名鉄河和線・名鉄築港線の乗り換え駅、名古屋市南区の大江駅です。
留置線にはEL120形機関車に挟まれた、6000系電車が停車中です。
この6000系はこれから廃車回送される6両、解体場のある東名古屋港駅近くまで、名鉄築港線を走ることになります。
6両編成ではありますが、4次車4両に1次車中間車2両を挟んだ編成が組まれています。
東名古屋港側から数えて2,3両目だけ扉の窓が小さく、こちらが1次車です。
6000系を牽引するEL120電気機関車を正面から。
名鉄創業120周年にちなんだ形式番号で、線路保線作業などの業務用列車のための電気機関車として、旧型機関車を置き換えるべく2015年にデビューしました。
6000系廃車回送は、イベントも兼ねています。
イベント列車としては1km足らずしか走りませんが、わざわざヘッドマークを作ってくださる気合いの入れっぷりです。
東名古屋港方面へ、名鉄築港線に沿って歩いてきました。
名鉄築港線はひと区間だけの路線で、工場勤務車のため朝夕のみ旅客列車を運行しています。
名鉄築港線と交差するように、名古屋臨海鉄道東築線が横切ってきました。
東築線の終点、名電築港駅があるこの場所には、ダイヤモンドクロッシングと呼ばれる、線路同士が直交する地点が存在します。
共に普通鉄道の線路が交差する、全国でも非常に珍しい場所です。
東名古屋港駅から午前中の最終列車、大江行き築港線が出発していきました。
廃車回送は旅客定期列車に影響を与えない、昼間の時間帯に行われます。
近くの道路には軌陸車が停まっていました。
電気機関車からバトンタッチするようにして、廃車になる車両を引っ張る役割を担います。道路と線路両方を走れる車です。
東名古屋港駅に回送された廃車車両は、こちらの広場で解体作業を進めることになります。
しばらくするとクレーンやトラックなど、続々と車両が集まってきました。
先ほど道路にいた軌陸車も線路に載せられ、6000系を連れてくる準備を整えています。
時刻は9時を回り、大江駅からEL120形電気機関車に連れられた、6000系電車がやって来ました。
EL120がミュージックホーンを鳴らしながら、6000系6両が東名古屋港へ! pic.twitter.com/Da9cW55jgh
— パスケース (@Pass_Case) January 19, 2024
ミュージックホーンを鳴らしてくださり、この先の東名古屋港駅に到着します。
大江駅留置線では入替作業のため後ろにもEL120を連結していました。大江駅発車時点で外されたようで、電気機関車は先頭だけになっています。
それでは6両編成が組まれた、6000系の様子を見てみましょう。
EL120形電気機関車にヘッドマークが付いていましたが、6000系にも系統版が差し込まれていました。
今回廃車回送されたのは東名古屋港駅寄りから、6017,6301,6101,6317,6117,6217です。
行先方向幕は回送を表示しており、幕自体は残っています。
パンタグラフは下ろされており、貨物列車みたく機関車に引っ張られている状態です。
ドアの広告シールも貼られたままでした。
ここで大江寄り2両の幌が外されており、今にも切り離されそう。
この後、東名古屋港駅ではイベント参加者の方向けに、6000系の吊り革外しやメッセージ記入などが行われます。
その前に大江寄り2両については、廃車に向けて先に連れて行かれるようです。
こちらには軌陸車が連結されました。
鉄輪が下ろされており、レール上を走れる状態です。
車と同じようなクラクションが鳴り、2両を引き連れて出発。
二股に分かれた線路の先、カーブへと消えていきました。
東名古屋港駅のホームピッタリに、4両が残されています。
通常では連結が外されない中間車両、白く塗られた貫通扉が目立ちます。
また、連結器も先頭車とは全く異なる形状です。
引き続き残った車両に注目すると、やはりこちらもパンタグラフは下りています。
そして東名古屋港駅方の2,3両目は大江駅でもご紹介した通り、1次車と4次車の境目です。
4次車の車内を覗いてみますと、貫通扉が片側になっています。
一方でこちらは両開き、貫通扉の種類が異なる中間車両が連結されているのも、非常に珍しい状態かと思われます。
また、1次車と4次車では台車の高さが異なるそうで、確かに4次車の方が僅かに高いです。
1次車の銘板を見てみると昭和54年、1979年から45年経っています。
そんな年季の入った古い車両ですが、ピカピカ輝く真っ赤な機関車と連結しています。
しばらくすると機関車から、ブレーキが緩まる音が聞こえてきました。
そして機関車が少し前へ出るようにして、6000系との連結が外されます。
さて、先ほど引き上げられていった2両の6000系。
カーブの先の分岐から東築線沿いの線路へ軌陸車に押されてきました。
台車は外されており、クレーンで吊り上げる準備が進んでいます。
2基のクレーンが息を合わせ、鉄道車両が空中を舞います。
列車を縦にしてクレーンの間をすり抜けさせ、広場の方まで持ってきました。
床下機器の取り外し作業もしやすいよう、リフトが地上に置いた2本の鉄骨の上に置かれました。これを6両全て行うことになります。
東名古屋港駅に残っている4両。
こちらでのイベントも一通り終わったようで、軌陸車が連結されて引き上げる作業が整いました。
10:45ごろに東名古屋港駅ホームから出発。
EL120形電気機関車が、ミュージックホーンでお見送りしてくれました。窓には「ありがとう6000系」などメッセージが書き込まれており、ここに込められたお別れの思いにグッとくるものです。
先頭の行先方向幕は「快特 新鵜沼」になっており、往年の輝きを最後に放ってくれるようです。
先の2両と同じように、カーブの先へと消えていきました。
地上に下された車両では解体作業が進んでおり、作業員さん方が窓枠や床下の機器を外されていました。
そして1機残された、EL120形電気機関車。
ミュージックホーンを鳴らして東名古屋港駅を出発します。
ダイヤモンドクロッシングを越え、そのまま大江駅へ回送されていきました。
引き上げられた4両の6000系。こちらも同様に東築線沿いの線路へ来て、クレーンで吊り上げられます。
その前に掲出されていた、イベント用の系統板が外されました。
先頭車にはクレーンのロープが掛けられます。
そしてこちらへ顔を向けた先頭車が、遂に吊り上げられました。
外に書かれたメッセージが泣かせてきます。
こちらもゆっくりと広場へ下され、リフトが運ぶ鉄骨の上へ置かれました。
もう一度系統板を差し込んでくださったりと、何とも温かなお心遣い。
取り外された台車はトラックに乗せて、どこかへ運ばれていきました。
再びクレーンで吊り上げられまして、少し西側へ移動。
部品の取り外し作業が行われている2両の真横につけます。
車体にぶつからないよう、地上の作業員さん方と息を合わせ。
それにしてもこれだけ不安定なのに、ピッタリ下ろせるなんて凄いですね。
こちら先頭車でも早速作業が行われました。
側面の車両銘板も、あっという間に外されて、白い跡だけになってしまいました。
一部の座席や乗務員扉は保管されていて、オークションなどに出されるのかもしれません。
最後に1次車の吊り上げを拝見して、締めくくろうと思います。
乗降扉の小さな窓がシンボルチックです。
6000系は個人的にも、中高の通学でお世話になった車両。
これからその思い出が心の中だけのものになりゆくのは寂しいですが、お別れして一向と思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
-
【寒ブリ&氷見の日本酒】特急ひだ号で北陸富山へ!ゆったり特急列車の旅[2401北陸新幹線(2)]
名古屋駅から富山駅まで高山を経由し、北陸地方の富山まで一本で連れて行ってくれる特急ひだ号。 開業前の北陸新幹線各駅で内覧会が行われるのを前に、これで北陸地方まで抜けることにしました。 名 ...
続きを見る