北海道新幹線の札幌延伸で経営分離される、函館本線の函館~小樽。新幹線開業後、並行在来線の行く先について議論されています。
前回は山線と呼ばれる長万部~小樽について各自治体が現状どのような方向性なのか見ていき、今後について考察しました。
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今回は渡島ブロックと呼ばれる、函館~長万部の150kmを取り上げます。
この区間の平成30年度の輸送密度(1日1kmあたりの輸送人員)は3650人、特急列車を除くと685人と推定され、赤字額は約50億円に上ります。
特急北斗が運行されている現状ですらこの状況、新幹線が開業して特急を利用していたお客さんがそちらへ流れてしまえば、函館本線はますます厳しくなるでしょう。
※リンク切れ(PDF)函館線 函館・長万部間の状況について-北海道
更に鉄道設備の修繕・更新のために、今後20年で25億円必要とされています。
これを地方の自治体だけに負担を強いるのは非常に難しいことです。
そんな函館~長万部ですが、簡単に廃止にはできない理由があります。
それは北海道と本州を結ぶ貨物列車の存在です。
北海道→本州の貨物輸送は年間約230万トン。その半分以上はじゃがいも、玉ねぎなどの農産物が占めています。
もし長万部から南の鉄路が無くなってしまえば、それらを全て海上輸送へ転換する必要に迫られます。
しかしトラック運転手の不足に直面している現在、鉄道が担っていた輸送量を補完するだけ、運転手さんを確保するのは非常に困難です。
そのような現状を見ると少なくともこの区間は貨物線として維持される可能性が高いです。
しかしJR貨物は2016年に黒字化したばかりで、自社で長大な路線を保有するのは困難。沿線自治体が貨物列車存続のためだけに財政負担をするのも厳しいのが現状です。
ここでNHKが行ったアンケートを基に、沿線各自治体の方向性についても見てみましょう。
新函館北斗駅もある北斗市は、唯一存続が望ましいとしている自治体です。
北斗市は新函館北斗駅を鉄道乗換駅として存続させたいという考えのように思います。
一方で七飯町、長万部町は廃止を検討しています。
七飯町長はバスの方が住民の利便性が高いという意見です。函館や新函館北斗駅からも距離は比較的近く、バスでも十分利便性は確保できます。
また長万部町長は存続しても利用者が少なく、黒字経営が難しいということ。長万部駅には新幹線駅もでき、自治体の負担で在来線を存続させるほどでは無いのでしょう。
函館・森・鹿部・八雲は判断できない、無回答としています。
ここで個人的に予想をしてみます。
最低限、旅客列車が残されると思うのが新函館北斗~函館。ここが残らなければ本州→函館、札幌→函館において、飛行機との競争に負けてしまいます。
ある程度であればJR北海道も存続のため補助をするかもしれません。
続いては大沼公園や森など、特急列車が停車しながらも新幹線が来ないエリア。森駅までは存続の可能性が高いという予想です。
その一方で森~長万部は貨物線としてのみ存続。北海道~本州の経済圏を支える目的が大きいため沿線自治体では無く、JR貨物や道、国などが維持すべきだと考えます。
沿線自治体は旅客輸送について、四年後めどに存続、廃止の結論を出すとしています。
北海道新幹線が与える影響の一つとして、これからも注視すべき問題です。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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