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【JRしかない都道府県?】大分唯一の私鉄 ラクテンチケーブル線[2306夜行ソニック(6)]
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おんせん県大分の源、別府に来ています。
夜も遅いこの時間帯ですが、今回は九州から四国へ渡る深夜フェリーをご紹介します。
距離が近い九州と四国、ここを結ぶ道路や鉄道はありません。別府〜八幡浜、佐賀関〜三崎、臼杵〜八幡浜の航路によって移動できます。
今回利用するのは別府〜八幡浜の宇和島運輸フェリー。八幡浜には深夜2時半に到着するのですが、5時半まで船内休憩ができるという非常に便利な航路になります。
別府駅から別府港までは路線バスが出ています。
最終便は5番のりばから、22:40発のAPU(立命館アジア太平洋大学)行です。
留学生の学生さんが非常に多く混雑します。降りられるよう予め前の方へ詰めておきましょう。
別府交通センターが最寄り、料金は170円になります。
22:50に到着。屋根の下を通り「宇和島運輸」と看板が光る建物へ向かいます。
無機質なコンクリート造りの建物には、離島の港っぽさを感じました。
「宇」の字を模ったロゴマークと共に煌々と輝いており、夜でも存在感を示しています。
建物内はちょっと暗め、昭和レトロな雰囲気を至るところから感じました。
乗船券購入前に、乗船名簿を記入する必要があります。徒歩客は奥の緑色1番で記入します。
それを持ってこちらの窓口へ。徒歩客の支払い方法は現金のみで、クレジットカードが利用できるのは乗用車の方だけです。
2等の料金は4100円です。
1日6往復運航されており、所要時間は2時間半ほど。別府を23:50に出発しても、八幡浜に着くのは2:35です。
それでも深夜の八幡浜に放り出されることはなく、5:30ごろまで船内休憩させてもらえます。窓口で休憩するか聞かれ、これに対応して船内休憩のハンコが押されました。
歴史の詰まった古いターミナルは、見て回るだけでも非常に楽しいところです。
鉄道ファン的には国鉄みを感じるところで、看板の字体やイラストも特徴的。
0系新幹線が描かれており、「急行券」「寝台券」が珍しくなかった時代の名残です。
しかも、代表的な航空会社には1971年に消滅している「東亜航空」が挙げられていました。日本エアシステム(JAS)ですらありません。
ポートフラワーといううどん屋さんがあって、営業時間は8:30〜16:30です。
徒歩圏内にローソンやセブンイレブンもあるので、夜乗り込む前に買い物したい方はそちらへ。
そして交通オタク的に大興奮だったのが、瀬戸内海航路図。
おそらく瀬戸大橋など本四架橋の開通前で、蜘蛛の糸のように沢山の航路が四国を繋ぎ止めていました。
神戸から甲浦、大阪から高知など、今では考えられないようなものまで。
九州四国の航路もだいぶ減っており、佐伯〜宿毛の宿毛フェリーは2018年に突然運航休止してしまいました。
もし豊予海峡に橋やトンネルができたら、これらフェリーもほとんど無くなってしまうでしょう。
宇和島を冠した名前ですが、2000年に宇和島〜別府の航路が休止されて、宇和島に行くことは無くなりました。
現在は八幡浜を拠点にして、八幡浜〜別府と八幡浜〜臼杵で運航しています。
八幡浜20:30発/別府23:20着のフェリーが入港、こちらの折り返しに乗船です。
2014年に就航した「あかつき丸」、この他2022年6月に就航したばかりの「れいめい丸」もあります。
20:30にターミナルの扉が開き、乗船開始です。
お客さんは20人ほど。フェリーの割にはトラックドライバーさんが少なく、徒歩客の若年層が多い印象でした。
ボーディングブリッジなどは無く、地面から階段を登っていくスタイルです。
船内に入りまして、乗船券を提示します。
2階が船内休憩する人、3階が到着後すぐ降りる人に分けられていました。
こちらが今回利用する2等客室です。
完全なフルフラットになっているので、横になることができます。お客さんはかなり少なく、ひと区画1,2人レベルのため広く空間を使えました。
奥には女性専用エリアもあるので安心です。
少しだけ船内を見て回ってみました。
先ほどの階段向かい側には、フリースペースとしてテーブルが設けられています。
深夜便では営業していないようですが売店があって、その隣にて100円で毛布を借りられます。申し出は23:50までです。
飲み物のほかアイスやカップ麺の自販機も設置されていました。
23:50、別府港を出港です。
桟橋には暖色の光が灯され、小さな波を照らすため、港を離れていく様子を伝えてくれます。
船が出発すると2等客室は消灯され、階段周辺の光が漏れ出すだけになりました。
反射しないのでその分景色が非常に見やすく、別府の夜景を存分に楽しめました。
別府タワーのライトアップは24:00まで。しかし、ちょっとその様子は分かりませんでした。
別府湾に沿って国道10号と日豊本線が走っており、その先が大分市です。
さらに進むと埋立地に形成された工場夜景まで見え始め、その光は一段と強いものでした。
それでは横になりまして、おやすみなさい…。
2:30、八幡浜港に入港するところで目を覚ましました。
寝ていたので気づかなかっただけかもしれませんが、2階では特に放送がありませんでした。すぐに下船する3階の方だけに、案内がされているのかも。
再びぐっすり眠っていまして、起きたら朝5:00。
夏至の時期、東の空には太陽が昇ろうとしている頃です。逆に冬ではまだ真っ暗なはず。
BGMによって静かに起こされつつ、それに続いて下船開始の放送が流れます。
乗用車に関しては5:30頃の下船と決まっているのですが、徒歩客に関しては自由に降りられました。「八幡浜港下船口」の案内に従って進みます。
航行中もかなり静かで、休憩時間のおかげか完全にぐっすり眠られました。
同様の運航時間でも、青森〜函館のような深夜の需要が大きいところでは、本数を増やすためすぐ折り返すので、休憩時間の設定は難しいでしょう。
こちらはそこまで需要の大きな区間ではないので、旅客の深夜移動の利便性向上に振り切っていただいており、非常にありがたいところです。
八幡浜港は2022年4月に移転し、新しくなったばかりです。見るからに新しく別府港と対照的でした。
映画『すずめの戸締まり』では、八幡浜〜臼杵のオレンジフェリーをモデルにしたと思われる船が登場しており、八幡浜港も聖地の一つです。
ただしそこで出てきたのは古い八幡浜港、すでに解体されているため姿は大きく異なります。
最後に松山まで向かいましょう。
もう少し待てば松山市駅や八幡浜駅へバスが出ているのですが、時間がもったいないので歩くことにしました。
八幡浜駅までは2km、徒歩25分ほどです。
松山駅まで一番早いのは5:58発の特急宇和海2号で、松山駅には6:54着です。
今回は見送りまして、6:12発の普通列車松山行きに乗車しました。3両編成ですが伊予大洲より先、多くの学生さんで混雑します。
松山駅には7:52の到着。
途中で特急宇和海2号に追い抜かれますが、八幡浜駅から一番早い普通列車は、5:22発/松山駅7:15着。青春18きっぷの方はこちらもご参考までに。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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