-
【路面電車の急行】明らかに違う列車の相互直通が面白すぎた(えちぜん鉄道・福井鉄道)[越美線(1)]
福井県の東側では福井市を中心として、福井鉄道とえちぜん鉄道2社の私鉄が走っています。 低床車両による路面電車を走らせている福井鉄道ですが、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転を行ってい ...
続きを見る
北陸新幹線の駅舎工事が進む、ここは福井駅です。
北陸にも春がやって来まして、駅前の桜の木もピンク色に染まり始めています。
福井県と東京は2024年に北陸新幹線で結ばれます。
大阪とは特急サンダーバードが行き来していますが、2045年頃には北陸新幹線がつながる予定です。
そして第三の都市、名古屋からは特急しらさぎが走っています。
名古屋から北陸への鉄道ルートは2つあります。
メインの特急しらさぎは滋賀県を経由して金沢まで、北陸新幹線の金沢延伸開業前は富山まで結んでいました。
そして高山本線を経由する特急ひだは、気動車特急でスピードは劣っても、富山行きの特急として残されています。
そしてもう一本、名古屋から北陸地方を結ぶ路線として、計画された路線がありました。それが岐阜県と福井県を貫く越美線です。
しかし、岐阜県側の越美南線は北濃、福井県側の越美北線は九頭竜湖まで到達したところで工事はストップ。国鉄民営化の際に越美南線は第三セクターの長良川鉄道越美南線、越美北線はJR西日本の路線として残されています。
今回は越美線のルートを再現し、辿ってみることにしました。
JR西日本として残された越美北線ですが、利用者低迷によって厳しい状態にあります。
JR北陸本線が新幹線開業によって第三セクター・ハピラインふくいに転換されますと、越美北線はJRの孤立路線に。
輸送密度も低いため、路線廃止や第三セクター化も考えられます。
-
【廃止?休止?】大幅減便へ向かう福井の赤字路線・越美北線の現状を見る[鳥取・福井ローカル(12)]
先日福井新聞が衝撃的なニュースを報道しました。 JR西日本は秋にダイヤ改正を実施、福井県を走るローカル線、越美北線の列車を8割減便するというのです。 越前花堂〜越前大野は18本中12本、 ...
続きを見る
越美北線の乗車記については以前取り上げましたので、路線そのものについて気になる方は、こちらを御覧ください。
越美北線は九頭竜線という愛称が付けられています。
北陸本線1,3番線に作られた、切り欠きホームの2番線からの発車です。
使用車両はキハ120系、福井らしさを感じさせる3種類のラッピング車両で運行されます。
青春18きっぷシーズンも終わりに近づき、1両編成の車内は鉄道ファンで満員状態です。
関西圏から北陸本線で来られるアクセスの良さが、その理由の一つでしょう。
北陸本線から分かれた先、越前花堂駅が分岐駅として指定されています。
ただしプラットホームは北陸本線ホームからちょっと離れたところで、単独駅のように見えます。
田んぼの広がる長閑な景色の中を走っていきます。
一乗谷駅近くでは、2022年10月にオープン予定の、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(仮称)が見られます。
本数はともかく駅からのアクセスは良いですから、利便性は高いでしょう。
街の向こう側には雪の積もる白山の山々が連なっています。
途中駅で最も大きな大野市の中心駅、越前大野駅に到着しました。
越前大野駅までは生活利用者も多いのですが、ここから先は激減。
2021年春には福井新聞が、JR西日本は越前大野〜九頭竜湖の列車の本数を、0本にするよう検討していると報道しています。
-
越美北線(九頭竜湖線)の中心駅 越前大野駅周辺で観光する[鳥取・福井ローカル(13)]
越美北線で最も大きな駅、越前大野駅にやってきました。 この駅は大野市の中心駅であり、ここまでは比較的本数が多くなっています。 列車が到着するとホーム上では『大野へかえろう』という音楽が流 ...
続きを見る
周りの景色はますます山深くなってきます。九頭竜川も並行して流れるようになり、渓谷沿いの走行です。
列車は越美北線で最も長い荒島トンネルへ。
長さは勝原駅〜越前下山駅の大半を占める、5.2kmにも及びます。
トンネルを出ると、田んぼには一面雪が残されていました。トンネルで季節が分断されている、そんな経験をさせてくれるのです。
残りひと区間、冬景色の自然の中を走っていきます。
終点の九頭竜湖駅に到着しました。
乗車時間は1時間半。かなり長い盲腸線でして、魅力あるローカル線のように思います。
ホーム上には昭和を感じさせる広告看板が掲げられており、かつては観光で賑わったのだろうかと考えさせられます。
ログハウス調の駅舎の隣には道の駅があります。
道の駅にはファミリーマートや売店が入っていて、こっちのほうが駅っぽいです。
線路はここで途切れており、車止めが路線の終わりを告げています。
ここから長良川鉄道終着駅の北濃駅までの県境区間は、車で送っていただきます。
この区間は公共交通機関で結ばれておらず、車が無ければ5時間ほど歩く他無いのです。
福井県道127号線、岐阜県道314号線を通って行くと、鉄道が計画されたルートと近いところを進むことができます。
左右に雪の残る道では、車通りが全くありません。大きな落石も見られる道を15分ほど走っていくと…。
家が1軒見られた先で通行止めに。
ここからは除雪がされていないためということでした。おそらくこの先に人は住んでいないので、除雪の必要が無いのでしょう。
仕方がないのでここで引き返しまして、違う道から行くことにします。
未成線ルートとは異なってしまいますが、国道158号線で岐阜県へ向かうことにします。
先程のルートで県境を越える人はいないので、国道だけ除雪すれば十分なのでしょうね。
国道の途中では右手に、九頭竜ダムを見ることができます。放流部分は細くなっていますが、非常に広い湖が特徴的ですね。
山は細かい曲線を作るため、たくさんの橋が掛けられています。湖もそれに入り込むので、眼下には何度も濁った水を見せつけられました。
福井県大野市から岐阜県郡上市に掛けては、高速道路が建設中です。
越美北線に並行する大野IC(越前大野駅付近)〜和泉IC(九頭竜湖駅付近)は2022年度開通予定。今走っている辺りを含む、和泉IC〜油坂出入口は2026年度開通予定です。
鉄道は未成に終わったものの、高規格道路で再現されていく。虚しく途切れた鉄路ですが、その遺志を継いでくれるようです。
車は越美トンネルを通ります。その名の通り、福井県と岐阜県の県境にあるトンネルです。
トンネルを抜けまして、岐阜県郡上市に入りました。
壁でよく見えませんが、この道路はかなり高いところを走っているはずです。
白鳥西ICにて、白鳥地区の街中へ降りていきます。ここは東海北陸自動車道の接続でもあります。
大きなループ線をぐるっと一周しました。
長良川鉄道の途中駅である美濃白鳥駅周辺、コンビニなども立ち並び栄えている様子が分かります。
左手には長良川鉄道の線路が現れまして、それに沿って北上します。
長良川鉄道の終着駅、北濃駅に到着しました。
古くからの木造駅舎、無人の終着駅ですが、レストランが入っています。
北濃駅からは県境直前の、上在所までは行くことができます。以前は国鉄バスが九頭竜湖駅まで走っていたそうですが、需要はほとんどなかったため完全に途切れてしまいました。
ヤマト運輸に半分侵食された、ラッピング列車が到着です。
本来なら福井からの鉄路と出会えるはずだった北濃駅。なんとも切ない終着駅ですね。
北濃駅には蒸気機関車を回転させるために使われていた、登録有形文化財の転車台が残っています。
1902年にアメリカンブリッジで製造されたもので、岐阜駅で使われていたものを、北濃駅まで延伸した1934年に移設しました。
1両編成の列車に乗っているのは僕だけ。
長良川鉄道の生活利用は美濃白鳥から南で、それより北で貸切状態というのは珍しくありません。
たった一人の乗客を乗せて北濃駅を出発しました。
白鳥ICから北濃駅まで走ってきた道沿い、白鳥まで戻っていきます。
途中駅にお客さんがいないことを確認すると、停車はしても扉を一切開けず、出発してしまいます。北濃駅にて運転士さんが唯一の乗客である僕に、どこまで行くか聞いているので問題はありません。
しかし、外からボタンで扉を開ける半自動ドアでないのにこのシステムは、中々見ないものです。
鉄道の名前にもなっている、長良川を渡りました。
この川を何度も越えて、終点美濃太田駅を目指します。
美濃白鳥駅に到着しました。ここからは4,5人乗られまして、それなりの需要を見ることができます。
美濃白鳥〜北濃では非自動閉塞式に分類される、スタフ閉塞式が用いられています。
運転士さんがタブレットと呼ばれる丸い輪っかを、駅員さんに渡しました。
このタブレットを持っていないと、美濃白鳥〜北農で列車を走らせられないのです。
この区間にタブレットは1つだけ。これによって列車が衝突することを防いでいます。
本来は棒状のスタフを使うのですが、ここではタブレットで代用しています。
数分ほど停車した後、再び出発しました。
白鳥西ICへと向かう、先程走った国道158号線の下をくぐります。
かつて急行おくみの号も停まっていた、郡上大和駅で行き違い。
徳永駅周辺ではスーパーマーケットなども見られました。
線路は基本的にずっと長良川沿いを走ります。
郡上市の中心部には携帯ショップなどもありまして、かなり栄えていることが分かります。
川を渡る辺りで、山の上には郡上八幡城の天守閣を見られました。
郡上八幡駅に到着。
郡上おどりの提灯が掲げられており、中々雰囲気の良い駅です。
ここまで標高が高かったためあまり咲いていませんでしたが、ホテル郡上八幡辺りから桜が薄ピンク色に染められ始めました。
左手には春日神明神社の彼岸桜が満開です。
名古屋から北陸への高速バスが走る、東海北陸自動車道と交差します。
長良川鉄道はかつて白川郷へのアクセスに役立っていました。しかしこれが開通したことで、完全にシェアを奪われてしまったのです。
木造駅舎の深戸駅、奥には桜がきれいに咲いており、素晴らしい組み合わせとなっています。
杉並刈安駅には、ヤマト運輸のワゴンが置かれていました。
長良川鉄道では関駅〜杉並刈安駅で、ヤマト運輸の貨客混載事業を行っています。
トラックの運行距離を短くし、地方鉄道を有効的に活用。今乗っている列車の半分がヤマト運輸ラッピングだったのも、それを記念したものということです。
原色をそのまま塗ったような赤青のラインが引かれた列車、木造駅舎の大矢駅で行き違います。
2002年に開業したみなみ子宝温泉駅は、駅舎が温泉施設です。施設内には列車の到着を知らせる信号なんてのもあります。
湯の洞温泉駅の周辺には桜の木が沢山植えられていました。本当に素晴らしい季節に来られて良かったです。
空が夕方へなっていく中、だんだんと町の中へ入っていきます。
美濃市駅に到着しました。
美濃市にはかつて、岐阜駅から路面電車の名鉄美濃町線が伸びていました。
名鉄美濃町線は新関〜美濃市が1999年に廃止。
それに合わせて新関駅から延伸し、長良川鉄道の関駅に隣接して名鉄の関駅が開業しました。
しかし、名鉄美濃町線は2005年に全線が廃止されます。
こちらの松森駅は元々美濃町線にありましたが、路線廃止に合わせて、並行する長良川鉄道で代替駅として開業したのです。
関市役所前駅も同じく、美濃町線の下有知駅の代替駅として開業しました。
関駅に到着しました。
ホーム上に咲く桜はライトアップされ、夜桜も楽しむことができます。
反対方向から列車がやって来まして、ここで行き違い。桜の下を走っていきました。
かつての名鉄美濃町線関駅は、未だに線路や黄色い点字ブロックも残されています。
-
【6年で廃駅】名鉄 美濃町線の廃線跡をバスからめぐる【南紀5】
今日は岐阜駅に来ています。 こちらの車両は名鉄の路面電車で走ったことのある車両です。 岐阜市にはかつて路面電車が走っていました。 総延長は70kmにも及びましたが、2005 ...
続きを見る
せきてらす前は2022年春、関刃物会館前駅から駅名を改称しました。
せきてらすは2021年にオープンした複合施設で、岐阜関刃物会館も施設内に新築移転しています。
富加駅は富加町唯一の駅です。
小さな町ですが長良川鉄道は重要な交通として機能しています。
そして美濃太田駅のある最後の自治体、美濃加茂市に入りました。
2時間ほどの乗車を終えまして、美濃太田駅に到着です。
ここは太多線、高山本線の乗換駅。非常に重要な鉄道集積地です。
福井県から岐阜県まで、結ばれることのなかった越美線を辿ってきました。
2つの路線を1本のルートで進んだことで、もしここが繋がっていたら…という妄想を膨らませられることができます。
車がなければ中々大変ですが、どちらも魅力ある鉄道路線です。ぜひ合わせて訪れてみてください!
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
-
【旧国鉄木原線】いすみ鉄道急行&久留里線で行く 未成線歩いて房総半島横断
おはようございます。内房線の快速木更津行きに乗車中です。 関東地方を形作っているとも言える房総半島、これを横断する鉄道路線は、小湊鐵道といすみ鉄道を乗り継ぐルート1つだけになります。 & ...
続きを見る
-
【新型車両なのに国鉄型!?】長良川鉄道で急行列車おくみの号ナガラ600型が復活デビュー![越美線(3)]
岐阜県の第三セクター・長良川鉄道越美南線は、東海と北陸を結ぶはずだった越美線から引き継いだ地方路線です。 福井県側はJR西日本の越美北線として運行を続けている一方、岐阜県側は自治体の出資でかなり頑張っ ...
続きを見る