8月8日、気象庁から南海トラフ地震臨時情報が発表されました。
これに伴い鉄道各社では、列車運行の見直しが行われています。津波の影響を受けるであろう伊勢志摩を路線網に含む、近鉄もその一つ。
伊勢志摩ライナーや観光特急しまかぜなど、近鉄特急は全て伊勢市内までの運行になりました。
このほか、近鉄名古屋〜大阪難波を結ぶ名阪特急ひのとりも、途中停車駅が増加。桑名,近鉄四日市,白子,大和八木に停まります。
普段とは違う様子の2つの列車、これらを組み合わせて名古屋から大阪を移動してみました。
まずは近鉄名古屋駅より、観光特急しまかぜ号に乗車。
通常は賢島行きですが、今日は伊勢神宮の最寄駅である宇治山田行き。
発車標は対応していないようで、空白になっていました。
ホーム上でも途中停車駅は書かれておらず、駅員さんによる案内がなされています。
一番端っこの5番線ホームに入線。夏休みシーズンで多くの親子の注目を浴びていました。
列車の行き先表示は、しっかり「宇治山田」を示していました。
南海トラフ地震臨時情報の影響を受けてキャンセルした方がいらっしゃったのか、人気のしまかぜでも2,3日前に座席を確保できました。
今回は階段を登った先の高い位置にある、ハイデッカーの1号車になります。
10:25 近鉄名古屋駅 発
時刻通り近鉄名古屋駅を出発、程なくして地上へ登っていきます。
自動放送は対応していないようで、チャイムに続いて車掌さんによる肉声放送が行われていました。
ハイデッカー車両については車内表示器がLED式。停車中は車内情報が流れていましたが、その後は何も出ていないままです。
ハイデッカー車両ではない2号車には、液晶ディスプレイが設置されていました。
ずっと張っていたものの撮影できませんでしたが、「宇治山田行き」にも対応しています。
桑名駅通過時には、しまかぜの運行ルートと共に、通過の案内もスクロールされました。
まもなく近鉄四日市駅に到着。乗換案内も流れます。
観光特急しまかぜは、近鉄四日市駅を出発すると次は伊勢市駅。県庁所在地駅の津駅も通過です。
10:52 近鉄四日市駅 着
近鉄四日市駅においては、発車標も「宇治山田」と表示できていました。
宇治山田駅では観光特急しまかぜから接続する形で、鳥羽・賢島方面の臨時列車が走っているとのこと。
一時はその臨時列車に、特急車両が使われていたそうです。
名阪特急ひのとりは全列車が停車駅を「大阪上本町駅、鶴橋駅、大和八木駅、津駅、白子駅、近鉄四日市駅、桑名駅」にしています。
今度は近鉄四日市駅から、停車駅が多くなった特急ひのとりに乗ってみることにしました。
1日1本だけ、最終の特急ひのとり近鉄名古屋行きが「桑名駅、近鉄四日市駅、白子駅」に停まっていますが、大阪難波行きでこれらの駅に停まるのは通常ありません。
今回の停車駅変更は急遽決まったため、追加された特急停車駅発着の特急券は購入することができません。
そのため車内で車掌さんに申し出て、購入することになります。
近鉄名古屋駅からやってきました、特急ひのとりが入線です。
本来この列車は大和八木駅も通過する、最速達型になっています。自動放送も停車駅案内に対応していました。
11:25 近鉄四日市駅 発
ちょうど乗り込んだ6号車のデッキに車掌さんがいらっしゃいまして、こちらで特急券を購入します。
近鉄四日市駅から大阪難波駅までの特急券は1640円、ひのとり特別車両料金200円を追加して、1840円となります。
座席指定はできないので、空席に座ることとなります。
今の所窓側も空いていましたが、津駅からどの座席も相席になる様子だったので、デッキに立っていることにしました。
車内の液晶ディスプレイは表示が無く、放送も車掌さんによる肉声放送で行われていました。
2020年にデビューしたひのとりにも喫煙室が設けられていましたが、2024年3月から全特急列車の喫煙室が廃止されています。
列車は白子駅に停車しました。
やはり臨時停車ということもあり、停車時間はかなり短めです。
普段近鉄名古屋線内は大人しめですが、最高速度120km/hで飛ばしています。
停車駅増加により2,3分程度遅れが発生しているので、回復運転を行なっているのでしょう。
全ての名阪特急が停車する、県庁所在地の津駅に到着。
お隣のJR紀勢本線を走る特急南紀は、南海トラフ地震臨時情報に伴い全列車が運休中です。
本来この列車は鶴橋駅まで通過しますが、今回は大和八木駅にも臨時停車します。
11:45 津駅 発
通常の停車パターンのためか、津駅からは自動放送が流れ始めました。
一方で車内の液晶ディスプレイはそのままです。
中川デルタ線を通りまして、大阪難波方面へ。
近鉄名古屋から伊勢方面、伊勢方面から大阪難波方面の線路と共に、三角形を作っています。
5号車のデッキにはベンチがあるので、座席を指定していない人にとっては良いかも。
ひのとり同士すれ違いつつ、青山峠を越えていきます。
新青山トンネルは大手私鉄のトンネルでは国内最長、5,652mに及び円滑な都市間輸送を支えます。
停車駅の多い乙特急が停まる名張駅や伊賀神戸駅などについては、全て通過していきました。
12:38 大和八木駅 着
奈良県における代表駅の一つ、大和八木駅に到着です。
こちらからは近鉄京都線が分かれています。
奈良県の田園風景から大阪の都市部へ。
金色に輝くシンボルに、落ち着いた赤色を取り入れた車内。この空間から景色を眺められるのも素晴らしいです。
遠くの方にあべのハルカスが見えてくると、まもなく鶴橋駅到着の放送が流れました。
続いて大阪上本町駅に到着。
13:08 大阪難波駅 着
終点の大阪難波駅には、定刻通り13:08の到着。回復運転によって遅れを十分に取り戻すことができたのでしょう。
特急ひのとりの停車駅増加については、特にはっきりした理由は分かりませんでした。名古屋・大阪〜伊勢市の特急本数自体は減っておらず、途中駅の乗降客はその影響を受けていないはずです。
一つ考えられるのは、停車駅を増やすことで、地震が起きた時駅に停めやすくし、避難を円滑に行うためかなと思いました。
南海トラフ地震臨時情報に対する鉄道各社の対応には、さまざまな意見があると思います。あまりに過剰すぎるとの考えも分かる一方で、地震発生の可能性が高まったのは確かです。
鉄道会社は日々安全な輸送を行うプロですから、ぜひ乗客としてはその判断を信頼していきたいと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。