九州 JR

【南九州の鉄道の要衝】かつてのターミナル駅 吉松駅を訪問【九州一周9】

2020年6月11日

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霧島連山の周りを走る吉都線(えびの高原線)に乗車【九州一周8】

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朝早くから都城駅を出発し、吉都線に乗車して吉松駅に到着しました。今回は吉松駅のご紹介です。

今となっては小さな駅となってしまった吉松駅ですが、かつては九州の中でもターミナル駅として機能していました。

なぜそのような駅になっていたのか、まずは周辺の鉄道の歴史の話が欠かせません。

第一次世界大戦頃、九州の南部の幹線とされる鹿児島本線、日豊本線は現在と違ったルートを取っていました。

 

九州の玄関口、門司港から大分を通り、東海岸を通ってきた日豊本線は都城から吉松へ向けて走っていたのです。

一方で鹿児島本線は熊本を通り、八代から内陸部の山の険しいところを走って吉松へ。その後は鹿児島へ向かいます。

この吉松駅は日豊本線鹿児島本線の交わる、南九州の鉄道の要衝だったのです。

どちらも九州を代表する幹線ですからいかに重要な駅だったのかがお分かりでしょう。

 

この山中を通るルートを取った理由は海沿いに鉄道を通すと、外国から攻められる可能性があることから。海軍も海沿いは危ないから山中のルートを通ることを要求していたようです。

東京の方にわかりやすいのは御殿場線と東海道本線の部分。こちらも同様に海沿いを避け、東海道本線は現在の御殿場線を通っていました。

 

しかし、結局海沿いを通った方が輸送状都合が良いという理由で、日豊本線鹿児島本線が新たなルートで建設されました。

今では肥薩おれんじ鉄道になっている部分もありますが、概ね現在と同じルートに改められています。

そして、かつての日豊本線であった都城〜吉松は吉都線に、鹿児島本線であった八代〜隼人は肥薩線となりました。そんな訳で吉松駅は2つの幹線の集約地でありましたが、今では2つのローカル線の乗り換え場所に過ぎない駅となっています。

そんな吉松駅の周りには様々な鉄道に関する遺産が残されています。

まずは燃料庫として使われた石倉から。吉松駅の開業の際に作られました。

溶結凝灰岩という南九州特有の素材を切石とし、積み上げられています。

妻壁側(建物の壁の小さい方)には水切りを考慮したような窓の形になっているのも特徴的でした。

 

この石倉は近代化産業遺産として登録されていて、100年以上建っているとのことです。

また、ここに書いてあることによると、吉松駅には最盛期に600人もの従業員さんがいらっしゃったそう。今では列車の本数もかなり減少してしまいましたが、確かに栄えていた時期があったのです。

 

続いては吉松駅に展示されているC55の機関車。

昭和12年に小郡で使われてから九州に渡りました。

吉松駅前が保存場所として選ばれているのも、まさにターミナルとして汽車が行き交っていた頃が懐われます。

 

もちろんこちらも近代化産業遺産になっていて、この機関車がこれまでどのような所属をたどっているのかも書かれていました。

この機関車は運転席にも入ることができて、かなり保存状態も良いものです。

 

SLの横には柱が2本立っていました。

 

『鐵道院』

『川崎造船所 兵庫分工場』と書かれていて、なぜここにあるのかは分かりませんが、西洋のデザインを取り入れているところからも古くからのものだと感じられます。

 

SLの近くには鉄道資料館もあるのですが、この時はお休みで入ることができませんでした。

しかし、肥薩線の歴史を知るには充実したものだということです。

 

駅舎の左側にも数々の石碑が立っていました。

100年はとても長いものなのにそれが当たり前のように書かれています。

 

鉄道のまちであった吉松駅から鉄道の役割がかなり縮小されるまで、色濃い歴史があるということがよく分かりました。

 

それでは吉松駅の中を見ていきましょう。

吉松駅の駅舎は鉄筋コンクリートのもの。

1968年にこの駅舎になる前までは立派な木造駅舎が建っていました。

 

吉松駅前は少しだけ建物が立ち並ぶような小さな町並みという印象です。

 

みどりの窓口はありませんが、業務委託駅としてきっぷの販売はされてます。

 

待合室内は座敷になっていて、何故かちゃぶ台も置かれていました。

なかなか古そうな畳からも古民家らしさが出ています。

 

前回ご紹介した吉都線の終点ということもあり、キットカットと提携して絵馬を書くコーナーがありました。

 

また、待合室にはストリートピアノ。人が集まりすぎるところだと弾きづらかったりしますが、ここなら初心者の方でも思う存分弾けそうです。夜空を走る機関車や、陽に照らされる山々が描かれていました。

 

それでは改札の中へ。

駅舎と直結した単式ホームは現在使われておらず、花壇のようなスペースになっていました。

そのため、ホームへは必ず跨線橋を渡ることになります。普通駅舎と接したホームは使われることが多いのですが…。

 

ホームは島式ホームの2面4線。

はやとの風などの観光列車がやってくるからか、ホーム屋根もレトロチックになっています。

 

ホーム上には昭和感の漂うデザインの売店もあります。

元々閉店していたのをはやとの風デビューに合わせて再開、駅弁の立ち売りもしていたそうですが、2018年頃に再び閉店してしまったそうです。

 

それでは肥薩線に乗車し、隼人方面へ向かいます。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

次回
【ななつ星も停車】明治からの駅舎が残る嘉例川駅【九州一周10】

前回はかつて鹿児島本線と日豊本線の乗換駅であった、吉松駅を訪れました。   吉松駅から普通列車に乗車し、肥薩線で南へ向かいます。   今回ご紹介するのは、JR九州では一番注目されて ...

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目次
九州一周旅行を簡単にご紹介 シリーズ目次【九州一周0】

これまで僕は多くの場所へ旅行へ行っています。毎年夏休みなどを中心に様々なところへ行ったり、連れていってもらったりしました。 しかし、そんな中でも九州にはあまり行ったことがなく、小学6年生の頃に一度屋久 ...

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