-
【何が便利になった?】七隈線が博多駅に延伸開業!天神南駅乗り換えに変化は?
ここは福岡市営地下鉄空港線の終着駅、福岡空港駅です。 都市部からのアクセスが便利と言われる福岡空港。それもそのはずで、中心繁華街や西鉄バスターミナルがある天神、大ターミナル駅の博多駅から地下鉄数駅で行 ...
続きを見る
福岡県と大分県を襲った平成29年7月九州北部豪雨、これにより日田彦山線は大きな被害を受けました。
添田〜夜明・日田では代行バスによる運行が継続され、利用者が少ないことから鉄路での復旧は断念。BRTによる復旧に落ち着きました。
この路線は日田彦山線BRTひこぼしラインと名付けられ、2023年夏に開通予定です。
2023年8月28日、日田彦山線BRTひこぼしラインが開業しました。その様子はこちら
-
【6年ぶり復旧!】日田彦山線BRTひこぼしライン乗車記 開業初日レポート
日豊本線の小倉駅・城野駅から、久大本線の夜明駅・日田駅を結ぶ、JR日田彦山線。 2017年夏に起こった平成29年7月九州北部豪雨により被災し、添田駅〜夜明駅間が不通になりました。 &nb ...
続きを見る
これに向けて専用道の整備、新築駅舎含めたバス停建設など工事が進められています。今回は2023年3月27日現在、各駅を中心にして専用道の様子を見てきました。
日田彦山線内の主要駅、田川後藤寺駅に来ました。
後藤寺線、日田彦山線、平成筑豊鉄道糸田線の4方向に路線が分岐する重要な駅です。駅舎は近代的建築っぽさが現れており、改札周辺の天井が高く彩光も考えられた構造が分かります。
しかし、一方でホームに足を踏み入れればまるでタイムスリップしたかのよう。
停まっているのは国鉄の風格を残した車両ばかり、客車時代からの歴史を積み上げたホームは木造の跨線橋で結ばれ、とても居心地の良い駅でした。
茶色く濁った車体からはレトロさを感じられます。
そんな旅ができるのも添田駅まで、添田〜夜明で待つ鉄道の廃止とBRT開業の未来を、一足早く見に行ってみましょう。
田川後藤寺駅 発
2両編成の列車には、4,5人程度の乗客のみとなっています。朝ラッシュを終えた昼間なので、そう不思議なことではありません。
一方で、1987年度の時点で田川後藤寺線〜夜明の輸送密度は1103人/日、被災区間の添田〜夜明が131人/日(2016年度)であることを考慮しても、この区間もかなり厳しい状況です。
次の池尻駅は炭鉱への引き込み線があったため構内が広く、おそらくその跡地が畑になっているものと思われます。
豊前川崎駅は上山田線が分岐した駅ですが、1988年に廃止されました。
簡易委託のお父さんが、駅員さんのように安全確認していらっしゃった様子が、とても楽しそうにお仕事をされているようで良いなあと感じます。
西添田駅周辺には、炭鉱が無くなった後に形成された市街地が近くにあり、2人下車されました。
これら3駅停車してきまして、まもなく添田駅に到着。鉄道の走らなくなった区間が始まります。
添田駅へ入線するところ、左手には真っ黒なアスファルトが見えてきました。
昨年訪れた時にはまだ存在していなかった、ロータリーが出来上がっています。こちらは2023年2月末から工事が始まったそうです。
ここからホームへ向かって登っていまして、特に色のついたアスファルトに新しさを感じました。
島式ホームだった添田駅ですが、1線分埋められてBRTへ対面乗り換えできます。
田川後藤寺〜添田の間には行き違い設備が無く、添田駅もこの構造になったので、1本の列車が行ったり来たりする形です。
線路はここで完全に途切れ、JR九州特有の大きな車止めが立てられました。
BRTですが添田駅〜彦山駅は専用道ではなく一般道を走るので、プラットホームを出た後は線路から離れて一般道へ抜けていきます。
ホーム上にはバス停みたいな待合スペースが作られました。ホームの高さを見ても、導入されるバスはノンステップなので、殆ど段差が無いと思われます。
ホームから駐車場のある駅舎までは、相当距離が離れているので、高校生の送り迎えを考えるとロータリーがより近いところにできてよかったと思います。
プラットホームとスロープの間にBRTが走る道路が作られており、ここを通ってホームへ入線するはずです。
BRT以外の路線バスについては、このロータリーから発着する予定になっています。
代行バスの運転士さんにお聞きしたところ、日田彦山線を利用される方は田川へ通学する高校生がほとんどとのこと。
一方で最近は最寄の駅ではなく、親御さんが直接高校まで送り迎えする方が増えているそう。BRTで存続された後、公共交通機関利用は促進されるのでしょうか…?
先にも触れた通り、添田駅〜彦山駅については線路跡を活用した専用道ではなく一般道を走るため、一般道へ出る道が作られています。
先日、日田彦山線BRTひこぼしラインの、バス車両も公開されました。
導入されるのは小型の電気バス4台(中国・BYD製J6)と中型のディーゼルバス2台(いすゞ自動車製ERGAmio)の計6台。デザイン的には清涼感あって新しい交通が来たって感じがします。
駅舎に面した国鉄添田線の空き地は、バス車庫になりました。給油もできそうな設備が整っています。
今はロータリー整備のために閉鎖されている駅舎ですが、おそらく再度開けられて待合所のようになると思われます。
彦山駅まで日田彦山線代行バスに乗車、少し離れた広場まで歩きます。
以前日田〜添田で乗車した時はコミュニティバスの車両でしたが、添田〜彦山の短区間や需要の小さい時間だとタクシーです。
日田彦山線の線路跡に注目しながら、彦山方面へ南下。BRTも走らない廃線跡からは踏切が撤去されています。
2008年に開業した歓遊舎ひこさん駅、道の駅が隣接しており、添田町の地域自立促進プロジェクトの一環として設置されました。
平日にしては相当車が多いとお話しされていて、おそらく桜の季節で春休みだからでしょうか。
すぐ左手に流れている川は彦山川。ここに架けられた鉄道橋梁は、九州北部豪雨で傾いたり変形するなどの被害を受けており、これもあって添田〜彦山は一般道の走行です。
少し山へ登ってきまして、彦山駅に到着しました。
ここから専用道となるBRT、一つの拠点として整備されています。大きな木造駅舎が特徴的だった彦山駅ですが、2021年に解体されて新しい建物に建て替えられました。
こちらが将来バス乗り場になるところです。
都市部にあるような立派なバス停といった感じ、元々単線だったのでここでバス同士すれ違えるよう広くなっています。
バス停については梱包材でぐるぐる巻きにされていますが、下の方にはJR九州のマーク。
BRTひこぼしラインのカラー「フォレストグリーン」を用いた色合いです。
一般道走行区間は終わり、ここから先ほどのバス乗り場に入るってことですね。
少し高くなっているところから、彦山駅を見下ろしてみたいと思います。
こちらはかつての踏切跡、BRTは彦山駅からそのまま専用道を走行します。
BRTでは遮断棒が道路に対してではなく専用道に対して設置されるため、既にその向きで根本部分が置かれていました。
かつての線路沿いには想像以上の桜が植わっていて、こんなところを鉄道が走っていたとは、さぞかし良いワンカットだったんでしょうね。
公園の植木に埋もれつつも、彦山駅を捉えることができました。旧駅舎は英彦山神宮を模して朱色の柱を使っていたそうですが、こちらも青銅色の屋根などデザインに風格が残されています。
旧ホームの上に残される、錆だらけの枠のみになった駅名標。これはぜひ残していただきたいものです。
駅の建物と反対側のバス乗り場の間には、これから横断歩道など引かれるのでしょうか。完成形は大部分で見えて来ましたが、細かいところはこれからっぽいです。
彦山駅を出てすぐのところで、別所河内川を渡っています。そんな自然の奥深くではありませんが植物に埋もれていて、あの上を小綺麗な電気バスが走ったら、ギャップにやられそうです。
彦山駅まで戻って来ました。
右側に写り込んでいる彦山駅横休憩所は、旧駅舎解体前からあったものです。
旧駅舎は現在よりもっと大きな建物でしたが、結構縮小されて駐車場などに。それでも車やバスの休憩がてら足を運ぶ方もいらっしゃって、割と意味があったのかなと思います。
駐車場に面するところにはベンチがあって、ここでバスを待つこともできます。
そのまま乗り場と一体化して接続しているので、バスの待合スペースとして運用されるみたいです。
新しく作られた駅の建物については、中に入ることができません。交流スペースと書いてありましたが、どのように使われるのでしょうか…?
代行バスに乗車の際は、ここできっぷの購入が可能です。普通の鉄道と同じ状態となっています。
日田行きの代行バスに乗車しまして、次は大行司駅へ向かいます。
ここの区間は専用道と異なるところを走っており、トンネルで貫く日田彦山線と比較して、こちらはカーブが連続する山道でかなり疲れました。
ここが専用道になるのは、快適性が向上して大分良いなと思います。
彦山駅〜筑前岩屋駅の間には専用道内で唯一の新駅、深倉駅が設置予定です。
東峰村の中心部へ出て来まして、代行バスは筑前岩屋駅まで往復します。
右手に見られますのは、第二大行司橋梁(松尾橋)。
日田彦山線BRTひこぼしラインは、こういった『めがね橋』の上をバスが走るというのが非常に大きな特徴です。鉄道独特のアーチ橋で、ここを最新の電気バスが走行するというのは、かなり面白い光景だと思います。
昭和13年竣工の3つのアーチ橋ですが、そのうち1番大きいのが宝珠山橋梁(奈良尾橋)です。5連アーチ橋でかなりの勾配、3つの中で唯一近代化産業遺産に認定されています。
このようにアーチ橋が集まる区間には、新駅として棚田親水公園駅を設置予定でした。しかし、東峰村から設置中止の申し出があって、ここに駅はできないことが決まっています。
栗木野橋梁(金剛野橋)も宝珠山橋梁に負けない5連アーチ橋、山をバックにした存在感に圧倒されます。
桜並木に連れられるようにして、まもなく筑前岩屋駅に到着です。
4379mに及ぶ釈迦岳トンネルを抜けた日田彦山線、筑前岩屋駅はそのすぐ先にあります。
1997年に建てられた木造駅舎は、国指定重要文化財の岩屋神社を模しています。彦山駅とは対照的に、こちらはかなり落ち着いた雰囲気です。
筑前岩屋駅は駅構内においても豪雨被害を受けており、ホームの一部が崩れて土砂に埋まっていました。
鉄路ではなくてもそれを除去した上でBRT復旧が実現するのですから、相当大変な道のりだったと想像が容易です。
先ほど来た道を戻りまして、大行司駅に到着です。
駅前までは乗りつけないので少し歩いて来ましたが、古民家カフェみたくリフォームされたような雰囲気がある駅舎です。
駅舎内に入ることはできませんでしたが、書の展示もあって学校の校舎みたいな雰囲気。
この駅舎は水害後の2019年12月に再建された建物です。
いかにも「何十年も列車の発着を見届けて来たんじゃよ」感を出してますが、この駅舎は一度も列車の姿を見ていません。
それでも昔ながらの駅舎と駅名標を残していただきまして、かつて鉄道が来ていた歴史をずっと伝えてくれるものと思います。
駅前には錆びついた鉄骨が置いてありました。
これは九州北部豪雨で河川に流出した、筑前岩屋駅のレールとのこと。大きく曲がったレールの姿からも、濁流の破壊力には驚かされます。
後続のバスまで時間があるので、お隣の宝珠山駅まで歩きます。
バス停すらすぐには分からない状態なのも、本当に田舎の趣です。
BRTは結構高いところを走っているので、それを見上げる形でたどります。
途中にはBRT工事の資材を運び入れるための、搬入口が設けられていました。ここからアスファルト舗装をしていたんでしょうね。
しばらく山の方に注目しながら歩いていると、何やらビビッと引かれるものが。
植物が繁茂する急坂の先、踏切を発見しました。
第四種踏切であり、ここを横切る部分にすら立ち入り禁止の表示がありません。BRT転換区間の踏切は全て撤去されたものと思っていましたが、こんなところに残っていたとは…。
この辺りはアスファルト舗装が完了しており、いつでもバスが走れそうな状態でした。
遠くから見てみると、忘れられちゃった孤独感が良き。
踏切からも見られましたが、すぐ近くには足場の組まれたアーチ橋。BRTが走る様子もかなり間近で観察できそうです。
東峰村の歓迎看板には「日本で最も美しい村」連合とありましたが、大肥川沿いを中心に開けており、歩いていても落ち着く場所だなと実感しました。
専用道はだんだん下ってきて、遂に地上まで降りました。
盛土部分には新そうな、黒いシートが被されています。
この辺りはまだ砂利道となっていまして、これからアスファルトが敷かれるところですね。
道路との交差部分からは、宝珠山駅が見えて来ました。それにしても菜の花と桜が非常に綺麗で、BRTは本当に良いところを走るんだなと思います。
その先では完全に道路橋として架けられている、宝珠山駅前橋を渡ります。
向こう側には歩道もあるので、真横をBRTが走っていく様子を見られるかもしれません。
ひこぼしラインの横断幕がたなびいており、ここを真新しいバスが走っていくのは非常に楽しみです。
国道からは大肥川を挟んで向かい側、宝珠山駅が見えます。
満開の桜に埋もれる木造駅舎とは、ここまでノスタルジックで華やかな雰囲気を醸し出す空間は他にありません。
駅舎内も昔ながらの雰囲気をとどめており、窓口や有人改札のラッチなど居心地良い空間です。
改札内に入ると工事の真っ最中、バス停の姿などは見られませんでした。
旧プラットホーム上には、大分県と福岡県の県境が示されています。どうやらこちらも解体されてしまうようで、簡単な標に取り替えられると聞きました。
専用道の区間は割と短く、宝珠山駅から先は一般道の走行になります。
駅構内工事中のため、バス停の場所が福岡県から大分県に移転しています。
西鉄バスによる代行バスに乗車、乗客は全区間通して僕ひとりでした。
おそらくBRT開業後も、今走っているルートとほとんど変わらないと思われます。
大鶴駅の駅舎は2010年に完成しており、お手洗いも備えたかなり新しい建物です。
現在でもプラットホームどころか駅名標まで残っており、列車が来そうな状態です。
今山駅はこのの通りをまっすぐいった先、ホーム上に待合室だけ立っています。福祉バスの方は「虹原」で、それぞれ異なるのがちょっとわかりづらいかも。
現在でも特急ゆふいんの森が人気の久大本線の下を潜りまして、夜明駅に到着です。
夜明駅は高いところに位置しており、階段を登った先です。
BRTになっても添田駅のようにホームに乗り付けることはせず、この駅前ロータリーに停車するとのこと。
階段の整備工事が行われていましたが、少しでも列車とBRTの乗り換えを便利にしようとしているみたいです。
一方でBRTは日田駅まで乗り入れますし、久留米方面に行く方は少ないと予想され、ここでの乗り換え需要は小さいように思います。
夜明駅は元々2面3線構造で、左側2線が久大本線、一番奥の1線が日田彦山線のホームでした。
しかし、日田彦山線が発着した3番線ホームは2022年8月に役目を終えています。最後には線路撤去区間を巡るツアーが行われて、その時には3番線に列車が入線したそうです。
わざわざ線路を撤去したのは、ホーム端にスロープを新設したため。これにより直接2番線へアクセスすることができます。
日田彦山線の線路は既に撤去されており、茶色いバラストだけが鉄道が来ていたことを物語ります。
2023年夏開業予定の日田彦山線BRTひこぼしライン。
正直利用状況からしたらBRTでの運行再開すら難しいと思っていたところ、鉄道跡を活かした専用道を含む路線が開業するのは嬉しいです。
だいぶ工事が進んでいる様子も見ることができ、日田彦山線ならではの区間をバスが走っていく。
その姿を早く見たいですし、乗りたいなと思いました。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
-
【四国新幹線が九州へ!?】豊予海峡を行く大分〜松山 国道九四フェリー最短経路の旅
『レールが結ぶ、一本列島。』 これは1988年、青函トンネルと瀬戸大橋の開通に際して、国鉄が打ち出したキャッチコピーです。 本州から北海道、四国、九州それぞれはトンネルや橋で結ばれており、全て鉄道での ...
続きを見る