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【JR北海道最長】札幌〜稚内5時間10分!特急宗谷乗車記[花たびそうや(4)]
おはようございます。北の大地で一番の大都会、札幌駅です。 少々曇り空ですが、それがまた北国という雰囲気を強めています。 しかし、これからもっと北へ向かうことになります。 乗 ...
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おはようございます。ここは日本最北端の駅、稚内駅です。
春が訪れた宗谷本線で臨時急行列車、花たびそうや号が運行開始しました。
本来は2020年春に走るはずだったのですが、新型コロナウイルスの影響で1年、また1年と先送り。
2022年になってようやく走れるようになったのです。
1年後に再度切符を確保しまして、待望の花たびそうや号。道中の様子を是非お楽しみください。
使用される車両はキハ40の山紫水明シリーズです。
2019年秋に運行を開始したこれら2両。当初の運行予定は2020年春でしたから、この車両を宣伝する目的もあったのでしょう。
中間にはフリースペースの増1号車として、北海道の恵みシリーズ 道北流氷の恵みを連結しています。
花たびそうや号は急行列車、ドア横にはそのサボが入れられました。
宗谷本線で急行が走るのは、2000年春に急行宗谷が特急に格上げされてから22年ぶりとのこと。
行き先表示についてもオリジナルデザインで、とっても華やかです。
優しい印象を受けるヘッドマークも作られまして、これからの旅の幕開けをワクワクさせてくれます。
今回乗り込むのは2号車、緑色の山明です。
入口部分にはインスタボートをうまく使った装飾がされていました。
車内デザインは木目を基調としており、宗谷本線の魅力が詰め込まれています。
今回のような観光列車運行時には、ボックスシートにテーブルを設置できる作りです。
8:31、稚内駅を出発。
稚内市のゆるキャラ、りんぞうくんと出汁之介がお見送りしてくれました。
南稚内駅(8:34-8:35)
稚内市の市街地に近いのは、隣駅のこちら側です。
前日に訪れたのですが、南稚内駅では駅員さんが作られた、駅舎と花たびそうや号のペーパークラフトが展示されていました。
車両デザインを背景にした発車案内も作ってあり、列車の歓迎が見受けられます。
街の姿を見るのは、稚内市こまどりスキー場が最後。ここからどんどん原野に入っていきます。
ここから豊富駅まで稚内市の方が観光案内をしてくださいます。
その先日本海側を見下ろせる海岸では、利尻富士が見られました。
もっと天気が良ければ、平べったい礼文島も望めるそうです。
日本最北の秘境駅として人気の抜海駅を通過。
良い雰囲気を出している木造駅舎も素晴らしいものでした。
車掌さんからは記念の乗車証明書をいただきました。凸凹したラミネート加工がされており、キラキラ輝いた立派なカードです。
線路を守る防雪林が途切れるところで、引き続き雪の積もる利尻富士を望めます。
勇知駅周辺では稚内ブランドの勇知いもが有名です。樺太芋がルーツの甘いじゃがいも、栽培する農家さんもいなかったのですが、現在は復活しています。
兜沼駅には駅名の通り兜沼が隣接。この沼には農業振興のため、水を抜いて小さくなった歴史があるとのことです。
列車は稚内市から豊富町に入ります。
イペコロペッ[食物(魚)・を持つ・川]というアイヌ語を意訳し、「食べ物が豊富」ということから豊富町になりました。
豊富駅(9:18-9:27)
豊富は最北の温泉郷で、油分を含んだ独特な泉質が特徴。とても気になるところなので、ぜひ行ってみたいですね。
花壇も鮮やかな彩りを見せていて、素晴らしいです。
列車は原野の中を走る途中、酪農や農業を営む建物が時々目に入ります。
幌延駅(9:42-9:51)
町内には沢山の秘境駅があり、幌延町はまちおこしの一環としてそれを活用しています。
トナカイ観光牧場には、フィンランドから来て幌延で生まれたトナカイが暮らしており、人気の観光地です。
幌延駅の発車案内には、花たびそうやの札が掛けられています。
特別デフォルメはしておらず、普通の列車と変わりないデザインが逆に良いですね。
駅舎内にあるインフォメーションセンター・ホロカルでは、宗谷本線グッズを販売しています。
また、缶に駅名が書かれたほろ呑んべえセットも販売。幌延Smoky純米酒3缶セット+おつまみで2000円です。
トナカイのホロベーに見送られまして、幌延駅を出発します。
一面サビに覆われた貨車駅舎として有名だった安牛駅跡。2021年春に廃止されましたが、線路から一歩引いた辺りに保存されています。
秘境駅としても知られる雄信内駅に到着しました。
ここでは旭川〜稚内を結ぶ普通列車と行き違い。
普段ならこの列車も鉄道ファンで賑わうのですが、花たびそうや狙いの乗り鉄や撮り鉄に集結しているためか、ガラガラでした。
雄信内駅の先で宗谷本線唯一のトンネル、下平トンネルを走っていきます。
それを抜けた先、右手に注目していると木々の中に橋の跡が見えます。
かつてここは下平陸橋を使って山を避けるルートだったのですが、1961年に発生した雪崩で15の橋桁全てが天塩川へ。これはトンネル開通前を思わせる構造物です。
その先、天塩川沿いの問平陸橋はJR北海道の運転士さんイチオシの区間ということで、徐行してくださいました。
すぐ下に穏やかな天塩川が流れており、ローカル線らしい景色です。
板張りホームにヨド物置が乗っかっているだけ、糠南駅を通過します。
歌内駅跡手前の踏切では、幌延町の方々が手を振ってくださいました。
天塩中川駅(10:36-10:53)
ここでは一番長い停車時間があり、ホーム上で販売が行われます。
音威子府そばをおみやげに買いまして、カウンターではノベルティグッズとして宗谷本線来訪記念証をいただけました。
駅舎内で事前受付をしておいた、お弁当を受け取ります。
予約は3日前まで可能、こちらのサイトからどうぞ!
天塩中川駅は新しい駅舎ですが、昔のものを再現したデザイン。
その駅舎内には喫茶店オトカフェもありました。
こちらが今回受け取りました、かに飯そば弁当です。
ボックスシートで他に人がいましたので少々遠慮して、この後乗車した特急大雪にていただくことにしました。
しっかり歯ごたえのあるカニに、出汁の効いたご飯がとても美味しいです。
そして、黒い麺が特徴の音威子府そば。
そばの実の甘皮も製麺することで、このような色合いとなっています。
独特な風味とコシがあって、香りの立つお蕎麦はとても美味しかったです。
製造会社の畠山製麺が8月末で、蕎麦の製造を終了してしまいます。この味を楽しみたい方は、ぜひお早めに!
音威子府村のゆるキャラ、おとっきーにも手を振られて出発しました。
こちらは駅舎内のカフェで買ってきた、はちみつレモンサイダー。シロップが非常に濃厚な味わいです。
佐久駅ではラベンダー編成の特急宗谷と行き違いました。
天塩川の対岸には、北海道命名の地が見えます。
音威子府村の方々が旗を持って、こちらに手を振ってくださいました。
列車に乗っていると、途中では撮り鉄さんの集まるポイントが見られます。
こういうポイントにはJR北海道の方やポリスメンもいて、こちらに手を振ってくださいます。
音威子府駅(11:32-11:35)
音威子府駅では3分ほどの停車。
ここでの停車時間が短いために、天塩中川駅に音威子府村の出店があったのです。
日曜日はみどりの窓口の営業をしなくなったとのことで、入場券の購入はできません。
2021年春に駅から降格した、豊清水信号場を通過していきます。
美深駅(12:03-12:17)
この町は夏に30℃、冬に-30℃という非常に寒暖差の激しい土地。この気候を活かして甘いじゃがいもが栽培されています。
また、キャビアの生みの親であるチョウザメ養殖も盛んです。
大きな駅舎に立つのは美幸の鐘。
日本一の赤字路線とされた美幸線を忘れず、“美しく幸多い”町であり続ける願いを込められています。
ホーム上ではパウンドケーキセットと美深クラフトビールを販売しています。
ホットコーヒーとの限定30セットです。
このカボチャが果物のように甘く、レーズンの甘酸っぱさも相まって美味しかったです。
名寄駅(12:38-12:48)
やはりここは大きな街、販売など関係無く多くの地元の方がお出迎えしてくださいました。
発車標を見てみると、臨時急行の表示がされています。
それに加えて花たびそうやの特別なデザインまで。
指定券はここで分かれていて、ここから座席が変わります。
稚内〜旭川を通して乗車される方でも、名寄で分割している方が多い印象でした。
ここからは宗谷南線と呼ばれる区間に。DECMOが走るエリアでして、本数も増えることで行き違いの頻度が急増します。
名寄駅を発車すると、左手にはSL排雪列車キマロキ編成を見られます。
機関車、マックレー車、ロータリー車、機関車の4つが編成を組み、マックレー車が両脇の雪壁を崩してかき集め、ロータリー車が遠くへ雪を飛ばすという役割をしていました。
士別駅(13:05-13:10)
士別市の名物となった天サイダー、天塩川の水とビートオリゴを使った爽やかなサイダーです。
駅舎内にはレトロな売店と駅そば屋さんが並んでいます。
2021年春に廃止された北剣淵駅、下士別駅の駅名板などが展示されていました。
駅構内ではゆるキャラのさほっち、士別吹奏楽団の方が演奏でお出迎えしてくださっています。
これは花たびそうやのお出迎えに合わせ、イベントを開催していたのです。
発車するタイミングには銀河鉄道999を演奏してくださいまして、非常に感動しました。
士別〜剣淵には防雪林、深川林地が続きます。
このあたりは泥炭地で植林には苦労したのですが、深川冬至によって泥炭の分解を促進する土壌改良法が取り入れられ、ドイツトウヒを採用して造成が成功しました。
剣淵駅(13:18-13:25)
アルパカのぷっちーながお出迎えしてくれました。
ふるさと納税のパンフレットや、オリジナルシールなどもいただきます。
剣淵町は絵本の町としてまちづくりを行っており、絵本の館という施設も見どころの一つだそう。子どもたちでも楽しめるリラックスした空間が広がります。
和寒駅(13:34-13:44)
ここに来るとオヤジギャクを言いたくなる駅です。
子供による塗り絵もいただきまして、宗谷本線との密接度が分かります。
その他ノベルティとして、三浦綾子作品集の本をいただきました。三浦綾子といえば宗谷本線の塩狩峠のお話で有名です。
列車はエンジンを唸らせながら、塩狩峠を登っているところ、和寒町さんから観光案内のアナウンスが流れます。
塩狩駅(13:54-13:58)
ここは宗谷本線の中で欠かせない駅であり、秘境駅としても知られています。
停車中には大勢の乗客が駅へ出てきまして、駅舎や列車を撮影していました。
駅周辺には桜並木があって、春には鮮やかな景色を見られるはずです。
ここで特急サロベツと行き違い。
塩狩駅は一時廃止が検討されましたが、和寒町が維持管理することで残っています。駅では募金を募っておりまして、このようなカードをいただきました。
塩狩峠を越えてから、エンジン音も軽くなって駆け下りていきます。
比布駅(14:10-14:22)
非常にナチュラルな印象を受ける新しい駅舎。
ピップエレキバンのCM撮影が行われたことでも知られています。
駅舎内にはピピカフェが入居しており、鉄道グッズ等も販売していました。
比布駅にてDECMOと行き違い、向こうのお客さんからも注目を浴びます。
比布町はいちごが名物。駅舎内のカフェで買ってきたアイスクリームは、瑞々しく爽やかな感じです。
旭川運転所には花たびそうやにも連結されている北海道の恵みシリーズ、道東 森の恵みが停車中でした。
花たびそうやで稚内〜旭川を走破したお客さんには、全区間走破証を渡してくださいます。
遂に新旭川駅から石北本線に入りまして、これまで目にしなかった大都会の中を高架で駆け抜けていきます。
白い枝を大きく広げて屋根を支え切るような、終点の旭川駅に到着です。
花たびそうやはここで終わりですが、旭川駅の職員さんに横断幕でお出迎えしていただきました。
列車は15:10頃、旭川運転所に向けて回送されます。
所要時間は普通列車よりも長い6時間12分、よく言う感想になりますが、全く飽きることはありませんでした。
それは宗谷本線が魅力溢れる路線というのに加え、各自治体や住民の方々が旅をより素晴らしいものにしようと、楽しませてくれたからに他ありません。
暖かなおもてなしが、私たち乗客の旅を作り上げてくださり、感謝の気持ちが溢れるばかり。
乗客側も観光列車に乗って終わりとするのではなく、もう一度各地へ足を運ぶことで、観光戦略の実を結びたいと思いました。
厳しい状況が続く北海道の鉄道ですが、今後もこのような楽しい列車の旅を提供してくださると嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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