本数が無いから奥出雲おろち号で折返し乗車 木次線で奥出雲町を往復[奥出雲おろち(3)]
今日は備後落合駅から木次線の観光列車、奥出雲おろち号に乗車する予定です。 新見駅から芸備線に乗車し、6:34に備後落合駅に到着しています。通常通り奥出雲おろち号に乗り換えると、12:57まで6時間以上 ...
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中国山地には多くのローカル線があり、特急の走らない区間は廃止が危惧されています。
その中のひとつ、木次線には観光列車として知られる『奥出雲おろち』号が走っています。
木次線をある程度支えていると言っても良いこの列車ですが、2023年度をもって運行を終えることが発表されました。
今回はそんな奥出雲おろちの魅力をお伝えできたら嬉しいです。
奥出雲おろち号が運行を終了してしまうのは、車両の老朽化が大きな理由です。
3つの車のうち、最も早く車検を迎えるのがスハフ13-801です。
1978年に製造され、奥出雲おろち号のために1998年に改造しました。運転台付きの客車で、窓のないトロッコ車両であることが特徴です。
老朽化が激しいのは他の車両も同じこと。
スハフ12-801の製造はさらに古い1970年で、1991年には急行用、1998年にはおろち号用に再度改造が行われました。
また、牽引するDE10・DE15も製造から50年ほど経っています。
老朽化によって存続の危機に立たされた奥出雲おろち号。秋になって山の寒さが際立つトロッコの旅がはじまります。
列車は備後落合駅を出発しました。
前面には機関車がついているので、後面展望に人が集まります。
オルゴールによるハイケンスのセレナーデを鳴らして、列車は山を登っていきます。
木々は段々と紅く染まってきており、冷たい風とともに自然を感じさせられました。
最初の停車駅は油木駅。
木製の看板がレトロチックな雰囲気を漂わせています。
平日にも関わらず、沿線には撮り鉄さんが多い印象でした。
トロッコは体をパサパサ葉っぱに擦りつけながら走っていきます。
おかげで車内には、落ち葉の贈り物が吹き込んできました。
編成が短いのでそこまではっきりとは見えませんが、カーブでは機関車が木々を分け入っていく様子が分かります。
三井野原駅からは島根県に入ります。
ここからは大勢の団体ツアー客が乗車。奥出雲おろち号は中々きっぷを抑えづらいのですが、それはツアーで人気のためです。
三井野原駅はJR西日本の駅で最も標高の高いところに位置する駅。ボヤケてしまっていますが、看板はここが分水嶺であることを示していました。
そしてトロッコは木次線内でも人気のスポットへやってきました。
左手に赤い橋が見えてくると列車は徐行します。
そしてその先にあるのが、おろちループと呼ばれるループ橋です。
この道路は二重のループ橋で、これによって105mの高さを登ることができます。
木次線を廃線の危機に貶めているこの道路がある種の車窓スポットになっている、何とも複雑な心境です。
そして鉄路は三段式スイッチバックへ向かいます。
国内の三段式スイッチバックは豊肥本線の立野駅、肥薩線の大畑駅、そしてここ木次線の出雲坂根駅だけです。
進行方向左手には、これから向かう出雲坂根駅が見下ろせます。
スイッチバックしているだけだと降りてきた実感が湧きませんが、このように駅が見られるとその凄さが目に見えますね。
右側からは駅へと続く線路が近づいてきました。
それぞれの線路が上下から合流。
ポイントを雪から守るため、ここにはスノーシェッドがかけられています。
それを少し過ぎたところで一旦停止、運転士さんがこちらにやって来ました。
赤信号が黄色に変わると、列車は進行方向を変えて出発します。
さっき降りてきた線路を左に見ながら、駅へ繋がる線路を下っていきます。
右下には出雲坂根駅から先に進む線路が見えていました。
備後落合行きの普通列車が停まっている、出雲坂根駅に到着です。
車内では予め、奥出雲おろち号で出雲坂根駅まで来て備後落合行きに乗車するというコアな人に向けて、これに乗り換えるお客さんは車掌に伝えるよう案内がされていました。
スイッチバックについて動画でご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
出雲坂根駅では17分の停車。
備後落合行きの列車を見送りまして、列車周辺では撮影大会が行われています。
駅舎内ではスイッチバックのルートについて、図で説明されていました。
駅前に来てみると、駅の案内看板にはスイッチバックの表記がされているほど。このスイッチバックの注目度を伺い知れます。
駅に併設したところには延命水の水源があります。
延命水は寿命100年以上の古狸が好んで飲んだとされたことから、この名前が付けられました。
列車は汽笛を鳴らして出雲坂根駅を出発します。
ポイントを渡って、先程とは異なる方の線路を降りていきました。
それにしてもトロッコにいるとかなり寒いです。
スイッチバックも撮影できましたし、窓のある控車に避難してきました。
もちろんトロッコも楽しいですが、無理してまで居るほどではないと思っています。
八川駅では八川そばさんのトロッコそば弁当が販売されます。
舞茸など野菜が乗せられた、カラフルなそば弁当です。
ハイケンスのセレナーデのオルゴールを鳴らして、出雲横田駅に到着。
駅横には雲州そろばん伝統産業会館があり、そろばんの形をした窓がはめられていました。
横田は日本のそろばんの主産地であり、そこで作られたものは雲州そろばんと呼ばれます。
亀嵩駅に到着しました。
この駅でも予め予約しておけば、扇屋さんによるそば弁当を受け取りできます。
駅舎には蕎麦屋さんが入居しており、亀嵩そばとして人気を博しています。蕎麦屋さんが切符の販売なども行っているので、駅長さんのそばとも言われたりします。
そば弁当の予約は当日10時まで。八川駅のトロッコそばと迷われる方も多いでしょう。
とろろと卵に漬けたお蕎麦は濃厚で非常に美味しかったです。
木次線はあまり川のイメージが無いですが、斐伊川を高い橋梁で渡っていきます。
出雲三成駅に到着。
ここでは20分ほど停車します。
駅舎内には特産品の販売所があるので、お土産品などの買い物が可能です。
ここでの停車で反対方向の普通列車と行き違いを済ませました。
その先では眼下に四角い棚田が広がります。
棚田いうと等高線に合わせた曲線を描くものが多いイメージですが、こちらはマインクラフトで作ったかのようにキッチリしていました。
出雲八代駅に到着です。
廃ホームに地元の方がいらっしゃるなぁと思っていたらこれはカカシ。
振り返してもらえるはずの無いものに手を振るという頭のおかしい行為をしてしまいました(恥)
最後にまたトロッコの方へやって来ました。
いつの間にかツアーのお客さんがいなくなっていたトロッコ、車内は風の流れがより強くなっていました。
青い列車は龍のように強面の頭を山々の間に向け、体をくねらせながら山を走っていきます。
夕方になってきたことで、山には日向と日陰のコントラストが作り上げられました。
木次線には線路を傷めないための制限速度25km/hが採用されているため、並走する車には手を振られながら追い抜かれます。
日が落ちる方向へ向かう中で停車した日登駅、木造駅舎のレトロさに心を打たれました。
奥出雲おろち号の旅もいよいよ終わり。トロッコ最期の時を噛み締めます。
終点の木次駅に到着しました。
はっきりとした群青色をしたこの列車は、まさか引退するとは思わせない堂々とした面持ちです。
今日の役割を終えた列車は入換を行って、木次駅の車庫へと引き上げていきました。
この列車は島根県の中でもかなり魅力的な観光資源です。しかしそれだけの理由で木次線を支えるのは厳しいというのも現実でしょう。
沿線自治体は奥出雲おろち号に代わる観光列車を検討しています。もしそれが現実となったらそれほど嬉しいことはありません。
少なくとも奥出雲おろち号が走る今、この列車の楽しみを一人でも多くの人に体験していただきたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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