寒辺牛湿原含め、2022年に厚岸霧多布昆布森国定公園に指定されています。
厚岸駅といえば駅弁のかきめしが非常に有名。
スーパーマーケットの駅弁フェアで常連ですが、実際にここへ来て買うのはかなり大変です。
厚岸駅から5,6人乗車されまして、港町を走っていきます。
夏に来たときは放牧された牛さんが沢山いたのを覚えていますが、流石にこの冬では屋内で寝静まっているはずです。
貨車駅舎に動物の絵が描かれた尾幌駅に到着。
ここから山の中へ入りまして、細かいカーブの繰り返しです。
探すのに苦労しないほど鹿を見つけられ、頻繁に警笛を鳴らしてぶつからないようにしています。
この区間は本当に森を縫うようにして走り続けており、これまでの穏やかな自然とは違った一面です。
上尾幌駅周辺にはかつて炭鉱があり、非常に栄えていた過去を駅の様子からも読み取ることができます。
上尾幌駅周辺だけ森に穴が空いたように集落があり、再び森の中をグネグネ走り続けます。
この線路は別保川に沿っている形でもあり、釧路川へ合流するまで蛇行しているため線形も同様です。
武佐駅は1988年に開業した駅、釧路市東部の新興住宅地の利便性向上のため設置されました。
釧路市街地に入ってきまして、釧網本線とも合流。
東釧路駅に到着です。
こちらは釧路市と釧路町の境界に近い場所で、同じように市街地が広がっていても釧路川より北側は、釧路町に入ります。
花咲線は西へ進み続け、釧路川を渡ります。ところどころ氷が張っていまして、奥の方には撮り鉄の方が集まっていらっしゃいました。
その訳は釧路駅に到着するとわかります。
10:53 釧路駅 着
左手に注目しているといらっしゃいました、釧路駅から釧網本線を走るSL冬の湿原号です!
お世話になったキハ54形への挨拶もそこそこに、SLへ惹きつけられてしまうのが性。
昨日も標茶駅で折り返しの様子を観察しましたが、黒煙をモクモク上げる蒸気機関車の姿は何度見ても良いものです。
風向きが暴れると特急おおぞらを黒煙が襲ったりも…。
大きな汽笛を鳴らしまして、釧路湿原へ向けて発車していきました。
釧路駅は昔ながら鉄筋コンクリート造りの駅舎を残しています。
現存する最後の民衆駅で、これは国鉄と地元が共同で駅舎を建設し、その代わり商業施設を設けた駅です。
ここは札幌からの特急列車がやってくる最果ての地。特急おおぞら6号に乗車します。
いまだに青い283系がしっくりくる特急おおぞら、2023年春のダイヤ改正で石北特急オホーツク・大雪で活躍しています。
11:23 釧路駅 発
釧路駅を出発しまして、右手には日本製紙釧路工場の跡地が見られます。
2021年秋をもって撤退しており、街に有志によるメッセージボードが設置されていたのが印象的でした。
新富士駅には釧路貨物駅が隣接しており、多くのコンテナが積まれていました。
たんちょう釧路空港の最寄駅ともなっている大楽毛駅を通過。
釧路から大楽毛については普通列車が比較的多く設定されています。
ここで根室本線は海沿いを走り、太平洋の広がる景色を眺められます。
白糠駅に到着。
釧路市は2005年に新設合併しましたが、この時白糠町は合併しなかったため、2つのパーツに分かれる飛び地になっています。
列車は古瀬信号場を通過。
個人的にこの名前だと、行き違い設備もない板張りホームの停留所をイメージしてしまい、このような信号場になっているのは違和感です。
馬主来(ぱしくる)沼を走りまして、湿原の中を特急が駆け抜けます。
その先にはギラギラ太陽が海に照りつけ、まるで夏のような暑さを視覚的に感じます。
釧路市のもうひとパーツ、旧音別町の音別駅を通過していきます。
薄くもピシッと氷の張った音別川は非常に幅が広く、太平洋の近さを知らしめます。
2019年に駅から信号場へ格下げされた、尺別信号場を通過。
かつては炭鉱の社宅や国鉄官舎があったそうですが、現在は民家数軒のみ。
その民家も非常に数少なく廃屋になっているものも。
直別信号場を過ぎまして、再び海沿いへ。
やけに暑くないかゴリ押し看板で訪ねてくる、厚内駅を通過。
こちらは常豊信号場です。
一度も駅になった過去が無いのにも関わらず、かつて常豊駅の駅名標風看板が立っていました。現在それは残念ながら撤去されています。
新吉野駅で、特急おおぞら3号と行き違いました。
北海道の自然は山の中が基本なんですが、こちらは多くの方がイメージする北の大地ではないでしょうか。
12:38 池田駅 着
特急おおぞらが全て停車する池田駅で下車しました。
池田町といえばワインが有名、いけだワイン城では気軽に工場見学できるので、訪れてみました。
この様子についてはまた別の記事にて、詳しくご紹介できればと思います。
ここからは2006年に廃止された、北海道ちほく鉄道の廃線代替バスへ。
途中下車しつつ日本一寒い街まで向かいます。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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