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【廃墟?】せっかくスペイン風に改修した志摩磯部駅が寂れてしまったワケ【2020春4】

2020年4月5日

 

池の浦シーサイド駅を訪問しまして、近鉄の池の浦駅から普通列車に乗ってきました。今回ご紹介するのは特急も停車する、志摩磯部駅です。

 

外観はスペインのアンダルシア地方をイメージしたデザインになっていて、非常に立派な駅に見えます。特急が停車し、有人駅で、これだけデザインに凝った立派な駅舎。しかし周りにはほとんど人が見当たりません。

現在、利用客数がピーク時(1994年)の7分の1近くにまでなった志摩磯部駅。一体どうしてなぜここまで減ってしまったのでしょうか。

 

まずは、なぜこれだけスペインを意識した立派な駅舎になっているのかご説明します。

その理由は志摩磯部駅がテーマパーク、『志摩スペイン村』へのバスの発着地となったからです。

近鉄特急で志摩磯部駅まできて、ここからバスでテーマパークへ。列車とバスの乗り換え地点ということもあったため、これだけデザインに富んだ駅舎となりました。

 

駅舎の西口には『1994』と書かれたタイルが貼られていますが、現在の駅舎は1994年に橋上駅化と同時に建てられたものです。

しかし現在、志摩スペイン村へのバスは志摩磯部駅からは発着していません。それらは全て、2007年に鵜方駅の発着となったからです。

それではなぜ発着駅が変更になったのでしょうか?

もともと志摩スペイン村があったのは磯部町。そのため、町に配慮して中心駅である志摩磯部駅からバスを発着させていました。

しかし2004年には磯部町が志摩市に合併。それをきっかけにスペイン村に近い鵜方駅がアクセス駅として引き継がれたのです。

1994年に改築された駅舎なのですが、このデザインは13年で役目を終えたと言えるでしょう。



それでは志摩磯部駅を詳しく見ていきます。

まずはホームからのご紹介です。

ホームは2面3線となっています。1番線が賢島方面、2番線が伊勢市方面なのですが、番号の付け方が特徴的ですね。

通常ならば番号順につけますが、3番線が1番線の隣になっています。

 

こちらの3番線は回送列車の留置のために使われます。お客さんの乗降に影響がないため、この番号の付け方で良かったのかもしれません。

 

さて、ホームから橋上駅舎の方を見ますが、既にオレンジ色の屋根、白の外壁。

いかにも地中海辺りの建築をモデルにしたのだと感じられますね。



それでは改札の方へ向かいますが、入り口と階段の幅が明らかに合っていません。

階段がなぜか狭くなっていて、右側が囲われて閉鎖されています。

 

これはおそらくエスカレーターの跡だと思われます。昔はそれだけ需要があったのですが、今では必要ないということです。

 

階札内のコンコースは相当広く作られていて、床面も暖かみのある色合いになっています。

 

上から線路を眺められる所にはベンチも並べられています。完全にテラスの様相を呈していますね。

あまり本題とは関係ありませんが、発車標は反転フラップ式でした。

 

改札は有人改札で、ラッチも多く設置されています。しかし実際に使っているのは一番右だけのようで、他のところは看板などで行き止まりにしてありました。

切符売り場もあって、駅員さんは何人かいらっしゃいます。

 

改札近くの真上にはまるで教会のような屋根が設けられていて、ステンドグラスが綺麗に輝いていました。

 

そして、その下の方にはスペインを連想させる太陽のマークがたくさんつけられています。

 

改札前には大きな扉がいくつが並んでいました。ここには待合室の他、売店やゲームコーナー、切符売り場があったとのことです。

 

志摩スペイン村へのバスは2007年に鵜方駅発着になったのは先ほどお話した通りなのですが、『Hotel&Resorts ISE-SHIMA』というホテルへのバスは志摩磯部駅発着でした。

しかし、こちらも4/1からは鵜方駅発着になったそうで、また志摩磯部から鵜方へお客さんが移りそうです。



それでは最初にご覧にいれた西口の駅舎へ。

こちらが表玄関に当たる方で、駅前にはロータリーが整備されています。

駅舎右にはリゾートイン磯部というホテルがありまして、駅周辺で一番大きな施設です。

 

駅舎の1階部分には待合室とコインロッカーが駅舎の1階部分に並んでいたそうですが、今となっては全てシャッターが閉められてしまいました。

待合室では地元の方々によるステーションコンサートも開かれていたそうです。

 

駅舎の外側にも可愛らしい絵が描かれたシャッターも並んでいて、多くの人が行き交っていたのだなと感じます。

 

ホームのエスカレーターと同様に、駅舎のエスカレーターも閉めきられていました。しかしエレベーターは設置されているようです。

 

最後は反対側の駅舎東口、裏口に当たる側です。

 

駅前には大きな川が流れ、対岸に民家が並ぶだけ。しかし本来の姿はこれなのかもしれません。

実はこの川からクルーズ船で志摩スペイン村まで結ぶ計画まであったそうです。

 

黒ずんだ駅舎に白くなってしまった駅名板。

そんな駅舎をスペインのシンボル、太陽が雲の向こうから寂しげに照らしていたのが印象的なのでした。

お客さんが空っぽになってしまい、『ゴーストステーション』とも言える志摩磯部駅。何も無くなってしまいましたが、それを楽しむのも面白いかもしれません。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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