上越新幹線のイメージとしてピンクの帯を備えた大きな新幹線、E4系を真っ先に思い浮かべる方は少なくないでしょう。
日本唯一のオール2階建て新幹線車両であり、上越新幹線の代名詞と行っても過言ではありません。
E4系の定員は8+8=16両編成時には1634席であり、これは高速鉄道としては世界一。日本の鉄道として世界に誇ることのできる列車だったのです。
また、新潟県のアイドルグループであるNGT48は『Maxとき315号』という曲をリリースしており、地元の方々にとって親しみの持たれた車両です。
ちなみにMaxとき315号はE7系になったため、現在はとき315号です。
そんなE4系ですが、徐々に引退されることが発表され、2019年3月から上越新幹線にE7系の充当が開始されました。
車両の老朽化が進んだことが大きな理由です。また、E7系になることで定員がかなり減らされますが、当時通勤需要を考慮した2階建て新幹線も現在はそれほど意味もないと判断したようです。
E4系はE7系への置き換えにより、2020年3月に引退する予定でしたが、それができなくなってしまいました。
2019年10月に長野県を襲った台風19号によって長野新幹線車両センターに留置されていたE7系が浸水してしまったのです。
浸水したのはE7/W7系の10編成で、すべての列車が廃車。北陸新幹線で運行するE7/W7系30編成のうち1/3が廃車になったことで、当時は大幅な減便が行われていました。
未曾有の災害が起こったことで上越新幹線に新車を導入する余裕がなくなってしまったのです。
このためE4系の引退は1年先延ばし、2021年3月のダイヤ改正時とされていました。
しかし共同通信によるJR東日本への取材によるとE4系の引退は2021年秋頃とされています。これはE7系の新造が春までに間に合わないからと思われます。
一方でE4系も老朽化が進んでいるため、検査期限に合わせて徐々に廃車、E7系へ変わっていくことでしょう。
存続した理由が自然災害であるために、あまり喜ぶことはできませんが、ぜひ皆さんには一度2階部分に乗車して頂きたいところ。
防音壁に遮られずに景色を楽しめるのは今だけです。
それにしても今回のコロナ禍で厳しい状況の中、新車製造もしなければならないとは、本当に大変な局面ですね…。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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