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なぜ佐賀・長崎にD&S列車が無かった?ふたつ星4047がデビューする理由を考察

JR九州は2022年秋の西九州新幹線(武雄温泉~長崎)の開業に合わせ、新たなD&S列車、特急『ふたつ星4047』の運行開始を発表しました。

多くのD&S(デザイン&ストーリー)列車を走っており、JR九州と言えばD&S列車と言っても過言では無いでしょう。

しかし、このような列車の分布は少々偏ったものであり、長崎・佐賀にはほとんどありません。

今回は、

①なぜ佐賀・長崎エリアにD&S列車が少ないのか

②なぜ今回二つ星4047が投入されるのか

について考察したいと思います。

まずは現在走っているD&S列車について、分類してみましょう。

 

1.特急列車としての役割が強いもの

ゆふいんの森(博多〜由布院〜大分・別府)

1989年にデビューし、D&S列車はここから始まりました。キハ185系による特急ゆふと共に久大本線の特急として走ります。

あそぼーい!(熊本〜阿蘇〜大分・別府)

九州横断特急、あそ、あそぼーい!のそれぞれ1往復ずつが走る豊肥本線。あそぼーい!は木のボールプールや、親子席である白いくろちゃんシートなど、子供が楽しめる特急としても設定しています。

これら2つの列車は特急としての役割が大きく、阿蘇や由布院といった観光地を経由するために、観光列車としての付加価値が与えられたものです。元々ある程度の需要があって、それをより大きなものにしているのだと感じます。

2.九州新幹線の利用促進に関連付けられたもの

はやとの風(鹿児島中央〜吉松)※現在運行休止

2004年3月13日、九州新幹線の新八代〜鹿児島中央の開業と同時にデビュー。

指宿のたまて箱(鹿児島中央〜指宿)

2011年3月12日、九州新幹線全線開業と同時にデビュー。

A列車で行こう(熊本〜三角)

2011年10月8日にデビュー。天草への観光ルート形成を目的として設定されましたが、同年3月に博多〜熊本が新幹線で繋がったことも関係しているはずです。

D&S列車を目的のひとつとして、九州新幹線で熊本や鹿児島中央へ来てもらおうという狙いが見て取れます。列車のデビューが九州新幹線の開業に合わせていることからも明らかでしょう。



3.ローカル線利用の促進をするもの

海幸山幸(宮崎〜南郷)

この列車は宮崎県唯一のD&S列車として、日南線を走ります。

宮崎までの交通手段として、特急にちりんシーガイアや高速バスB&Sみやざき(新八代〜宮崎)、九州新幹線の利用を促進しているとも考えました。

しかし予想に過ぎませんが、宮崎空港からのアクセスが良く、博多からの鉄路も遠回りであることから、その効果は日南線の利用者向上に過ぎないのではと感じます。



かわせみやませみ・いさぶろうしんぺい・SL人吉(熊本〜吉松)※現在災害により運行休止・別区間での運行

かわせみやませみは、デビュー前年の2016年に廃止された特急くまがわと同じ、熊本〜人吉を走ります。さらに熊本までの新幹線利用を見込んでいる面もあり、1や2の要素も含んでいます。

しかし、かわせみやませみ・SL人吉(熊本〜人吉)、いさぶろうしんぺい(人吉〜吉松)、そして戦術のはやとの風(吉松〜鹿児島中央)を合わせ、D&S列車を乗り継いでもらって肥薩線全体を活性化させようという考えのほうが強いと思ったため、こちらに分類しました。

このように考えた理由は現在運行できている吉松〜鹿児島中央において、はやとの風の運行がされていないためです。1つの観光列車単体では十分な効果を発揮できず、肥薩線不通前のルートの形成が必要と判断がされていると予想できます。



これを踏まえて、佐賀・長崎地区の特急列車網を見てみましょう。

博多~長崎には特急かもめ、博多~佐世保には特急みどり、博多~ハウステンボスには特急ハウステンボスが走っています。

高頻度で特急が走っている現状では、ゆふいんの森やあそぼーいに類するD&S列車を走らせる必要性は見受けられません。

唯一走らせられそうなのが、長崎と佐世保を結ぶ大村線です。しかし、大村線はある程度の利用者がいます。

大村線の輸送密度は3520、これはD&S列車の走る日南線(田吉〜油津)934指宿枕崎線(喜入〜指宿)1661などと比較してもかなりの多さです。

(JR九州 線区別ご利用状況(2020年度)より)

長崎と佐世保を結んでいた特急シーボルトが廃止されたとはいえ、新たなD&S列車に投資する必要性も無いのでしょう。



現在、佐賀・長崎地区で走っているD&S列車は36ぷらす3と或る列車です。しかし、この2つの列車はこれまで紹介してきたD&S列車と異なります。

或る列車は佐賀~長崎、長崎~佐世保、博多~ハウステンボスなど様々なルートが取られる旅行商品です。ななつ星のような豪華列車を気軽に楽しめるようなものになります。36ぷらす3は九州を一周するというコンセプトと共に全席グリーン車、JR九州の広告としての役割もあります。

これらの列車には、普通のD&S列車に+αの付加価値があるため、重複する特急かもめ・ハウステンボスと差別化して成り立っているのです。



ふたつ星4047については、一般的なD&S列車としてデビューすることが予想されます。

この列車のデビューにおいて、明らかに西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)の開業が関係しているでしょう。

西九州新幹線が開業すると、速達性を求める人は新幹線に流れ、在来線の武雄温泉~長崎については需要が浮くこととなります。

ふたつ星4047は利用者が減少する在来線部分を補完します。また武雄温泉〜長崎においてD&S列車を楽しみたいという新たな需要を興すこともできるのです。

また、往路復路で異なるルートを取ることで多くの沿線自治体と連携し、新たな観光列車のアピールを広く行うことができます。

さらに観光客は多くの選択肢を与えられ、長崎・佐賀の広域的な観光地活性に繋がることでしょう。

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今回の記事においての考察は個人的な考えも含まれ、的はずれな部分があるかもしれません。

もし気になる点などございましたら、コメントをお寄せください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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