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筑豊本線の電池式列車 DENCHA(でんちゃ)に乗る【九州一周26】

 

前回
石炭輸送の中枢・飯塚を走る筑豊本線に乗車【九州一周25】

筑豊本線で原田駅から桂川駅へやってきました。 乗り換え時間で駅を見ていきましょう。 桂川駅では明らかに新しそうな道路が作られていて、駅舎とは反対側のまちづくりが行われている所でした。   桂 ...

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筑豊本線で桂川から直方駅までやってきました。

 

ここからは電池式電車"DENCHA"に乗車して、若松へ向かいます。なんの変哲もない電車に見えますね。

 

この名前は"DUAL ENERGY CHARGE TRAIN"から取られていますが、『電池』と『列車』を合わせたみたいなネーミングです。

 

車内の床には一面にQRコードが貼られていますが、読み取ることはできません(笑)

筑豊本線は桂川〜折尾で交流電化されています。

かつて北九州へ石炭を運ぶ重要な拠点であった、直方駅を出発。
ご覧いただけますように、電化されているので架線が張られています。なぜDENCHAが走っているのかはこの先の折尾駅から分かります…。

 

新入駅に到着。平成元年に開業した新入りです。

しかし、お隣の筑前植木駅からは1928年まで筑豊本線の支線が延びており、新入第三第四駅がありました。
不思議な駅名ですが、同じ名前の三菱の炭鉱に由来します。

 

その筑前植木駅には中線の跡が残されていました。
本数の多かった筑豊本線内で列車が追い抜くためにあったようです。

 

筑前植木駅からは上下線の間に若干のスペースが空いています。これは間にもう1本線路が敷かれていた跡です。

 

その線路が通っていたことがよく分かる遠賀川の橋脚跡が残っていました。

石炭輸送が盛んだった頃、中間駅から先は更に線路が増え、複々線区間になっていました。

当時、貨物と旅客を頻繁に運ぶことが必要だったのです。首都圏の鉄道レベルで列車の整理に苦労していました。

 

さて、電化・非電化区間の分かれる折尾駅へ向かう所でDENCHAについて説明します。

あそぼーいのクロちゃんも待ちくたびれたしん!



このDENCHAは、電池式電車と呼ばれるものです。

直方〜折尾までの電化区間では架線から電気を取り込んで走ると同時に、蓄電池に電気を貯めていきます。

 

そして、折尾駅からは非電化区間のため、パンタグラフが畳まれ…

 

今度は貯められた蓄電池の電気を使って非電化区間の折尾〜若松を走るのです。

 

2014年にJR東日本は烏丸線の列車、EV-E301系を運行開始させました。こちらも同じように電化区間で架線から電気を取り込み、非電化区間で蓄電池の電気を利用するハイブリッド方式を採用。これが日本初の取り組みでした。

 

烏丸線は電化区間が直流でしたが、交流としてはDENCHAこと、BEC819系が初めてだったのです。
ちなみにこの列車を元に、男鹿線の蓄電式電車、ACCUMが誕生しました。

 

外観・内装ともに白をベースに落ち着いた印象をもたらし、地球をイメージした青系の装飾がなされています。
『人と地球の未来にやさしい』をコンセプトとした水戸岡先生によるデザインです。



一度折尾駅で途中下車をしまして、高架化工事の様子を見てきました。

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再び筑豊本線で若松駅へ進みます。

 

筑豊本線は筑豊で採掘された石炭をまとめ、若松や門司港へ運ぶ役割を担っていました。

 

折尾から若松は石炭の輸送が主流で、旅客輸送の需要はそれほど無いため今日まで電化されていません。
それでも蒸気機関車の時代には重要な路線に変わりなかったため、複線非電化という珍しい状況になっています。

 

いよいよクレーンが見えてきて、工業地域の様子です。洞海湾が見えてきまして、向かい側は戸畑地区となります。

 

若松駅に到着しました。
真ん中には若松のキャラクター、わかっぱがサックスを吹くイラストが描かれています。

 

若松はジャズの街です。
ホーム上ではジャズ音楽が流れており、接近・発車メロディーも『聖者の行進』というジャズ音楽が使われています。

 

烏山線や男鹿線では終着駅に充電設備が備えられているのですが、若松駅には充電用の設備はありません。
BEC819系は10分の充電で90分走行でき、折尾〜若松は片道15分程度のため、設置する必要がなかったのです。
充電する区間に対して非電化区間が短いことは蓄電式車両を導入するのにあたって重要な点になります。

 

若松駅は現在1面2線の駅です。
今ではただの終着駅に見えますが、最盛期には海ギリギリまで貨物の線路が敷かれていました。

 

ホームの目の前に見える駐車場、マンションなどはすべて線路だったのです。

 

当時の様子がこちらです。そこら中に機関車が行き交い、盛んに石炭を積み下ろしていた光景が目に浮かびます。

 

待合室にはかしわうどんの東筑軒さんがありました。

 

列車を利用しない人々もいらっしゃって、地域の人々が集まる場所となっています。

 

若松駅1984年に新駅舎となり、2017年3月にはDENCHAのデビューにあたってリニューアルされました。

『過去から現在、未来へとつながる駅』をコンセプトに、石炭の黒を貴重とした外観、近未来的な白い内装です。

 

駅前には若松駅操車場跡地の碑が置かれていたり、公園となっていました。

 

ここには蒸気機関車が置かれています。

昭和6年に貨物用機関車として作られた国産のSL9600型19633号です。

 

中々状態が悪いのは残念ですが、筑豊本線の栄枯盛衰をひしひしと感じさせられます。

 

原田から若松まで筑豊本線を走ってきましたが、それぞれの区間に特色があってとても面白く感じました。

石炭輸送の遺構が残され、歴史を現代にまで伝えるこの路線、何度乗っても新たな発見がありそうです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

次回
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