羽越新幹線は富山から新潟を経由し、新青森に至る日本海を通る新幹線です。
開通すれば寝台特急、日本海やトワイライトエクスプレスのような大阪〜札幌のルートが出来上がります。東京を通らずに西日本と北日本が結ばれるのです。
実際、新たに建設されるのは赤線の部分、他の区間は北陸新幹線の富山〜上越妙高、上越新幹線の長岡〜新潟に乗り入れる形です。
富山から新青森は他新幹線の重複区間を含め、560キロとかなりの長大路線となります。
今回は羽越新幹線の必要性について、そして今後着工の見込みはあるのかについてご紹介します。
なぜ未着工なのか
2020年現在、羽越新幹線は一切着工されていません。
現時点で想定されている経由地は、上越、長岡、新潟、秋田、弘前です。
また、起終着点で北陸、北海道新幹線に接続することも決まっています。ただし、直通されるかは分かりません。
未着工の理由は簡単で、羽越新幹線が沿線人口が少ない地域を通るルートだからです。つまり利用客があまり見込めません。
また、これまでの新幹線でもそうでしたが、羽越新幹線でも沿線自治体の費用負担が大変多くなることが出来ます。その費用負担を地元住民が納得するのかという点も重要です。
それではその利用者数はどれくらいの見込みがあるでしょうか。参考として、沿線の人口を見てみましょう。
まず、政令指定都市である新潟市は80万人。中核市である青森市、秋田市、富山市は30〜40万人です。
それらには及ばないものの、弘前市、長岡市、上越市は20万人です。
確かに他の新幹線と比べると規模は小さいものの、それなりの都市圏を持っていると言えます。しかし、今挙げた都市圏はほとんど既に新幹線が通っており、唯一通っていない弘前も青森と比較的近い場所です。つまり羽越新幹線新規路線では主役の地域とも言える山形、秋田南部にはそのような都市圏は無いということになります。
ということは、羽越新幹線建設の一番のメリットは、新潟〜秋田の地域に新幹線が来ることではありません。
西日本から北日本へ鉄道での移動が容易になり、羽越新幹線が航空機からそのシェアを奪えることです。
しかし、新大阪〜札幌の想定されているルートの距離は1228km。東京〜札幌が1035kmであることと比べても、飛行機からシェアを奪えるかは疑問符が付きます。
四国新幹線との争い
新幹線基本計画路線は1971年に3路線(東北、上越、成田(失効))、1972年には3路線(北海道、北陸、九州)が告示され、これらは実際に開業、建設がなされています。
しかし、1973年には11路線と非常に多くの路線が告示されました。
その11路線は北海道南回り、羽越、奥羽、中央、北陸・中央、山陰、中国横断、四国、四国横断、東九州、九州横断でした。
しかし、その中で着工されているのは中央新幹線(リニア中央新幹線)のみです。
さて、1972年に告示された3路線が建設され、更にその着工が1年前倒しされました。
そのため1973年に告示された路線の沿線自治体は、次はうちに新幹線を誘致しようとしています。
1973年に告示された路線で、一番自治体が声をあげているのが四国新幹線です。実際に羽越新幹線よりも誘致を望む声をよく聞きます。特に四国は唯一新幹線がない事もあって誘致運動は比較的に活発です。
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一方で山形県知事は新幹線が太平洋側に集中していることを挙げ、日本海側にも新幹線建設が必要だとしています。
本当に羽越新幹線を沿線住民が望むならばそれが実現するように積極的に働きかけをする必要があります。
さて、ここまでで羽越新幹線の概要や必要性についてご紹介しました。次回は新たに新幹線を建設する上でよくなされる話ですが、羽越新幹線はフル規格かミニ新幹線かどちらが良いのかについて取り上げようと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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