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絶対に18きっぷで越えてはいけない県境がありました。[熊本→鹿児島中央]

2021年8月29日

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今日は熊本駅に来ています。

日本では全国各地にJRの路線が張り巡らされており、長期休みには青春18きっぷで県をまたぐ移動をする人も多くいます。

 

熊本と鹿児島は隣り合った県で、どちらも都市圏を形成しています。しかしこの県境を18きっぷで越えるのは非常に困難です。

 

元々鹿児島本線で結ばれていた熊本〜鹿児島ですが、九州新幹線の開業に伴って肥薩おれんじ鉄道線に転換されたため、ここを通って移動することはできなくなってしまいました。

それでも旧鹿児島本線として活躍していた肥薩線を経由すれば、本数は少ないながら直線的に行くことができました。

しかし2020年7月の熊本豪雨で肥薩線が運行不能に、現在も復旧が進んでいないため、ここを通ることもできなくなっています。

 

そのため青春18きっぷで熊本から鹿児島へ行くならば、大分・宮崎を経由して遠回りをしなければなりません。

それだけでなくそれぞれの県境を越える列車の本数は非常に少ないです。

 

今回は全国で最も18きっぷで越えることが困難な県境、熊本~鹿児島を青春18きっぷで行ってみます。

熊本駅は2018年に高架化が完了しました。

やってきましたのは切り欠きホームとなっている2番線ホームです。

 

最初に乗車するのは豊肥本線、阿蘇・宮地行きのキハ200系です。

九州横断特急のせいか、真っ赤な車両は豊肥本線のイメージに合っています。



1403 熊本駅 発

青春18きっぷを携えて、まさかこれだけで鹿児島まで行く人はいないでしょう…。

 

熊本を出るときには九州新幹線800系が来るところでした。

 

九州新幹線や八代駅までの鹿児島本線から離れて内陸へと向かっていきます。

 

最初の停車駅は平成駅。

平成~令和へ元号が変わるときには、大勢の人々で賑わいました。

 

この辺りは熊本都市圏が発展しているエリア。各駅の利用客も増加傾向にあります。

 

新水前寺駅は熊本市電と交差しており、乗り換えが便利になるよう設置された駅です。

熊本県内で2番目に多い利用客を誇っています。

 

東海学園前駅の近くには駅名の通り、目の前に東海大学熊本キャンパスを見ることができます。

 

こちらは2006年に開業した光の森駅。駅周辺の光の森団地から名前が採られており、新幹線が開業する以前、博多〜熊本を結んでいた特急有明がここまで来ることもありました。



肥後大津駅に到着、ここでは8分ほど停車します。

この駅は阿蘇くまもと空港へのアクセス駅として機能しており、愛称まで付けられていました。

駅からは無料のバスが出ているそうです。



ここから先はイメージするような豊肥本線の姿を見せてくれます。

列車は険しい山の中を走っているところです。

 

そんなところに設置されています、立野駅に到着しました。

 

この駅はまだ途中駅ですが、先頭から見てみると行き止まりになってしまっています。

これは立野駅がスイッチバック構造の駅だからです。

 

運転士さんが車両反対側に移動しまして、後ろ向きに出発します。

 

先程は右側の線路を通って立野駅に入りましたが、今度は左側の線路を走ります。

 

しばらくすると更に上に登っていく線路が左に現れ、この列車は引き込み線に入っていきます。

 

引き込み線で停車して再び運転士さんが先頭に移動、進行方向を変えて出発します。

勾配がかなりきつく、さっき走ってきた線路と比べてかなり高さの違いがあることが分かります。

 

右手を見ていると、一本の新しい道が阿蘇に向かって空中を結んでいるのが見えました。

あちらは阿蘇公園下野線であり、阿蘇へ向かう車たちが列を作っています。

 

赤水駅では列車と行き違い、ハウステンボスのラッピングがされてました。

 

この先、阿蘇山がだんだん近づいてきます。

表面にパウダーが掛けられているような、繊細な模様を描いているようです。

 

肥後大津~阿蘇は2016年の熊本地震で不通となっていた区間。4年4か月の時を経て、ちょうど1年前に復旧したところです。



阿蘇駅にて10分近くの停車。

ここは列車で阿蘇を観光するのに中心的な役割を持つ駅です。

 

駅舎は非常に味のある深い色をしており、クルーズトレインのななつ星もやってきます。

 

阿蘇駅から先でも九州を代表する山はその姿を見せており、雄大で明るい印象があります。



1558 宮地駅 着

豊肥本線の列車は原色感が強くとてもカラフルです。

 

駅舎には大きな朱色の屋根が被せられており、存在感があります。

 

ホームで列車を待っていると、熊本から大分・別府を結ぶ九州横断特急がやって来ました。

その名前の通り、九州を横断するルートです。



1636 宮地駅 発

続いて乗車するのは黄色のキハ125系です。

 

列車は更に山の中へ入っていき、トンネルも多くなりました。

車内もなんだか暗い感じがします。

 

波野駅では豊肥本線を走るD&S列車、あそぼーい!と行き違い。

車内には子供が遊べるところが沢山ある、面白い列車です。



1722 豊後竹田駅 着

竹田市は日本を代表する作曲家、滝廉太郎の出身地です。

列車が到着する時には『荒城の月』が流れます。

 

駅舎は武家屋敷風のデザイン。『荒城の月』のモチーフとなった岡城にちなんでいます。

 

1802 豊後竹田駅 発

再び真っ赤な列車がやってきました。

 

時間帯的にも高校生が多く乗車するようになります。



三重町駅でしばらくの停車。

ここは豊後大野市の中心駅で、全部の列車が停車します。

 

大分市に入ると集合住宅も立ち並ぶようになりました。

 

日豊本線と並行しまして、大分川を渡ります。

 

1919 大分駅 着

 

ここでは列車の乗り換え上しばらくの滞在。時間が遅くなると、これからお帰りの方々が駅に集まって来ました。



2218 大分駅 発

こちらが佐伯まで行く最終列車です。

 

海沿いに集まっているであろう工場群が顔をのぞかせており、少しだけ見られる夜景が綺麗です。

 

短距離で利用する方が多いようで、お客さんがかなり少なくなってしまいました。

 

ここで大分駅のコープで買ってきたとり天を頂きます。

大分県の名物でもあるとり天、歯ごたえがあってとてもジューシーです。

 

途中では最も大きな街である臼杵駅に到着。臼杵港からは愛媛県の八幡浜まで航路で結ばれています。

 

途中駅の周辺は真っ暗な中、駅の電灯だけが明るいです。



2343 佐伯駅 着

下車したのは4,5人程度。それでもこんな時間まで駅員さんがいて、大きな駅であることが分かります。

 

ここから先は青春18きっぷで通るのが最難関とされる区間。

今日はここで宿泊し、明日の朝の列車でそこを越えることにします。



おはようございます。佐伯のコミックバスターで一夜を過ごしました。

ここからも青春18きっぷで鹿児島を目指すわけですが、停まっているのは特急車両の787系です。

 

佐伯から延岡へ行くことができる普通列車は1日に1本しかありません。

 

そのためわざわざ普通列車を持ってくるよりも、特急車両を使ってしまった方が楽という訳です。

 

ただし乗り込むことができるのは1号車だけ。

 

それ以降の車両には立ち入りが出来なくなっています。

 

しかし半室だけあるグリーン車についても車内で普通列車グリーン券を購入すれば利用できます。

今回はデッキに行くことも多いと感じたので普通の座席。リクライニングもできて十分快適です。

 

佐伯駅で今日の分のスタンプを押してもらいました。

ちょっと県境を越えたいだけなのに2回分使わなければなりません。



0618 佐伯駅 発

この列車を利用する人は、いかにも18きっぷ利用者という方がほとんどでした。

普通列車がこれだけ減らされるのも納得です。

 

列車が木々を掻き分けていく中、途中では集落的なところを走っていきます。

 

重岡駅では延岡からやってきた普通列車と行き違い。

延岡→佐伯の方向は夜にも1本あります。

 

大分と宮崎の県境にあたる宗太郎峠を越えていきます。

 

大分県最後の駅である宗太郎駅に到着、ここは秘境駅ともされているところです。

 

ここからは2,3人ほど鉄道ファンらしい方々が乗車。

おそらくさっき重岡駅で行き違った列車で下車、折り返して乗車したのでしょう。

 

しばらく山の中を走っていると小川を渡る深瀬橋という沈下橋がありました。

沈下橋というと四万十川にあるのが有名、ちょうどトラックが渡っているところでした。

 

日向長井駅では少しだけ停車。

小さな駅に停まる特急車両はいつもより立派に見えます。

 

1日に3本だけ残されたスカスカの時刻表はちょっと寂しいですね。

 

南宮崎駅を5:47に発車した始発の特急にちりんと行き違います。

 

更に進んでいくと横には延岡市の住宅街が流れてきました。

 

貨物コンテナの取り扱いもしている大きな駅、延岡駅に入線します。

 

0726 延岡駅 着

旭化成によって宮崎の工業の街として有名な延岡、駅前には大手ビジネスホテルも並んでおり、かなり立派な街です。

 

0735 延岡駅 発

今度は普通の電車、近郊型電車の817系です。

 

宮崎県の南国っぽい雰囲気の木々が植わっています。

 

日向市駅は2006年に高架化された駅、宮崎県産のスギを多用しており自然感のある駅舎です。

 

その後日豊本線は海沿いを走り、日向灘が目の前に広がります。

 

更に並行して宮崎リニア実験線の高架が伸びています。

 

現在では山梨リニア実験線へ役割を受け継いでいるため、高架線上には太陽光パネルが設置されています。

 

川南駅では向こうから特急列車がやってきました。

車内は結構混雑してきて、日常的な利用者も多くいることが分かります。

 

列車は宮崎の市街地の中、高架線で登っていきます。

 

0909 宮崎駅 着

西都城行きなので27分後に出発するのですが、そこから先に進めないのでここで一旦下車しました。

 

真っ白な駅舎はとても清潔感があります。さらに南国イメージのある宮崎において、爽やかな印象も与えてくれました。



宮崎では岐阜の配信者さんとお会いし、お見送りのために駅のホームへ。

ここでやってきたのは日南線を走るD&S列車、海幸山幸でした。

 

側面が木でできているという非常に珍しい列車です。

 

宮崎〜宮崎空港は青春18きっぷで特急の自由席に乗車することが許されています。

乗る予定は無かったのですが、ルート上の南宮崎駅まで乗ってみることにしました。

 

この車両は高千穂鉄道を走るTR-400形として運行していた車両です。トロッコ型気動車として2003年より導入されました。

しかし2005年の台風によって鉄橋が流される被害に遭い、そのまま廃止になってしまいました。

そこでJR九州は車両を改造、現在まで日南線の観光列車として走らせています。

 

車内の殆どが指定席ですが、車端部のロングシートは自由席。

目の前ではアテンダントさんが車内販売などの準備をなさっていました。



1013 宮崎駅 発

前面にはフォトパネルらしいものが立てかけられています。

 

幅の広い大淀川をコトコトと走っていけば南宮崎駅はすぐそこです。



1017 南宮崎駅 着

本当にわずかな時間でしたが、木に囲まれた特別感のある列車を楽しめました。

 

南宮崎駅は宮崎市街の南部に位置します。

駅前には宮崎交通のバスセンターが併設したショッピングセンター、宮交シティがあり、かなり発展している様子です。

 

1055 南宮崎駅 発

こちらは西都城行きの普通列車ですが、黄色い日南線のキハ40系で運行されます。

 

左側の車両基地の中、日南線は左方向へ分岐。

さっき乗ってきた海幸山幸や、宮崎空港行きの特急はあちらへ向かうことになります。

 

この先はそこまで車窓に変わったことはありません。

 

青井岳駅ではしばらくの停車。

幹線らしい立派な架線、そこに停まるローカル線らしい気動車が対照的です。

 

1206 都城駅 着

この列車はお隣の西都城駅まで行きます。

 

西都城行きはたくさんあるのですが、中々県境は越えさせてくれません。4時間ほどここで足止めです。

 

都城市は宮崎県第二のまち。

無機質ながら大きく平べったいコンクリート駅舎です。

 

イオン都城駅前店でしばらく時間を潰すことにしました。



1602 都城駅 発

ようやく鹿児島中央まで行ってくれる普通列車がやってきました。

 

お隣の西都城駅に到着。

都城~西都城にはチェーン店や様々な見慣れた企業などがあって、やはり大きな町であるということを実感させられました。

 

駅を出て左手に注目していると、何やら不思議な高架橋が。

1980年に高架化された西都城駅ですが、そのわずか7年後、分岐していた志布志線が廃止されました。こちらはその廃線跡なのです。

 

車が停まっている道の辺りが鹿児島県への県境。

五十市駅〜財部駅で宮崎県より鹿児島県に入りました!

 

県境を越えるという目的は達成しましたが、県の代表駅である鹿児島中央駅を目指します。

 

隼人駅は肥薩線の乗換駅。

ここから肥薩線が不通になっていなかった場合のルートと同じになります。

 

列車はこの先錦江湾沿いを走ることになり、奥には桜島が見えてきました。

 

竜ケ水駅の先へ行くと桜島が目の前に!

県のシンボルということもあって、鹿児島に来たのだという実感が湧きます。

 

日豊本線の終点である鹿児島駅に到着。

ここからひと区間だけ鹿児島本線に入ります。

 

青春18きっぷだけを使った熊本駅から鹿児島中央駅までの移動。直線距離は134.4kmのところ、超遠回りをした480.9kmの道のりを終えました。



1738 鹿児島中央駅 着

遂に鹿児島中央駅に到着!かかった時間は27時間35分です。

 

そうは言っても青春18きっぷ一番のメリットは安く行けるということです。

肥薩おれんじ鉄道を含む鹿児島本線ルートで行った場合の料金を見て見ましょう。

 

熊本~八代 760円

肥薩おれんじ鉄道 2670円

川内~鹿児島中央 950円

合計 4380円

 

と言うことは、青春18きっぷ2回分(4820円)より安く行くことができます。

 

この県境を青春18きっぷで行くということは、超遠回りで時間がかかるだけでなく、青春18きっぷ2回分に加え宿泊費も含めた旅費がかかるというものでした。

皆さんは大人しく肥薩おれんじ鉄道を通って行くようにして下さい。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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