近鉄名古屋線の急行電車で、三重県に来ています。
三重県と奈良県は近鉄が非常に強く、国鉄が力を入れてこなかった地域。JRになっても、なかなかシェアを奪えていません。
近鉄名古屋線はJR紀勢本線と共に、県庁所在地の津駅に到着しました。
津駅において近鉄とJRの格差は非常に大きく、近鉄の乗車人数は15689人/日、JRの乗車客数は3609人/日で、なんと4倍もの差がついています。
これほどまでに大きな差が生まれてしまった県庁所在地駅、津駅のご紹介です。
津駅といえば、日本一短い駅名の駅として知られています。
遠目で見ると“?”に見えると、ネタにされることが多いです。
一方で、ローマ字表記だと“Tsu”のため、この点では山陰本線の飯井“Ii”駅などの方が短いです。
一時期“Z”としてギネス世界記録に登録しようという動きがありましたが、記録の更新が難しい地名の短さに関しては、登録ができなかったみたい。
まずは多くの方が利用する、近鉄のホームを見てみます。
近鉄の津駅からは沢山の特急列車が発着することもあり、ホーム上でもファミリーマートが営業しています。
こちらやってきたのは、伊勢志摩ライナー賢島行きです。JRは鳥羽駅までしか行きませんが、近鉄は更に奥まで結んでいます。
当時無人島だった賢島に終着駅を設け、真珠輸送や観光開発を行い、G7サミットの海上にまで選ばれました。
また、三重県内各都市と大阪難波を結ぶ存在として、名阪特急アーバンライナーが欠かせません。
停車駅の少ない甲特急の名阪特急ひのとりも全列車が停まります。津駅に停まらないのは、遠近分離を図る観光特急しまかぜだけです。
大阪難波、伊勢方面へはそれぞれ毎時2本、名古屋方面へは毎時4本という、高頻度での特急運行がなされています。
それでも、使用するホームは1面2線だけで、列車追い抜きなど緩急接続は行われていません。
津駅はJRと近鉄の共同駅舎となっています。
改札内でJRへ通路が伸びているのですが、途中乗り換え改札も設置されていません。
近鉄のコンコースから直接繋がる、JRのホームや駅舎へ伸びる連絡通路です。ここへ来ると急に古さを感じますが…。
ちょうどホームにはJR紀勢本線の普通列車が停まっていました。
なんだか列車の上がスッキリしていますが、JR紀勢本線は全線非電化。電車ではなくディーゼル車で運行しています。
名古屋〜伊勢市・鳥羽では1時間に1往復快速みえが走っており、特に伊勢神宮参拝の輸送を行っています。
近鉄特急は1時間に2往復あってより便利ですが、特急料金がかからないことから、何とか張り合っている列車です。
JR東海も近鉄特急に対抗しようと快速みえを推しまくっていて、津駅の表口から近鉄へ向かう階段には売り文句が大量に貼られています。
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この快速みえは途中第三セクター伊勢鉄道伊勢線を走っています。そのため、青春18きっぷ等で快速みえに乗る時は、途中区間で520円が必要です。
ちょうど鳥羽行きの普通列車が発車していきました。
JRの普通列車は1時間に1往復。近鉄は普通電車が1時間に2往復、急行電車が3往復です。さらにJRは2両編成ワンマン列車で、輸送量が明らかに違います。
一方でJRが単独で担っているのが、三重県南部の尾鷲・熊野などへの輸送です。特急南紀が名古屋〜新宮・紀伊勝浦を結んでおり、紀伊半島を縦断します。
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しかし、この列車も特急列車でありながら2両編成。2020年にグリーン車が廃止され、三大都市を発着する特急列車では一番短いです。
津駅の表口、東口改札はJR東海が管理しています。
近鉄のきっぷでもここを通ることができて、そのことが分かるように近鉄特急の写真が貼ってあります。
JR紀勢本線ではICカードを利用できないため、至るところにその案内が書かれています。まるで全ての列車が遅れているかのような表示です。
しかし、自動改札を見てみるとICカードリーダーが設置されています。これは近鉄を利用する人がタッチするためのものです。
東口にも近鉄のきっぷ売り場が設けられていて、多くの方が購入されていました。
そのお隣にはかつてJR東海ツアーズがあったのですが、旅行会社事業縮小のため閉店しています。
1973年に建設された駅舎は、国鉄と地元が共同で駅舎をつくり、商業施設を設けた民衆駅です。
2014年に駅ビルchumが再開業しましたが、駅自体は昭和からのレトロさを残しています。
駅近くにある非常に高い建物は、アスト津。三重県で二番目の高さを誇っており、94.63mに及びます。
ちなみに一番高いのは四日市港ポートビルの100m。県の最大都市は津市ではなく四日市であり、臨海部の工業が支えています。
東京や京都への高速バスも発着しており、鉄道では担いきれない安くて便利な手段もあります。
今度は近鉄の管理である、西口改札へ。
こちらにもきっぷ売り場がありますが、近鉄側よりJR側の東口の方が立派な印象でした。
近鉄の駅舎はどちらかというと、やや裏側感が否めません。こうなると近鉄特急に乗って来られた多くのお客さんにとって、直接東口に出られる共同駅舎は不可欠です。
一方で先程の出口との間に連絡通路が無いため、東西の行き来には改札内を通るか、近くの跨線橋を渡る必要があります。
駅舎の新築が行われる時には、おそらく東西連絡通路が設けられて改札も別になると思われます。
三重県内には近鉄とJRの乗換駅が沢山あり、どの駅も基本的に近鉄の利用が多くなっています。
その中でも県庁駅である津駅は、その格差が目に見えて分かりました。
津駅を利用の際は、両方の様子を見てみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。