熱海駅からはスーパービュー踊り子に乗車します。今回は普通車でもシートピッチが極端に広い座席をご紹介します。
シートピッチがグリーン車並の座席
伊豆急下田方面では10号車9番CD席と10番AB席、東京方面では10号車4番CD席と5番AB席です。
普通車の窓は大体2列で1枚位なのですが、この席だけで窓を1枚使っています。
そのためこのように広々としたシートピッチです。
10号車には網棚がありませんので、そんな時にはこの座席が効果を発揮するかもしれません。
ちなみに普通の座席のシートピッチは1000mmで、別に狭い訳ではないですが、先ほどの座席に比べたら劣るというのは言うまでもありません。
では、なぜこんな座席ができたのでしょうか?
この座席は2003年に完了したスーパービュー踊り子のリニューアル工事によって出来ました。
スーパービュー踊り子は家族などで旅行をする層が厚いことを考え、10号車にはグループユニットと言うコンパートメント席が設置されていました。その座席は向かい合わせに固定されていて、さらに通路との間にパーテンション(仕切り)があったため、プライベート感もバッチリ。
しかし、それは相席になる可能性も往々にしてあり、その時には不評となってしまったのです。そのため通常の座席を配置することになりました。
ところが、通常の座席とグループユニットの座席は違いますので、等間隔に座席を置いていくと端の座席に空間が生まれます。それが今回ご紹介した座席という訳です。
ちなみにリニューアルのため、一部は窓枠が合っていない座席も出てしまっています。
普通車の座席のご紹介
丸いボタンがリクライニング、その右のスイッチのようなものは座面を前に押し出す機構です。
リクライニングはご覧のように、普通の倒れ具合です。
座面を前に押し出すというのは写真のように少しだけ前にいくようなもの。写真で見るとわずかな違いですが、座ってみると意外と楽に感じます。
小さなインアームテーブルが備えてあり、お弁当をやっと置けるくらいのもの。
一番前の座席だと背面テーブルが無いから不便だという指摘がなされますが、
そもそも背面テーブルがありません。
グループ利用が多く、座席を回転させることが多いためにインアームテーブルにされたらしいですが、背面テーブルがないのは少々不便だと感じざるを得ません。
ちなみに普通車の座席のモケットはピンクの他に青もあります。これらは伊豆のハイビスカスと伊豆の海をイメージしているそうです。
10号車には階下もあり、そこには子供室があります。
途中で誰もいなくなったときがあったので、少しだけ撮影。お子さんがいらっしゃる方は周りに気を使ったりで大変でしょうからこのような設備があるのは良いですね。
ハイデッカー車から伊豆半島からの景色をみる
熱海の温泉街の景色を見ながら、山がちの伊豆半島へ向かっていきます。
伊東駅が近くなると海も見えて来て、カーブのところでは長い編成のスーパービュー踊り子の姿がみえました。
伊東温泉で有名な伊東駅に停車。
ここで運転士さんや車掌さんがJR東日本から伊豆急行に交代します。アテンダントさんはJR東日本サービスクリエーションの方のままです。
ここでいつの間にか10号車からはほとんどお客さんがいなくなってしまいました。展望席の最前列は埋まっているものの、他はすべて空席。
個人的には気兼ね無く先ほどの座席の写真を撮影できたので良かったですが、あのウイルスの影響はかなりありそうです。
伊豆高原駅にはザ・ロイヤルエクスプレスが停車中。3万位するそうですが、いつか乗ってみたいですね…。
今夏には北海道のツアーがありますが、60万越えと、とても手を出せる金額ではありません。其だけ素晴らしい列車なんでしょうけどね。
もくもくと街中から湯気が立ち上る、伊豆熱川駅に停車。
昔ながらの無機質なコンクリートの旅館などもあり、面白そうな温泉街です。
そして、スーパービュー踊り子のハイライト、オーシャンビューに入りました!
今回曇りだったのは残念ですが、波の迫力が増していて、これはこれで楽しめて良かったです。
そして再び観光地の町へ入ります。鉄道は観光地と観光地の点を線で結んでいるわけですが、その線ですら車内からの観光地になっています。
伊豆稲取を過ぎると、やはり大海原が一面に!
晴れていれば伊豆大島や三宅島などの伊豆諸島の島々も遠くに見ることができます。
魅力は海だけではありません。
河津駅を過ぎればもう葉桜になっているものの、左手には河津桜も並んでいます。
そして列車は海から離れ、歴史の町下田へ入ります。
伊豆急下田駅では皆さん撮影大会です。スーパービュー踊り子も、185系踊り子も長くないですからね。
伊豆急下田駅の線路には185系と251系が並んでいて、どちらもE257(旧あずさ)とE261(サフィール踊り子)に代わってしまうとなると鉄道の変遷を目の前に見ている実感が沸いてきます。
長くに渡って伊豆特急の看板として走ってきたスーパービュー踊り子のエンブレムも汚れては来ましたが、これは本当に長く走り続けた証。
その称号を持った姿を最後の最後に見られて良かったです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。