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【バスは週1本だけ】通院バスで国鉄湧網線めぐり 佐呂間〜網走[史上最長片道切符の旅(90)]

2023年4月23日

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中湧別駅と網走駅を結んだ国鉄湧網線、オホーツク地域を横断する89.8kmの路線でしたが、国鉄分割民営化に合わせて1987年に廃止されています。 鉄道が廃止されても、通常は路線バスで公共交通機関によるル ...

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1987年に廃止された国鉄湧網ゆうもう線。

前回は10年以上前にバスで繋がらなくなった中湧別駅〜佐呂間駅を、徒歩による山越えを挟みつつスクールバスに乗車してきました。

ようやく来られた佐呂間町、ここから網走まで行かないといけません。

 

しかし、ここは湧網線跡を公共交通機関で行く上で、次なる難所。

佐呂間町中心部から網走へ抜けるコミュニティバスは、週1回1本しか運行されないのです!

 

しかも運行するのは水曜日で、佐呂間町を朝出発します。

乗車難易度があまりにも高過ぎる「通院バス」で、湧網線の佐呂間駅〜網走駅を行きましょう。



おはようございます。8:20の佐呂間町、早朝にはマイナス20度の凍てつく世界でした。

週1本のバスに乗るためには、佐呂間町中心部での宿泊が必須かと思われます。2軒の旅館がいかに貴重か…。

 

鉄道記念館は佐呂間駅の旧駅舎をイメージした新築です。美瑛駅みたいな北欧感を感じられますね。

 

昨日はちょっと暗かったですが、ブルーシートのかけられたD51蒸気機関車の顔を見ることができました。

再び夏に訪れて、各車両見てみたいですね。到達難易度高すぎますが…(笑)

 

駅跡地に建てられたバスターミナル周辺は、かなり広々しています。

雰囲気的には地方の駅前と変わりありません。

 

ここに1台停まるマイクロバス。

こちらが今回乗車する毎週水曜1本だけ運行の、佐呂間町ふれあいバス網走線です。

常呂厚生病院、網走厚生病院、網走向陽ヶ丘病院に停まる、完全に町民のための通院バスになります。それでも町民以外の旅行者も利用可能です。



8:30 佐呂間バスターミナル 発

週1本運行となると、無事乗れた時の安心感のレベルが違います。

もし乗り遅れたら佐呂間町1週間滞在という、地方留学になりかねません。

とか言いながらギリギリ行動してましたが…(笑)

 

佐呂間別川を渡りまして、ここから湧網線の廃線跡は基本的に車窓右手です。

 

めちゃくちゃ分かりやすい廃線跡、カーブした盛り土からは列車を走っている姿を簡単に想像できます。



湧網線は佐呂間別川に沿うようにして、ずっと続きます。

途中仮乗降場を挟みつつ、次の駅は知来ちらい駅。

現在でも駅舎が残されており、知来ゲートボール会館として利用しています。

 

紅葉橋仮乗降場周辺でで佐呂間別川を渡っていたようで、だんだんと廃線跡が離れていきます。橋梁の名前が付けられたのでしょうか。

 

一方バスが走る道道103号も、時雨橋で川を渡りました。再び湧網線に近づきます。

 

仁峰山西光寺のお堂が見えますが、その向こう側には仁倉小学校跡があります。

先程の知来駅近くにも知来小学校があったのですが、佐呂間町内の小学校は3校、中学校は1校だけになってしまいました。

 

太陽光パネル向こう側が仁倉駅跡となっていますが、特に構造物などは残っていません。

 

この先、湧網線は仁倉川を渡るため、盛り土だけでなく少しコンクリートの構造物も見られます。



湧網線はサロマ湖周辺に広がる、浜佐呂間の集落まで出てきました。

道道239号のようにサロマ湖沿いを走れば最短距離なのですが、湧網線は佐呂間町の中心部を通るためか、南を大回りしています。

 

新しそうな建物が建っていますが、こちらは浜佐呂間農村活性化センター「シンデレラ館」。

佐呂間町では、かぼちゃの生産が盛んなことにちなみ、かぼちゃ祭り「シンデレラ夢」が開催されます。ここでは仮想パレードや舞踏会、大花火ショーなど町を上げたお祭りが行われるとのこと。

おそらくこの建物もそれにちなんで名付けられており、心なしかデザインもかぼちゃみたい…。

 

そして、この場所が浜佐呂間駅跡地になっています。

ここまで誰も乗っていなかったのですが、おひとり町民の方が乗ってこられました。

 

浜佐呂間を過ぎると、佐呂間町から北見市に入ります。

北海道で最大の面積を誇り、その広さは全国4位です。



見えてきたのは2006年北見市と合併した、常呂ところ町です。

その一方、道道で繋がっていることからも、北見より佐呂間や網走との結びつきが強くなっています。

 

カーリング日本代表でも知られる北見市のロコ・ソラーレですが、その本拠地は旧常呂町です。

チーム名の由来についても、「ローカル」と「常呂っ子」から「ロコ」、イタリア語で太陽を意味する「ソラーレ」を合わせています。

 

ふれあいバスの行き先、常呂厚生病院に到着。

浜佐呂間から乗って来られた方が降りられました。ここまでなら運賃が無料となっています。

 

この辺りには、常呂と名のつく認定こども園から高校までが集中していて、18年間ほぼ同じ場所へ通う方もいるんだなと思っちゃいました。

 

このバスは常呂駅跡の近くを通らないため、その様子を確認することはできませんでした。

網走から常呂に関しては網走バス常呂線が走っているので、廃線代替バスとして十分機能しています。

本来ならここで下車して網走バスへ乗り継いでみたかったのですが、網走から乗車する釧網本線への接続が悪くなってしまうため、断念しました。



常呂川を渡りまして、引き続き国道239号を走ります。

左手にはオホーツク海に面する常呂漁港が見えてきました。現在は直売店や作業所に囲まれていますが、常呂港仮乗降場もあったそう。

 

湧網線がオホーツク海沿いを走るのは、サロマ湖と能取湖に挟まれた区間だけ。

昨日見たサロマ湖の景色に引き続き、今日は能取湖を見ることになります。



常呂港を過ぎると割とすぐに、北見市から網走市に入りました。

ここで湧網線と交差しまして、廃線跡は右側に移ります。

 

道路と共にカーブする廃線跡の向こう側には、ポント沼があります。

京都の難読地名として知られる先斗ぽんと町と同じで、親近感が沸きますね。

 

現在はプラットホームだけが残る能取駅跡、通過するだけではちょっと分かりづらいです。

交通公園として整備されていまして、かつてはスハフ42形客車が保存されていたそう



ここで湧網線は左へ移り、能取湖沿いを走ります。

一面白く凍っており、とても綺麗な冬景色です。

向こうにはオホーツク海と能取湖を隔てる陸地があり、位置的にはその切れ目が見えるかもしれません。

 

湧網線は網走常呂自転車道線(道道1087号)として整備されています。

冬季は通行できませんが、常呂から網走まで25.4kmに及び、自転車で廃線跡を巡ることが可能です。

 

湖も手前の湿地も雪が積もっており、その中一本渡る湧網線がまるでジブリの世界のよう。

 

鉄道時代から存在するであろう橋梁も間近で観察でき、非常に面白かったです。



卯原内うばらない駅跡は卯原内交通公園として整備されています。

シートが被されていますが、9600型蒸気機関車と旧型客車オハ47を保存しています。

 

隣接してバス待合所を兼ねた網走市鉄道記念館があって、湧網線の資料を保存。

喫茶店も入居していて、展示室を見学する前に声をかけるスタイルです。

 

自転車道のため新しく柵が取り付けられた湧網線と共に川を渡ります。向こう側にはサンゴ草群落地があって、真っ赤な絨毯が広がるそう。

 

二見中央仮乗降場跡の辺りで、能取湖とはお別れです。

 

二見ヶ岡駅跡には特に鉄道遺構は残っていません。

能取湖と網走湖に挟まれていることから、このような地名が付けられました。

 

道道104号との交差点で現れるのが、国道創設殉難慰霊の碑。

北海道開拓100年にあたって白龍山遍照院の隆弘尼僧が、道路開削時の囚人を弔うために働きかけて作られました。

この方は石北本線常紋トンネルの犠牲者供養にも関わっています。



そして、この先右手には網走湖が広がります。

対岸には石北本線が走っている位置関係で、いつも見ている車窓とは反対側の網走湖です。

 

左側を走っていた湧網線は、国道の上を越えて右側へ。

 

ここから網走駅近くまで、右側を並走することになります。

奥には網走湖を形づくる上で特徴的な、呼人半島がこちらへ突き出していました。

 

網走湖から蛇行してオホーツク海へ注ぐ、網走川を渡ります。



そこには網走市街が広がっていました。

明らかにこれまでと比較しても、相当大きな都市。

イエローハットやトヨタレンタカーリースなどが立ち並んでおり、ここまでの街は2日前の稚内ぶりでしょうか。

 

大曲仮乗降場跡で、常呂から続いていた湧網線の自転車道が終わりになります。



そのすぐ先で、湧網線は石北本線の線路と完全に並走。

現在でも札幌からの特急がやってくる踏切を見られます。

 

馴染みある景色に戻ってきて安心感、網走駅前までやってきました。

本当ならここで降りたいところですが、このバスは停まりません。

 

網走川を渡りまして、網走厚生病院に到着しました。



9:40 網走厚生病院 着

網走まで乗車した場合は、500円です。これでも十分安いと思いますし、税金でなんとか維持されているんだなと分かります。

完全に通院の足として確保されていますが、このように部外者でも利用できるのはありがたい限りです。

 

網走市はオホーツク総合振興局所在地であり、ここまでお世話になり続けているオホーツク管内をまとめます。

 

網走駅まで歩いて戻ってきました。名寄駅から200km以上鉄道空白地帯を走り続け、久しぶりの鉄道駅です。

 

現在は2面3線構造で、石北本線と釧網本線の境界としての役割をもつ網走駅。

 

湧網線は駅舎に面した切片ホームの0番線を発着していました。

現在でも構造からその名残を観察することができます。

 

公共交通機関で訪れるのが非常に困難な湧網線。それでもこれを走破できた時の達成感はひとしおです。

かなり時間がかかって難しいですが、ぜひ訪れて頂けたらと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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