ここに名古屋市営地下鉄の簡単な路線図があります。
5色のラインカラーで分けられていますが、地下鉄によく採用される1色が足りていません。
それは緑色です。
現在日本の9都市で一般的な地下鉄が運行されていますが、緑色が無いのはここ名古屋市だけ。
しかし、実は名古屋にも緑色の路線が計画されていた過去があります。
それが今回ご紹介する、名古屋市営地下鉄8号線。枇杷島駅から楠駅(城北線味美駅周辺)までを結ぶU字型の路線です。
今回は8号線の乗り換え予定駅に残された遺構をご紹介します。
まずは浅間町駅にやって来ました。
鶴舞線の駅のひとつで、8号線は交差するのではなく近づくようにして、乗換駅となる予定だった駅です。
もともと浅間町駅は■の位置、そして鶴舞線は広い道の下、太い水色の線を通る予定でした。
しかしこの時点で8号線は計画されており、鶴舞線との乗り換えの利便性を高めようと考えられたのです。
その結果、鶴舞線は広い道路ではなく現在のルートを走るようになりました。
そんな浅間町駅のホームからは8号線建設関連の遺構を見ることができます。
それが駅から見える四角いトンネルです。
通常地下鉄のトンネルは駅を離れると丸い形になるのですが、こちらは箱型トンネルが並んでいます。
これは鶴舞線と8号線を結ぶ連絡線を建設しやすくするためと予想できます。
また、もうひとつ注目したのは3番出口です。
こちらは少々不自然に、ぐにゃりと曲がった出口となっています。このような形の出口は他の地下鉄駅でも見られるもので、実際こちらの1番出口もそうです。
ここで8号線の建設ルートを当てはめてみました。
すると出口の形が、まさに将来建設されるであろう地下鉄の設備を避けているようです。
一見見過ごしてしまう地下鉄の出口でも、未成線のことを考慮すると面白いポイントとなります。
さて、続いてやって来たのは国際センター駅です。
こちらは名古屋駅のお隣、桜通線の駅。まずは駅構内の案内図を見てみましょう。
桜通線があるのは地下3階、改札階は地下1階で謎の地下2階が存在します。
現在地下2階はご覧の通り、長い階段の踊り場と化していました。
8号線はこの地下2階の高さに作られることを計画していたそうです。
そういう事もあって元々地下深くを走る桜通線ですが、国際センター駅近くになると更に低くなっていました。
また、国際センター駅の3番出口は非常にクランクの多い通路となっています。
これも改札内で8号線へ乗り換えられるような構造にするため、かなり苦労して作られたようです。
お次はまた鶴舞線の駅、大須観音駅です。
この駅には特別これといった遺構は残っていません。
なぜやって来たのかと言うと、将来8号線がやって来た時プラットホームの上小田井方面に乗換通路が作られる予定だったからです。
と言っても、これを見るだけでは実感があまり湧きません。
しかし別の駅と見比べてみると分かりやすくなります。
そこでやって来たのは御器所駅です。
こちらの駅は大須観音駅と同じ日に開業、その後桜通線との乗換駅として改造されています。
そのため大須観音駅が仮に乗換駅だったら…というのを体感できるのです。
プラットホーム川名方面には、それぞれ桜通線への乗り換え通路が設置されています。
もともと普通のプラットホームだったのですが、後から右側の乗換通路が付け足されました。
最後に訪れたのは桜通線、高岳駅です。
やはり昔からある名城線ではあまり遺構を発見できず、比較的新しく敷かれた鶴舞線、桜通線の駅で見られました。
さて、注目するのは広いホームの桜山方面突き当りの壁です。
ここには8号線へ改札内乗り換えができる、階段が設置される予定でした。今ではご覧の通り、非常用階段に転用されています。
この階段は改札階の緑四角へと続き、本当ならば奥の8号線ホームへ伸びるはずでした。
また、8号線近くの改札は切符売り場奥にある、お手洗いの奥に作られる予定だったそうです。
現在8号線の計画は殆ど無くなっています。しかし、一部は新たな路線網として引き継がれているのです。
それが、金山線と南部線の2路線です。
名古屋市営地下鉄が現在の形となったのはかなり最近。名城線が環状となったのすら2004年で、最後の開業区間は2011年の桜通線 野並〜徳重です。
地下鉄という大がかりな工事であることからも、敷設には慎重な都市計画が必要になります。
しかし、これからも新たな交通網が出来るのではないかと胸が高鳴るものです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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