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【進む松山駅高架化】大規模な貨物駅・車両基地移転でできた新駅「南伊予駅」[2021伊予灘(5)]
県庁所在地にしては寂しいと言われるJR松山駅、確かに中心部から外れていることもあり、三角屋根の小さな平屋駅です。 現在松山駅では高架化工事が行われており、この地上駅も見納めになります。 ...
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今日は伊予市駅から、宇和島行きの特急宇和海に乗車します。
この特急は予讃線に挟まれた、内子線という路線も走行。内子線は、元々赤字ローカル線だったのですが、今や特急街道になっているという異色の歴史があります。
今回はそれに至るまでの歴史を含め、現地の様子をご覧いただけたらと思います。
列車は予讃線と予讃・内子線が分岐する向井原駅を通過。
どちらも予讃線、という謎の状況が生まれていますが、特急が走るのは左側の予讃・内子線です。
新たに作られた路線であるため、全長6kmに及ぶ犬寄トンネルで山を貫いていきます。
スピードも120km/h近くであり、気動車特急として十分な速度です。
途中駅の内子駅に到着しました。
内子線が始まるのはここから先ですが、一旦下車。この辺りの線路の歴史について解説していきます。
こちらはかつての予讃線と内子線を示した路線図です。
宇和島までを結ぶ予讃線は海沿いに作られ、内子線は途中の五郎駅から内陸へ分岐する盲腸線でした。
正確な情報ではありませんが、当時の輸送密度は500人/日を下回るほどだったそう。国鉄時代には赤字83線に指定され廃止も考えられました。
そんな中で始まったのが、松山〜伊予大洲を内子経由で結ぶ新ルート建設です。海沿いルートは非常に遠回りであり、大洲まで行くのにわざわざS字の鉄路を走らなければならず、所要時間が余計にかかってしまっていました。
1986年、現在特急が走っている新ルートの予讃・内子線が開業しました。
内子線の五郎~新谷は廃止され、伊予大洲〜新谷に付け替えられました。また路線としての廃止はされていないものの、内子駅周辺も高架線へ変わっています。
また、伊予大洲〜新谷と内子〜向井原は予讃線として建設されたため、内子線は予讃線に挟まれた状態です。
廃止されてもおかしくない盲腸線だったのに特急が走る幹線へ。この成り上がりっぷりはとても面白いものです。
内子駅は現在高架駅になっています。
駅舎は高架駅の無機質さを感じさせない、昔ながらの町並みをイメージしたデザインです。
内子線の特急街道化に伴い、内子駅は移転しました。立派な高架線を横目に、かつての内子駅跡地を見に行ってみましょう。
内子駅跡地があるのは内子自治センターのあたりです。
プレートと標だけがその場所を示しており、そこまで駅跡らしさは感じられません。
内子町は町並み保存を積極的に行っており、多くの観光客が訪れます。特急列車で簡単に来ることができるため、アクセスの良さが味方をしてくれました。
内子駅の駅前にはSLが保存されています。
その横には内子駅が終着駅だった当時の駅名標まで。ローカル線としての内子線をいつまでも物語ってくれるようです。
後続の特急宇和海に再び乗車。
こちらが昔からあった内子線の区間です。ここでも最高速度は110km/hなので、線路は改良されているのでしょう。
予讃線が再び合流する地点、伊予大洲駅に到着しました。
向こうには伊予灘ものがたりが停まっているところでした。かつて特急が走っていた予讃線旧線(愛ある伊予灘線)を走る観光列車です。
2022年からは伊予灘ものがたりが特急化するため、旧線に特急が復活します。
二手に分かれた上、予讃線に挟まれているという不思議な路線となった内子線ものがたり、お楽しみいただけたのならば嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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