本日10月25日、近畿車輌で製造された新型やくも273系が、東海道本線・湖西線を走りました。
遂に本線上での試運転が始まった新型やくも号、現在見られる限りで42年ぶりの新型車両の様子をお届けします。
本当は新型やくもを先回りするはずだったのですが、踏切内に人が立ち往生したため、湖西線の列車が遅延。
結果的に京都駅0番線ホームへ到着する、新型やくもを一足早く見られました。4両×2編成が製造されており、こちらを連結した8両編成での試運転です。
車内では作業員の方がいらっしゃり、湖西線へ入るにあたって、高速走行などの検測が行われると思われます。
パンタグラフが真ん中2両、1車両あたり2機付いていますが、現在は片方のみ上がっている状態です。
0番線ホームの向こう側、30番線ホームに停車中の281系特急はるか号と顔合わせしていました。
2分ほど停車していまして、湖西線へ向けて出発して行きました。
30分遅れで湖西線新快速電車が到着。新型やくもを追いかけます。
新型やくもはおごと温泉駅の待避線に停車中。ここで追い抜きました。
湖西線永原駅で下車しまして、新型やくもの到着を待ちます。
2番線ホームの到着チャイムが鳴りましたが、トンネルからかなりゆっくりしたスピードで、中々その姿を見られません。
かなりゆっくりしたスピード、環境にも優しいVVVF制御の音を静かに立てての到着です。
試運転で見られる範囲ですが、遂に本線上へ姿を現した、列車の様子を見てみましょう。
こちらは到着時の先頭寄り、8号車普通車です。
行き先方向幕には試運転の表示。
やくも号の利用状況からすると、営業列車で8号車の番号を見ることは少なくなりそうです。
各車両には製造元の近畿車輌を示す紙が貼られていました。
こちらはトップナンバーとなる、「クモハ273-1」。金色っぽい金属板で、車体に馴染む色合いです。
続いて台車に注目してみましょう。
プラレールかと思うくらい、ピカピカに輝いています。
現在の381系特急やくもでは自然振子装置を用いており、カーブで車体を傾けたあとの振り戻しで酔いやすくなっています。
そこで273系新型やくもでは、制御付自然振り子方式が採用されました。車上型の制御付自然振り子方式を採用するのは、こちらが全国初です。
他にも床下にはモーターやブレーキ関連の機器が設置されています。
こちらの台車近くにも「振子空気制御装置」「振子元空気制御装置」と書かれており、各台車に取り付けられているようでした。
7,8号車間には、蓄電池箱と汚物処理装置が備わっています。
その真上にあるのが、車いす対応お手洗いです。新型車両ということで、バリアフリーにも対応しました。
「モダンに八雲立つ、伝統を継承」をモチーフにした、やくものロゴマークが描かれています。
続いて屋根上にも注目。
2つ備わっているパンタグラフは、やはり片側のみ上がっていました。
こちらは降雪時など電力取入元を強化する必要がある時、使用するのでしょうか?
もう1両の電動車、6号車についても同様でした。
こちらも運転台があります、5号車です。
クモロハ272-1となっている通り、半分がグリーン車、半分が普通車です。
向かって左側がグリーン車、右側がグループ向け座席のセミコンパートメントになります。
グリーン車の窓は2席で1枚、間がブラインドレールで仕切られています。一方でセミコンパートメントの方は、大きな窓1枚だけです。
4,5号車の間で連結されており、しっかり貫通扉を開いて幌も繋がっていました。
「沿線の自然・景観・文化・歴史を尊び、お客様と交感する色」としている、車体色の『やくもブロンズ』。
宍道湖の夕日のうこん色、たたら製鉄にちなんだ黄金色をイメージしているそうです。あかがねの輝きは、太陽の光を正面に受けると特に際立ちます。
273系電車の顔は、JR西日本の特急型電車でよく見る形。
しかし、振り子式車両で重心を低くする兼ね合いで、車体の肩部や裾部を絞ったデザインとのことです。
運転席は高い位置に設けられており、頭が丸いのも特徴。
貫通扉が両側のスライド扉で収まっている形、やくものロゴマーグが描かれています。
ライトの形状は丸っぽく、非常に優しい印象となっています。
グリーン車の乗降扉と隣接して、乗務員扉が設けられています。
放送機器などはデッキ側の壁に取り付けられていました。
特に気になったのは、オルゴールの起動ボタン。
やくもチャイムが残るのか、それとも新しいものになるのか…。
運転台は高い位置にあるので、ここから上へ登る形です。
こちらは半室グリーン席が設けられた1号車。
フルLEDの行き先方向幕は、やはり試運転です。
先日の報道公開では、「キハ181系やくも」、「381系やくも」それぞれのヘッドマークを再現する表示もありました。
完全にブラインドが閉まっていたので分かりませんでしたが、こちらがグリーン席。
座席やこのブラインドには、富と長寿の象徴である亀の甲羅をイメージした「積石亀甲」模様が使われています。
その後ろ側が、セミコンパートメント。
大型テーブルを挟んだ2人座席と4人座席を、2組ずつ設けています。座面を展開してフラットにできるとのこと。
こちらが1,2号車間のデッキです。
国鉄時代の雰囲気を残す、現在の特急やくも。
それが見違えるほど一新されて、ピカピカになりました。
セミコンパートメントを示す案内シールには、ロゴマークが描かれていました。家族やグループで楽しむ団らんの様子を図案化したものです。
振子装置の操作盤は、デッキ部分奥に備わっています。
車上の曲線データと走行地点のデータを照合し、曲線区間に入るタイミングで車体を傾斜させることが可能。滑らかに遠心力を打ち消すことができて、酔いやすい現行の自然振り子方式から、乗り心地が大きく向上します。
デッキ床には、様々な機器が置かれていました。
普通車のブラインド一部開いており、座席を見ることができました。
座席には沿線の山々をイメージした緑系を配色。古来から神事に用いられ、魔除けの意味もある「麻の葉柄」模様をあしらっています。
座り心地も改善したそうで、全席にコンセントが備えられました。
ここでお隣のホームを、特急サンダーバード号が通過。山陰特急と北陸特急が、湖西線でのすれ違いです。
貫通部の車両断面部に表記されています、車両の情報です。
中国統括本部・出雲を意味する「中イモ」の表記。
グリーン車とコンパートメント席を備えた、クモロハの定員は29人です。
一方で、普通中間車のモハでも34人。意外とその差は小さいものでした。
乗降扉に注目していると、床下からコードが車内へ繋がっています。
モニターも置いてあるようだったので、走行時モーター等の測定を行っているのでしょう。
先頭車同士の連結面を、近くで見てみます。
JR西日本では車両連結部転落防止のため、転落防止幌を付けるか、連結部でも前照灯を点灯するかの策が取られています。
ここから見ると前照灯は点いているようでしたが、先程の写真を見るに注意を引き付けるほどの明るさではなかったように思います。
多客時でもグリーン車を備えた編成を増結するとは考えづらく、5号車グリーン席は試運転限りかもしれません。
折り返し京都方面へ出発しようという頃、特急サンダーバードが追い抜いていきました。
やはりこの2列車が一緒なのは、試運転ならではの貴重な機会です。
さらに、お隣には223系新快速電車が到着。関西地区の近郊電車と一緒にいるのも、当然ながらレアです。
15時ちょうど、モーター音を立てながら新型やくもが出発しました。
外から見るだけでもワクワクするのに、車内デザインや機能も魅力的。
最新の振り子性能を発揮するこの新型車両で、伯備線の旅をできる日が今から楽しみです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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