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【熊本〜長崎 最短ルート】九商フェリー&島原鉄道 便利な有明海横断ルート[2402-03神戸サンダバ(3)]

有明海で隔てられている、熊本から長崎。

陸路による最速ルートは、九州新幹線+特急リレーかもめ+西九州新幹線かもめを乗り継ぐルートです。

 

今回ご紹介するのは、有明海を横断する最短ルート。

島原半島まで一気に短絡し、熊本から長崎へ直線状に結んでくれます。

 

果たしてその利便性は如何ほどか、両都市間をフェリーとローカル鉄道を乗り継いでみました。



まずは出発地となる、熊本駅に来ました。

政令指定都市の熊本市、その中心部はJR熊本駅から北へ2kmの下通や桜町など、熊本城周辺です。

九州新幹線開通後、JR九州の不動産事業によって開発が進められ、新たに都市化されています。

 

これから熊本駅〜長崎駅を所要時間最短で行こうとするなら、九州新幹線で新鳥栖駅まで行き、特急リレーかもめ号へ乗り換え。武雄温泉駅から西九州新幹線かもめ号へ乗り継ぐ形となります。

 

今回ご紹介するのは、有明海を突っ切る最短距離ルート。

熊本駅新幹線口(西口)へ出てきました。

 

こちらには九商フェリーシャトルバスが停まっています。

島原港までフェリーが就航する熊本港まで、熊本駅からシャトルバスを運行してくださっているのです。

 

朝夕それぞれ2本以外のフェリーに接続する形で、シャトルバスを運行しています。

 

前日までに電話予約が必要なようですが、当日でも空席があればそのまま乗車することができます。

GWは運休するので、事前にHPにてご確認ください。

 

運転士さんからシャトルバス乗車証明書をいただきました。

熊本港ではバスからフェリーへそのまま乗り換え。船内売店にて乗船券を購入するとのことです。



9:05 熊本駅新幹線口 発

この日は平日のど真ん中でしたが、大学生から年配の方まで幅広く、旅行客らしい方が10人くらい乗っておられました。

 

すぐにトンネルを貫きまして、西へ進み続けます。

 

しばらくすると右手には、金峰山が見えてきました。

熊本市を象徴する山とされており、西側には有明海を囲む島原半島や佐賀平野、夜には熊本市街の夜景を一望できるそうです。

 

熊本港は埋立地に整備されているので、最後に熊本港大橋を渡ります。

 

所要時間20分ちょっとで、まもなく熊本港に到着。

お土産屋さんやカフェも入居しているという、熊本港フェリーターミナルが見えてきました。



9:30 熊本港 着

現在工事中でしたが、バスはボーディングブリッジへ繋がる通路の目の前で停まりました。

そのままフェリーへ乗船することになります。

 

ちょうど島原港からきました、レインボーかもめが入港です。

博多〜長崎を結ぶ特急・新幹線と同じ「かもめ」というのがまた、長崎のシンボルっぽさが感じられました。

 

無料シャトルバス乗車証明書を提示しまして、乗船します。

 

レインボーかもめは2018年に就航。船内は明るく清潔感があって、船旅を楽しませてくれそうです。

基本的には、3席1組の座席がずらっと並んでいます。

 

乗船口周辺の一角には、テーブル席もあります。

 

先頭にはソファが並べられていて、ゆったり前面展望を楽しめました。

くまモン見ずに熊本旅行を妨害するぬいぐるみも居りますな。

 

甲板へ出ると、トラックが次々乗り込んでいる様子でした。

やっぱり有明海を迂回せずとも長崎へ行けるのは、特にトラック輸送において大きなメリットですよね。



9:50 熊本港 発

定刻通り、熊本港を出航。

大きなコンテナなども見られて、貨物船もこちらへやって来るようです。

 

有明海は海苔養殖が盛ん、一面に支柱が立てられていました。

 

そして有明海の向こう側、真正面には既に雲仙普賢岳が見えていました。

このフェリーが向かう島原半島の象徴的存在です。

 

熊本県〜島原半島を結ぶフェリーはもう一つあって、少し北側に長洲〜多比良航路が結ばれています。

おそらく長州港のドックや、埋立地に形成された工場を確認できました。



1時間ほどの航路ですが、船内には売店もあります。

お菓子などのおつまみ類や、アルコール含めた飲み物が中心です。

 

ここで専用シャトルバス乗車証明書を提示しまして、乗船券を購入しなければなりません。

 

料金は890円。陸路だとかなり遠回りで結構料金もかかるのに、リーズナブルな価格です。

シャトルバスの料金は無料なので、上乗せなどもされていません。

 

ちょうど島原からやってきました、熊本港行きのフェリーとすれ違い。

あちらは「フェリーくまもと」、この航路はこれら2隻で回しています。

 

いよいよ雲仙普賢岳の姿も大きくなってきました。

それにしても先頭のソファスペース、山が真正面に見えるのが大迫力で素晴らしいですね。

 

1990年代に噴火を繰り返し、1991年には大規模火砕流が発生。戦後初の大規模火山災害になりました。

 

火山災害による土石流の埋立地には、2000年に島原復興アリーナがオープンしています。

周辺には土石流被災家屋が保存されているところもあり、自然災害の猛威を知ることができる場所です。

 

水無川には沢山の橋が架かっていますが、一つ目立つのが三角形の並ぶトラス橋。あちらは島原鉄道線の廃線跡です。

現在島原鉄道線の終点は島原港ですが、2008年まではこの先の加津佐駅まで運行していました。

 

船の後ろへ移ってみると、遂に熊本の陸地は小さくなってしまっています。



10:50 島原港 着

海のかもめに連れられて、長崎県の島原半島へ降り立ちました。

 

島原港からの航路は熊本港のほか、福岡県大牟田市の三池港へも就航しています。

また、鉄道やバスも各方面へ出ており、島原の玄関口として機能するところです。

 

島原港ターミナル内はご覧の通り。

今回利用した九商フェリーのほか、熊本フェリーと三池島原ラインの窓口が並びます。

 

熊本フェリーはオーシャンアローという高速船を運行しています。

高速カーフェリーということで、高速船ながら車も載せられるそう。所要時間はフェリーの60分に対して30分。徒歩客料金は1500円です。

 

島原港から長崎駅までは、鉄道で移動。

200mくらい離れたところに島原港駅があります。

 

こちらが島原鉄道線の終着駅、島原港駅です。

元々は島原外港駅でしたが、2019年に島原港駅へ改称され、フェリーターミナルへのアクセスで分かりやすくなりました。

 

先述の通り、かつてはこの先まで伸びていた鉄路は2008年に廃止。現在はここで途切れています。

 

駅に券売機がないので、車内で整理券を取ります。

ボックスシートが並ぶ、ローカル線らしい1両の汽車です。



11:05 島原港駅 発

ホームが1つだけの終着駅、かつて使われていたホームに廃線の寂しさを感じながらの出発です。

 

漁船が集まる港のすぐ近くを走り、なんだか離島に来たみたいな感覚。

 

お隣の島原船津駅には車両基地が併設されており、可愛らしい黄色の汽車がずらりと並んでいました。

2019年まで南島原駅だったのですが、南島原市にあると間違われることがあったようで、島原港駅と共に改称されています。

 

完全に港の中を鉄道が横切る、これまで経験したことのない車窓です。

日本にもこんな鉄道があったとは、新たな発見ができて嬉しくなります。

 

島原市街へ入りまして、奥には島原城の復元天守。

安土桃山時代の華やかな装飾が再現されており、姫路城のような純白さに目を引かれます。

 

島原市の中心駅となっています、島原駅に到着です。

島原港駅から割と空いていた車内も、ここから乗られる方が多かったです。

 

川を渡るために線路はやや高いところへ、火山の麓に広がる畑を一望できました。

 

3月に入ろうとする九州は暖かく、線路沿いに植えられた菜の花が綺麗に咲いています。



日本一海に近い駅のひとつ、大三東駅に到着です。

CMの撮影地にもなっており、景観の美しさから訪れる方も多くいらっしゃいます。

島原鉄道は2015年に「しあわせの黄色い列車王国」を立上げ、駅のホームにメッセージを書いた黄色いハンカチを掲げることを企画。

これが好評で正式に「幸せ祈願スポット」が作られ、ご覧のような黄色いハンカチの並ぶ海沿いのホームが、シンボルになりました。

 

島原鉄道線は雲仙普賢岳を中心とした海沿いに敷設されています。

そのため進行方向左手に見え続けていながらも、違った角度からの表情を楽しみ続けられます。

 

多比良駅に到着。近くの多比良港から長州港へフェリーが就航しており、車内でも乗換案内が流れていました。

 

おそらく赤いところが多比良港でしょう。島原半島から熊本への航路は、かなり需要の高いことが分かります。

 

再び海のすぐ近くを走行。

長崎本線と比べ物にならない近さなので、濁りが特徴的な有明海の様子をしっかり観察できます。

 

線路越しのため距離感で言えば大三東駅に劣りますが、古部駅も十分海が近いです。



ここから線路は有明海から離れます。

有明海の真ん中に作られた諫早湾干拓堤防道路、排水門が見られました。

諫早市街まで回り込むこと無く、佐賀県から島原半島へ諫早湾(有明海)を横断してアクセスできます。

 

雲仙市の代表駅となっている、吾妻駅に到着。

ここからも多くの方が乗車されまして、立ち客も多く出るほどになりました。

 

十字架が見える教会風の駅舎、こちらは愛野駅です。

1986年に新しくなった駅舎ですが、2009年に日本ロマンチスト協会とタイアップ。長崎市の学生の応募作を元に、メルヘンチックな外観へ塗り替えられました。

 

諫早東高校駅を出発。高校はあの小山の向こうにあって、生徒さんが結構乗ってこられました。

 

諫早東高校駅〜釜ノ鼻駅より、自動車専用道の島原道路と並行します。

 

この辺りでは吾妻西IC〜森山西ICが開通済みで、尾崎ICまでがご覧の通り建設中。

その先諫早ICへ繋げて長崎自動車道と接続する計画ですが、この間は事業化も未定です。



諫早市街へ入りまして、本諫早駅に到着。

諫早市の中心部は、諫早駅よりも本諫早駅。市役所もこの近くにあります。

 

眼鏡橋がある諫早公園の中を、トンネルで突っ切っていきました。

諫早駅・本諫早駅〜愛野駅は明治時代に開通している区間。トンネルの入口も煉瓦積みで、歴史を感じさせます。

 

JR長崎本線・西九州新幹線へ近づいていきまして、終点の諫早駅に到着です。



12:19 諫早駅 着

諫早駅は有人駅なのですが、列車内で運賃を支払うことになります。

島原港駅〜諫早駅の運賃は1,940円です。

 

ホームへ降り立つと、ちょうど西九州新幹線かもめ21号が出発しました。

2分乗り換えなので乗り換えできないと分かっていましたが、諫早駅から長崎駅まで僅か8分で連れて行ってくれます。

 

新駅舎の一角に設けられた島原鉄道諫早駅。エスカレーターでJR改札へ向かいます。

 

諫早駅は2022年秋に開業した西九州新幹線の駅。

 

全ての新幹線が停車しますが、長崎行きはさっき出発したばかりなので、次は50分後です。

 

新幹線を待つより在来線で行った方が早いので、長崎行きの区間快速シーサイドライナーに乗車します。

 

普通乗車券を購入しまして、運賃は480円です。

 

シーサイドライナーは佐世保・大村〜長崎を結ぶ快速列車です。

長崎県を縦断する大村線から来て、諫早駅より長崎本線へ入ります。



12:36 諫早駅 発

昼間でも2両編成の車内はかなりの混雑、諫早駅を出発しました。

 

西九州新幹線の高架下をくぐり、7kmに及ぶ新長崎トンネルへ向かう新幹線とはここでお別れ。

 

喜々津駅ではキハ47形気動車とすれ違い。

西九州新幹線開業に伴い特急かもめが走らなくなったため、長崎〜肥前浜は非電化路線となりました。そこで長崎・諫早〜肥前浜に投入されたのが、あちらの国鉄車両です。

 

喜々津駅から長崎本線は、旧線と新線の二手に分かれます。

 

このシーサイドライナーが走るのは、1972年に開通した新線。

山を避けて海沿いを走る旧線(長与経由)に対し、新線(市布経由)はトンネルで貫く高規格路線です。

 

列車は早速トンネルへ、特急かもめはこの中を最高速度130km/hで駆け抜けていました。

 

トンネルとトンネルの間で現川駅を通過。

真ん中に通過線が設けられているので、駅通過時にスピードを落とす必要がなく、普通列車を追い抜くこともできます。

 

そして全長6,173mの長崎トンネルへ、九州の在来線で一番長いトンネルです。

単線トンネルですがあまりに長いので、トンネル内に行き違い可能な肥前三川信号場が設けられています。

 

地下から出てくるようにしてトンネルを抜ければ、そこはもう長崎市街です。

旧線(長与経由)ともここで合流します。



かつて特急かもめが停車していた、浦上駅に到着。

新幹線開業後は長編成の特急が来なくなるため、2020年の高架化時に先端部は仮設ホームとして設置。

既に先端部は撤去されてしまっています。

 

長崎方についても撤去済みで、コンクリートの土台や砂利になっていました。

 

道路の真ん中を走る路面電車の線路が見えてきて、西九州新幹線の高架もおでまし。

 

今回の目的地である、終点の長崎駅に到着しました。



13:02 長崎駅 着

今回ご紹介したフェリールート、所要時間は3時間57分料金は3,310円です。

 

九州新幹線+特急リレーかもめ+西九州新幹線を乗り継ぐ鉄道ルートでは、所要時間は2時間25分料金は8,310円になります。

 

フェリールートが思ったより料金を抑えられ、かなり実用的なルートだと実感できました。

急がないのであれば、鉄道ルートよりフェリールートの方が景色も楽しめるので、旅行として結構オススメです!

 

西九州新幹線開業時は工事真っ最中だった駅前も、2023年11月にアミュプラザ長崎新館が開業。

 

2025年には多目的広場も完成予定。訪れる旅生まれ変わる長崎駅の姿も、今後が楽しみです。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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