函館から札幌までは2つの鉄道ルートで結ばれています。
一つは特急北斗で結ばれる青いルート。室蘭本線を経由するこちらは海線と呼ばれます。
一方で、赤いルートは普通列車だけが走る山線です。
北海道新幹線の新函館北斗〜札幌は2030年に開通する予定です。距離としては海線と比較して短い、山線に並行して走ります。
並行在来線に指定された山線は、長万部〜小樽の廃止が決まりました。
特に余市町は余市〜小樽の存続に尽力していましたが、結局廃止が決定しています。
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おはようございます。こちらは北海道山越郡長万部町です。
小さな温泉街がある長万部、この日は長万部温泉ホテルさんに宿泊させていただきました。
海線と山線はここ長万部で分かれます。
温泉街と長万部駅をアクセスしやすくしている跨線橋ですが、北海道新幹線建設のため2022年3月で通行できなくなってしまいます。
二手に分かれる線路や内浦湾から明るくなる朝日も、ここから見られなくなるのです。
さて、今回は長万部駅より、山線途中下車の旅をしてみることにしました。
列車の本数は長万部から北に行くに連れて本数が増えていきます。蘭越までは本当に本数が少なく、1日4.5往復です。
6:03発の普通列車小樽行きに乗車。これを逃すと次は13:18発です。
特急北斗も走る海線から離れて左へ走っていきます。
上には先程歩いていた跨線橋を見ることができました。
この日は平日。朝の時間帯ですが、乗客は僕一人だけでした。
隣の駅は二股駅。車掌車を使用した待合室となっています。
0624 黒松内駅 着
ここからは高校生が6,7人ほど乗られてきました。
黒松内町には高校がありませんから、ここから外へ通学する方向となります。
この駅には、かつて山線を走った特急北海も停まっていました。
壁にはJR北海道の旅行会社・ツインクルプラザのロゴやキャラクターのモジャくんが残されていました。
黒松内町はブナが植生する北限として有名です。
かつては硬券入場券も販売する窓口がありましたが、2007年で閉鎖。今では除雪作業員さんの声が裏から聞こえるだけになっています。
駅舎は茶色のコンクリート造り。ブナの森を思わせるような色合いです。
黒松内町の鳥はクマゲラ。ブナを背景にクマゲラというのは、マンホールやカントリーサインに選ばれています。
倶知安方面の列車まで7時間あるので、ちょっと寄り道をすることにしました。
黒松内駅はかなり広い構内です。これは特急が停まっていたというだけでなく、寿都鉄道という私鉄も伸びていました。
これからニセコバスに乗車しまして、沿線自治体ではないものの寿都町に向かうことにします。
0729 黒松内駅前 発
バスには高校生が5,6人ほど乗っておられました。
0800 寿都ターミナル 着
寿都ターミナル前には寿都高校があります。この街にはまだ高校が残されているのですね。
歩道と車道の間には除雪によって、大量に雪が盛られていました。1.8m近くはあったように思います。
こちらは寿都町役場です。
寿都鉄道の終点、寿都駅はこの辺りにありました。
建物の前には木で作られた鳥居型の、駅名標モニュメントがあります。
寿都町はニシン漁で栄えた港町です。
海の近くにある『道の駅みなとま〜れ寿都』へやってきました。
案内看板には、かつての寿都駅の写真が飾られています。かなり広い構内で、古い客車が連なっていました。
道の駅の営業時間は9時〜18時で、割と利用しやすいです。
ホットサンドやにしんそば等の中、ハニーアイスサンド(300円)をいただきました。
こちらは寿都産はちみつを使用しています。堅いクッキーではなく、かなりホロホロと崩れる感じです。
2階からは港町を見られまして、とても素敵な光景が広がっていました。
1010 寿都ターミナル 発
それでは折り返し、ニセコバスに乗ります。
このバスは黒松内よりも先、長万部まで直通してくれます。
寿都町はトングのような形をしているのですが、もう片方の手には薄っすら雪の積もる山が伸びていました。
1045 黒松内温泉 着
こちらは『黒松内温泉ぶなの森』です。
流石にブナの森を歩くほどの時間はなかったので、ここで体を休めることにしました。
お風呂を上がってきまして、カシスサイダーをいただきます。黒松内町産のものを使っておりまして、甘酸っぱいベリーの風味がとても美味しかったです。
帰りはバスではなく歩いて黒松内駅まで、徒歩20分ほどになります。
雪が積もりすぎて時刻が分かりませんね(笑)
お昼ごはんにセイコーマートくろまつない店で、お馴染みのカルボナーラを買ってきました。
1347 黒松内 発
列車は黒松内駅で行き違いを行います。そのためしばらくの停車時間に、車内の鉄道ファンが駅の様子を撮影しに出てきました。
こちら蘭越駅は蘭越町の中心駅です。
蘭越町は鉄道存続のため、より活発な議論を起こそうとしていました。しかし、長万部・倶知安両町が早めの存廃決定を望んでいたこともあり、バス転換が決まったのでした。
1441 ニセコ 着
元々ニセコ町は狩太町で、ニセコ駅も狩太駅でした。
この駅はニセコの玄関口であるため、町はニセコ駅への変更を国鉄に働きかけました。
ところが、当時国鉄は駅名には所在地の地名をつけるという方針であり、駅名を変更することができなかったのです。
それならば根本の町名を変えてしまえば良いということで、1964年にニセコ町が誕生。
これを受けて1968年、この駅もニセコ駅へ改称されました。
外国人の方もこの駅を利用するようになりまして、跨線橋には手書きの看板が掲げられています。
この駅には窓口が設置されていて、補充券などが発券されます。
駅舎はオシャレなペンションのようなデザイン。茶房ヌプリも入っていますが、この日はおやすみでした。
駅前にはニセコ駅前温泉がありますが、流石にさっき入ってきたばかりなのでやめておきます。
その代わり、ニセコの素晴らしい山々を見に行きましょう。ニセコ駅から山へ登り、街の中心方向へ向かいます。
ニセコ駅の方向には、ニセコアンヌプリが見えているところです。
大きな黄色いニセコ大橋を渡っていきますと、ニセコアンヌプリは正面に見られました。
そして、そこから下を見下ろしてみると函館本線ニセコ駅、そして尻別川を渡っているのが分かります。
羊蹄山には雲がかかっていますが、富士山のように綺麗な形でそびえていました。
1712 ニセコ 発
夕焼けに照らされたDECMOで長万部方向に折り返します。
1723 昆布 着
不思議な駅名ですが、由来はよく分かっていません。
この駅があるのは蘭越町。街の中心は先程触れたとおり蘭越駅なのですが、今回はここで降りることにしました。
昆布駅のすぐ近くには蘭越町交流促進センター幽泉閣があります。弱アルカリ性の温泉が湧いており、ここで宿泊することもできます。
駅から幽泉閣へは囲い付きの跨線橋で結ばれています。
1743 昆布 発
蘭越町はちょっと来ただけになってしまったので、必ずまた来たいですね。
だんだん日が落ちていく中、ニセコアンヌプリ国際スキー場では明かりが滑走路を作ってくれていました。
比羅夫駅は泊まれる駅舎として有名です。国鉄時代の宿舎のようなもので、廃線までには絶対に行きたいですね。
1813 倶知安 着
倶知安駅は北海道新幹線建設による影響で、新ホームが作られました。1面2線で、駅舎側の1本は行き止まりです。
これは駅舎へ段差の無い通路が作られているためです。旧ホームとは交差しており、その様子を少しだけ伺えました。
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今日は倶知安で一旦終了にします。それではおやすみなさい。
おはようございます。朝10時になっていました。
この日はスマートホテル倶知安さんで過ごしていました。チェックアウト時間になってようやくの起床です。
倶知安駅は2階建ての平べったい構造となっており、北海道らしい国鉄駅舎を思わせます。
駅前には右から読む『んやちっく』の駅名標が立てられていました。
改札の先には、そのまま通路が続いていることが分かりますね。
1146 倶知安 発
倶知安駅始発の列車に乗り込みます。
長万部駅発倶知安行きの列車と接続を取っており、この列車から乗り換えてこられる方も多かったです。
倶知安行きは1両で小樽行きは2両、需要の違いが分かりますね。
1157 小沢 着
この駅からは積丹半島の付け根に向けて、岩内線が伸びていました。
駅舎との間に架けられた跨線橋は、2段階の階段です。
小沢駅があるのは共和町ですが、街の中心からはかなり外れています。
そのため函館本線の存続には積極的ではありませんでした。
乗り場案内には札幌や函館など遠くまでが書かれていて、長距離輸送を担っていた頃の名残を見せてくれます。
駅舎出口側に1番線ホームがあって、岩内線はここから発着していました。
小沢駅近くには函館本線の歴史を物語る名物が販売されています。
それは駅前の通りを歩いた先にある、『伯洋軒 末次商店』で販売されています。
それがこちら、トンネル餅。
ちゃんと掛け紙には小沢の名前が入っていて、駅弁さながらです。
1904年、函館本線の稲穂トンネルが開通しました。そのお祝いとして、小沢駅前でお店をやっていた和菓子職人・西村久太郎が売り出したのがトンネル餅の最初でした。
緑とピンクで薄く色づけられた、細長い「すあま」が8個入っています。
相当柔らかくて、しっかり刺さないと落ちてしまいます。福井県名物、羽二重餅のような甘さです。
駅からは倶知安峠の向こう、雪を被ったニセコの山を見られました。
1306 小沢 発
こちらはトンネル餅の由来にもなった、稲穂トンネルです。
100年以上前の明治期に鉄道がこの山を越えられるようになったなんて、ちょっと信じられませんね。
電気式気動車DECMOならではの音を立てまして、かなり登ってきました。
銀山駅はその頂上に位置する駅とも言えます。
ここで反対方向の列車と行き違いが行われました。
倶知安から続いていた山々を抜けまして、平野部になりました。左手には雪の積もる林檎畑が広がっています。
1341 仁木 着
仁木町は街の中心近くに駅が設置されているため、余市まで残るなら、ついでにここまで残していただければという立場でした。
この駅は1面1線の構造です。それでも十分立派な駅舎が残されています。
仁木町は様々な果物など果樹栽培が盛んな町です。
駅舎にも多くの果物の写真が飾られています。中でもサクランボやリンゴが有名です。
駅から徒歩10分ほど、仁木ファーム・フルーツファクトリーさんに来ました。
ショーウィンドウには様々な商品が並んでいて、アップルパイやフルーツタルトが人気です。
駅に戻ってきまして、キハ40のようなふかふかベンチに座ります。
ここでフルーツタルトを頂きました。クリームは甘さ控えめで、甘酸っぱい果物本来の味を楽しめます。
1457 仁木 発
1501 余市 着
倶知安方面からということもあって下車したのは僕一人でしたが、ここから乗られるお客さんは10人近くいました。
倶知安を除けば生活利用者がここまで乗られることはなかったので驚きです。
函館本線の存廃において、余市〜小樽は存続が現実的な区間でした。
この区間の輸送密度は2000以上であり、余市町はこれを根拠として鉄道での維持を目指していたのです。
しかし、小樽市がバス転換の立場を取ったことで、余市の鉄道維持は不可能となってしまいました。
駅舎はかなり大きなもので、北海道中央バス案内所も入っており、お土産を買うこともできます。
余市町といえばニッカウヰスキーの町です。NHK連続テレビ小説『マッサン』の舞台にもなりました。
駅から徒歩5分のところにはニッカウヰスキー余市蒸溜所もあります。
ただ、訪れた時は北海道にまん延防止重点措置が適用されていました。お酒関係ということもあって、閉鎖中だったのです。
ここは訪れる価値のある場所だと思いますから、必ずまた来て紹介したいと思います。
1604 余市 発
若い方含め、やはり10人ほどが乗車。小学生っぽい子が小樽へお使いに行っている様子で、とても微笑ましかったです。
どうにかしてこの鉄道を残してもらえないのか、っ強く感じました。
小樽〜余市は電化できないのかと言われたこともありましたが、この区間のトンネルは古く、小さいもの。
架線を入れるには土台を下げなければならないため、難しかったようです。
また、この区間はカーブが連続していきます。BRT化等も考えられましたが、これではスピードも出せないので、速達性を保てないのが難点ですね。
1628 小樽 着
北海道新幹線開通で廃止されるのは、長万部〜小樽まで。小樽〜札幌は引き続き鉄道が残されます。
小樽駅は上野駅をモデルにした駅舎です。
北海道新幹線は小樽駅でなく、少し離れたところに新小樽駅が設置されます。
せっかくなので小樽の町も歩いてみましょう。こちらは小樽運河、やはり人気の観光地で多くの観光客が訪れていました。
かつて北海道の港として銀行など重要な建物が集まっていた地。現在ではそのレトロさを観光に活かしています。
それでは最後に札幌へ向かいましょう。
今回は快速エアポートのuシートを利用することにしました。
uシート指定席は4月より、830円に値上げされます。それでも札幌〜新千歳空港ではかなり人気なので、そんなに客離れはしなさそうです。
ホーム上では暖かなランプが列車を出迎えていました。
余市で買ってきたニッカハイボールと、セイコーマートのおつまみをいただきます。
小樽のまちなかを出ると、左手にはすぐ横に海が広がっています。
ここまで近くまで波が寄せてくるなんて、全国的にも珍しいはずです。
ニッカウヰスキーを飲みながら、この景色を見る。山線の光景を思い返しながら札幌へ帰っていくのは最高ですね。
個人的には北海道新幹線の開通は並行在来線の問題を加味しても、良いことと感じています。
そもそも山線区間は新幹線の開業に関係なく、維持は難しかったでしょう。
確かに余市〜小樽の存続が叶わなかったのは非常に残念ですが、人口推移などを見るに将来的に鉄道として残すことは困難だったように思います。
山線が廃止になれば、途中の町を観光するハードルは高くなってしまいます。
今回山線に乗る鉄道ファンも多くいらっしゃいましたが、途中で降りる方はほとんど見られませんでした。
ぜひとも途中の町も実際に歩いていただけたらと思います。
そういう僕もまだまだ魅力を伝えきれていませんので、また第2弾もお届けできれば嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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