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【新時代D&S列車デビュー!】新観光列車かんぱち・いちろくの旅 水戸岡デザインじゃない!?[2404かんぱちいちろく(2)]
JR九州といえば観光列車、そんなイメージを作り上げたのが「D&S(デザイン&ストーリー)列車」です。 その先駆けとなったのが、1989年にデビューした特急「ゆふいんの森」。 JR九州の ...
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2024年3月23日をもって運行終了した、国内最古の蒸気機関車SL人吉。
人吉へのD&S列車として運行していましたが、令和2年7月豪雨によって肥薩線が被災。主に鹿児島本線の熊本〜鳥栖で運行したのを最後に、ラストランを迎えました。
一方で旅客が乗る50系客車は、引き続き乗車可能。SL人吉がラストランを迎えてから初めて、50系客車を使った一般旅客列車が運行されました。
その名も久留米〜由布院を久大本線経由で走る、快速ゆふいん。DE10形ディーゼル機関車により牽引する、客車列車です。
GW期間の4月27日、29日、30日、5月1日〜4日、6日に運行する臨時列車となっています。
今回はこちらの快速ゆふいんをご紹介。現在も残されているSL人吉の雰囲気を感じながら、久大本線客車列車の旅をお届けします。
久大本線の始発駅、久留米駅に来ました。
ゆふいんの森3号が出発して6分後、10:54発快速ゆふいんの表示があります。
日田駅〜由布院駅において、特急ゆふいんの森3号は天ケ瀬駅、豊後森駅に停車します。一方で、快速ゆふいんは日田駅〜由布院駅がノンストップです。
快速ゆふいん号は全車指定席の快速列車。
ディーゼル機関車での運行ですが、指定席料金はSL人吉時代に値上げされたのと同じ、1,680円です。
通常は鳥栖・博多方面の鹿児島本線が発着する、5番のりば。
久大本線の快速ゆふいん由布院行きが停車中です。
SL人吉の蒸気機関車とセットの立ち位置だった、DE10形ディーゼル機関車に引っ張ってもらいます。
先頭はDE10 1207号機です。
側面には「熊」と書かれていますが、こちらは熊本車両センター所属です。
国鉄分割民営化当初、久大本線の客車列車牽引に使われていたのが転属していました。今回快速ゆふいんを牽引することになり、故郷へ戻ってきたような形です。
牽引するのは、SL人吉で使われていた50系客車。
車端部には展望ラウンジを備えたフリースペースが設けられています。
車体にはSL人吉のロゴマークを至る所に見ることができ、かつての姿をここに表しています。
4月27日、5月6日に関しては、客車の両端にディーゼル機関車を併結しての運転。
今日は最後部にも、DE10形ディーゼル機関車が連結されていました。
こちらはDE10-1206。
国鉄分割民営化時には大分にいましたが、鹿児島総合車両所を経て、熊本に来ていました。
ちょうどここで、特急ゆふ号博多行きが到着。
特急ゆふいんの森、特急ゆふ、快速ゆふいんが並ぶ、由布院関連の列車だらけになりました。
全く知らなかったので不意打ちでしたが、しばらくするとクルーズトレインななつ星in九州も通過。
JR九州にいる機関車まで揃う状態になりました。
車体側面には「快速ゆふいん」のサボが入っており、専用のものをわざわざ用意しているとは驚きました。
客室はボックスシートが基本で、端には2人掛けの座席が設けられています。
くすんだ色合いのモケットに木目調の壁面などが、昔ながらのレトロな空間を保っています。
列車は3両編成で、今回は一番後ろの3号車。その端っこにある展望ラウンジへ来ました。
10:54 久留米駅 発
出発時には客車列車ならではガコンっという振動を感じつつ、だんだんと速度を上げていきました。
鹿児島本線の複線上を平面交差しつつ、久大本線へ転線します。
今回はSL人吉引退後初めての、50系客車を使った一般列車でしたが、意外と空いていました。
南久留米駅で停車し、反対の普通列車と行き違います。
通常の客席もですが、展望ラウンジでは一部の窓を開けることができます。
こうして風を感じながら客車列車の旅ができるのも、非常に素敵な体験です。
河童の形をした田主丸駅を通過。
反対では普通列車が停車しており、行き違いが行われました。
昨日は新D&S列車特急いちろくで歓迎を受けた、うきは駅を通過します。
平野部から山間部へ入り、筑後川を渡ると福岡県から大分県に入りました。
日田彦山線の分岐駅、夜明駅を通過です。
日田彦山線の添田〜夜明は列車が走ることがなくなり、日田彦山線BRTひこぼしラインとして2023年夏に運行再開しました。
光岡駅で運転停車し、普通列車と行き違います。
11:51 日田駅 着
肥薩線被災後SL人吉は鳥栖〜熊本を走っていたので、そんなに不思議なことはありませんが、日田駅で人吉の名前を見るのは違和感があります。
日田駅では2分間の停車、乗員さんもここで交代されました。
特急いちろくと同様に、シャボン玉でお見送りしてくださいました。
SL人吉の姿をそのままに残している、客車内の探検へ。
快速ゆふいんでは営業していませんが、2号車にはビュッフェがありました。
背面には不思議な絵が描かれており、棚などが設けられています。
冷蔵庫も完備しており、おそらくドリンクなど入っていたのでしょう。
近くには陳列棚として、JR SHOPと書かれた棚も。
肥薩線沿線の名産品などが中心でした。
SL人吉58654号機の紹介も残っており、本当にSL人吉時代から変わりない姿です。
1号車にはSL人吉や肥薩線の紹介ブースも。
八代駅から人吉駅へ球磨川に沿った線路、沿線の山々や文化的価値の高い橋梁などが紹介されています。
令和2年7月豪雨で被災した肥薩線ですが、川線と呼ばれる八代駅〜人吉駅は復旧見込み。実現する時には新たな観光列車が生まれてくれれば嬉しいです。
進行方向前寄りの1号車にも、展望ラウンジが設けられています。
こちらは白木、メープルウッドを使っており、かなり明るい雰囲気の展望室です。
3号車へ戻りつつ、天ケ瀬駅で運転停車が行われました。
特に行き違い等は無く、信号待ちの運転停車です。
3号車の一角にはフリースペースのベンチシートがあります。
SL文庫と呼ばれる本棚には本が立てられていたのですが、こちらは無くなっていました。
ベンチの正面には、水戸岡鋭治さんによるSL人吉のイラストが掲げられます。
3号車の展望ラウンジに関しては、高級感あるローズウッドによって作られました。
1号車と比較してより落ち着いた空間です。
豊後森駅で運転停車。
ここでは特急ゆふいんの森号と行き違いました。
快速ゆふいんはここで乗降できないのですが、せっかくなら降りられても良いのになと思ってしまいました。
近くには旧豊後森機関庫があって、ミュージアムとして整備されています。
この先の峠に備え、かつては多くの蒸気機関車が入っていたのです。
豊後中村駅で運転停車、特に行き違いなどはありませんでした。
久大本線は急勾配を緩和すべく、カーブの連続。
先頭の機関車が客車を連ねる姿を見られるのが、非常に躍動感あって素敵です。
その先で比較的長いトンネル、1,860mに及ぶ水分トンネルで山を貫きます。
それを抜けると霧が立ち込めており、これまたノスタルジーを感じられる光景でした。
久留米駅から2時間20分、終点の由布院駅に到着です。
13:14 由布院駅 着
SL人吉の客車で来ました久大本線の旅。特に展望ラウンジで流れ行く景色を眺めていたら、あっという間でした。
快速ゆふいんは由布院駅の大分寄り、割と端っこに止まっていました。
そのおかげでカーブに差し掛かっており、編成全体を写真に収めやすいのが非常にありがたいところ。
ディーゼル機関車による客車列車ということで、鉄道ファンの中でも割とコア層向けの臨時列車。それでもSL人吉に乗ったことが無い身としては、当時の様子を体験できたのが良かったです。
運行日は4月27日、29日、30日、5月1日〜4日、6日。ぜひこの機会に乗車してみてはいかがでしょうか。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。