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【伊良湖岬を目指した鉄道】豊橋鉄道 渥美線(三河田原〜黒川原)廃線跡を歩く

2020年7月22日

豊橋鉄道の終着駅、三河田原駅にやってきました。

この駅舎が有名な建築士である、安藤忠雄氏によってデザインされたことについては、以前ご紹介した通りです。

豊橋鉄道 渥美線の終点、三河田原駅 〜安藤忠雄氏によって設計された駅舎〜

東三河のターミナル駅、豊橋駅からは中小私鉄である豊橋鉄道 渥美線が走っています。 あまりピンとこない鉄道ですが、愛知県の農業庫である渥美半島の田原市まで18キロを結ぶ路線です。   基本的に ...

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三河田原駅前のロータリーには線路のモニュメントが置かれていました。

 

これは鉄道が渥美半島の先端、当時軍備施設のあった伊良湖を目指していたことを伝えています。

ルートの候補は2つありました。

ひとつは一部内陸を走って伊良湖の手前の福江まで行く渥美電鉄のルート、もうひとつは海沿いを走り、伊良湖まで至る鉄道省のルートです。

 

2つともほとんどが未成線なのですが、実は三河田原駅から黒川原駅までの2区間だけ一時期運行していました。

三河田原駅〜黒川原駅が開業したのは1926年、豊橋鉄道が渥美電鉄だった頃です。

1940年9月、名鉄が渥美電鉄を合併したことで渥美線は名鉄となりました。

しかし、1944年6月、戦争の激化によって渥美線の一部の駅と三河田原駅〜黒川原駅は休止に。

戦後になっても結局この区間に鉄道が走ることはなく、1954年に廃止されました。

今回は廃線跡が残っている、この区間を歩いてみました。

このモニュメントの線路を伸ばしていくと、駅舎の左側辺りを通って行きます。

 

その先はLa La Granという商業施設などが集まっている区画の北側の道路へ至ります。

ややカーブした道路からも、廃線らしさが感じ取れました。

 

この道の突き当たりには川があって、昔はちょうどガイドレールが途切れている方向に向かって橋が架けられていたようです。

 

丁度その場所には何やら丸いコンクリートの物体があったのですが、流石に中が空洞になっていて支えられそうには無いので橋脚の跡ではないと思われます。

 

向かい側に来ましたが、結局、橋脚跡などは見つかりませんでした。

 

三河田原駅方面からは赤線のように線路があったと思われます。

 

廃線跡の青丸部分には工場などが建っていて突っ切ることは不可能なのでその先へ進みます。

 

廃線跡は閑静な住宅街へ。

道が異常にクネクネしていますが、これは車がスピードを出しすぎないようにするためで、鉄道とは何ら関係ありません。

 

歩いてきた道を振り返ります。

右側の道が廃線跡で、左側が昔からの道路だったようです。

こうしてみると盛り土して線路が敷かれたということがよく分かります。

 

三河田原駅の次の駅、加治駅跡に到着。

ホームの痕跡などはまったく残っていません。

 

おそらく歩道が広がっている部分にホームがあったのかなと思われますが、今となってはさっぱりです。

それでも廃線跡を右奥に向かって斜めに横切っていく道路が、なんとなく踏切っぽい雰囲気が感じられます。

 

住宅はだんだん少なくなっていき、左右には植物が繁ってきました。

それにしても鉄道にしては結構な勾配に思えて、これを走れていたのかと不思議に思うくらいです。

 

ヤギが繋がれているお宅などを横目に、廃線跡は国道259号線、田原バイパスと合流します。

 

ここから先の廃線跡は歩けなさそうなので、すぐ横の歩道を進むことになります。

 

三河田原方面を振り返り、右側の歩道沿いに、左には廃線跡のスペースが続きます。

 

終点の黒川原駅に近くなると、歩道が急に広くなりました。

 

黒川原駅の目印である大久保南の交差点へ到着。

 

交差点から三河田原方面を見ても、特に廃駅跡だと分かるようなものはありません。

 

黒川原駅は貨物ホーム含め3面3線だと言われていますから、かなりの用地が必要だったと思われます。セブンイレブンさんや、その奥のナカガミのタネさんの辺りが駅の敷地だったのではないでしょうか。

 

その手前辺りで線路が分岐していき、駅ホームへ入っていったのでしょう。
黒川原駅については地元住民でも当時のことを知る人はほとんどいらっしゃらないようで、駅の写真なども見つかっていないそうです。

それでもなんとなくこの先も線路がつながるかもしれなかったというのも感じられたので良かったと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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