福井県の東側では福井市を中心として、福井鉄道とえちぜん鉄道2社の私鉄が走っています。
低床車両による路面電車を走らせている福井鉄道ですが、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転を行っています。
こちら、福井鉄道とえちぜん鉄道の運行系統を基準とした路線図です。
福井鉄道は越前武生〜田原町を本線とし、普通列車は福井駅まで1区間だけ寄り道をします。
えちぜん鉄道は福井〜田原町〜三国港までを結びます。
今回注目する急行列車は、越前武生〜鷲塚針原を走ります。田原町〜鷲塚針原は、えちぜん鉄道に乗り入れる形です。
こちらは福井鉄道福井駅停留所です。
この列車は越前武生行きで、えちぜん鉄道に直通運転する急行列車は福井駅に入ってきません。
使用されているのは、かつて名鉄美濃町線・田神線で走っていた880形車両です。
連結部は丸く縁取られていまして、なんとも面白い形でした。
福井駅からは0.7kmの支線を走って、本線へ合流していきます。
接続地点となっている、福井城址大名町に到着。
この列車は越前武生行きなので、進行方向を変えて直進します。
本線との乗換駅ですが、一般的な路面電車の駅と変わりない2面2線の構造です。
液晶の発車標を見ていると、鷲塚針原行きの急行が表示されました。
これは路面電車車両による運行で、急行列車というのが面白いポイントですね。
越前武生からの路面電車がやってきました。
何の変哲もない新しいこの車両が急行とは、かなり違和感がありますね。
車両の名前はフクラム。福井鉄道の路線図をモチーフにしたFマークが描かれています。
福井鉄道の終着駅、田原町を前にしています。
正面にはえちぜん鉄道三国芦原線が伸びており、福井鉄道はこれに向かって合流していくのです。
2番線は福井鉄道とえちぜん鉄道共同のホームです。
運転士さんも、えちぜん鉄道の方に交代していきます。
普通の鉄道と路面電車はホームの高さが異なりますから、このように段差ができており、階段が作られています。
ここから先せっかく直通している訳ですが、お客さんは田原町駅でほとんど降りていってしまいました。
昼間とはいえ、これではあまり意味が無いのではと思ってしまいます。
田原町駅を発車。普通鉄道車両が走る線路上を、これまで通り路面電車が走っていきます。
カーブしながらスーパーマーケットの中にある福大前西福井駅へ入りました。
向かいに停まっているのは、えちぜん鉄道の路面電車車両。福井鉄道のフクラムに対して、ki-bo(キーボ)です。
日華化学前駅は図のように高さが異なる構造。
手前側が普通鉄道用、奥側が路面電車用として、使い分けられているのです。
次の八ツ島駅も同じような構造をしています。
それぞれ停車位置を分別して、ホームを使い分けているのです。
新田塚駅では行き違いのため、4,5分程の停車。
左右でホームの高さが異なっており、右側は首都圏グリーン階下席からの景色のようです。
外から見てもホームの高さの違いが一目瞭然でした。
向かいからはえちぜん鉄道、福井行きが到着しました。
この福井行きは路面電車の福井鉄道福井駅停留場とは異なり、高架駅のえちぜん鉄道福井駅に向かいます。
えちぜん鉄道で一番長い橋梁で、九頭竜川を渡っていきました。
今後開業予定の宇都宮LRTの鬼怒川の方が立派で長い橋梁ですが、こちらも十分立派です。
えちぜん鉄道区間で急行が唯一通過するのは、この中角駅です。
ここには低床ホームがつくられておらず、物理的にも路面電車から降りることができません。
さらに屋根もない臨時駅、仁愛グランド前の横を通過していきます。
この駅は仁愛学園グラウンドで行われる、仁愛女子短期大学・仁愛女子高等学校の体育祭に合わせてオープンする駅です。
一般客は利用できず、仁愛学園の関係者だけが乗降できます。そのため路線図に書かれることも稀です。
急行の鷲塚針原に到着。
こちらもプラットホームが分けられており、路面電車用が追加で作られたことが分かります。
路面電車用ホームの先は線路が繋がっておらず、車止めで終点になっていました。
普通鉄道用ホームからは路面電車をやや見下ろすような形です。
鷲塚針原駅の駅舎は、登録有形文化財にも指定されていました。
急行列車は1時間に1本の運行。確かにここまでの利用客は1人でしたから、それぐらいで十分と感じました。
福井方面から、えちぜん鉄道の普通列車が到着。
ホームを挟んで路面電車と並んで停車します。
こちら側はたくさんの方が乗られていて、路面電車との差がかなり激しかったです。
今回ご紹介した急行の路面電車は、フェニックス田原町ラインと名付けられています。
太郎丸エンゼルランド、西春江ハートピア、西長田ゆりの里、下兵庫こうふくは4連続で駅名が変更されており、かなり個性的なものが続いていました。
路面電車ではかなり揺れていましたが、大きな普通鉄道車両になりますと、かなり安定するようになります。
あわら湯のまち駅に到着。
北陸新幹線も来る予定のJR芦原温泉駅ではなく、えちぜん鉄道の方です。
三国駅は2018年に完成した綺麗なガラス張りの駅舎。
有名な東尋坊へのバスがここから発着します。
かなり古そうなレンガのアーチの下をくぐりました。
終点の三国港駅に到着しました。
えちぜん鉄道ではアテンダントさんを採用されておりまして、その方に切符を見せて降ります。
その先には海が広がっており、まさに港という感じです。
駅舎は木造で、レトロなものが残されています。
それでは普通列車で戻っていきましょう。
直通路面電車の終点となる、鷲塚針原駅に到着。
横に路面電車が停まっているのはやはり違和感ばかりです。
さて、途中下車したのは中角駅です。
この駅は、えちぜん鉄道区間で唯一路面電車が通過する駅。
このように路面電車が颯爽と通過していきました。
一方で普通列車は停車します。
一つ一つ停まっていくイメージの路面電車は急行として通過し、ローカル線とはいえ鉄道は普通列車として停まる。そんな逆転現象が起こっているのです。
田原町駅に戻ってきました。ここからは引き続きえちぜん鉄道を走ります。
高架線で北陸本線と北陸新幹線の間をすり抜けて交差。
カーブしながら右手には、えちぜん鉄道の車両基地を見られます。
アテンダントさんは福井口駅で降りられました。
福井駅周辺の都市部については、高架駅が続いています。
えちぜん鉄道福井駅の高架化にあたっては、すぐ横に見えている北陸新幹線高架橋が深く関わっていました。
2015年から2018年までは北陸新幹線の高架を利用して、そこに福井駅の仮ホームを設置していたのです。
福井駅に到着するところでは、2024年に開業する北陸新幹線ホームが見られました。実際に新幹線が来るのが楽しみですね。
えちぜん鉄道は駅名称デザインに凝っている印象で、こちらはわざわざ木製です。
路面電車と普通鉄道ということで、ホーム工事含めなかなか非効率だと思います。
しかし小さな私鉄が手を取り合って、地域輸送を強化していく、そんな姿を垣間見ました。
全国的にも非常に面白い鉄道だと思いますから、ぜひいらしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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