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【超ローカル新幹線】鉄道ホビートレインで行く絶景の予土線[史上最長片道切符の旅(25)]

2022年6月8日

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今回のルート

宇和島~窪川

 

宮崎のような南国風の駅前とは裏腹に、雪も降る極寒の宇和島駅です。

 

ここからはJR四国で一番奥地にあるローカル線、予土線に入ります。

 

乗車する普通列車窪川行きですが、今日は後ろ側1両に団体車両が連結されています。

 

チラシを見てみると、しまんと開運街道という日帰りツアーとのこと。

四万十川や四国霊場 37番札所岩本寺など、しまんとエリアの開運スポットを巡ります。

 

団体車両には2022年1月29日からこのツアーで運行を開始したラッピング列車、 「しまんと開運汽車 すまいるえきちゃん号」が使用されています。

 

列車はアーティストのSHETAさんが関わる、窪川ポップアートプロジェクトの一環としてデザイン。このプロジェクトでは四国霊場第37番札所岩本寺や窪川の商店街をアート作品で彩っています。

さて、僕たち一般の乗客が乗るのは、前に連結されているこちら。

0系新幹線をモデルにして改造された、鉄道ホビートレインです。

 

車内は紺色をベースにしており、ロングシートが基本です。

 

一部には四国の特急列車など模型が展示されています。

 

運転席側には2組だけ、0系新幹線で実際に使用された転換クロスシートが設置されていました。

 

簡易的なテーブルと引き出せなくなった灰皿もあり、歴史を感じさせるものです。

 

この列車はワンマンで運転されることもあるため、運賃表も設置されています。

東海道新幹線開業当初の駅についても、運賃表に書かれていました。

 

四国新幹線とジョークで言われるこの列車。その正体は気動車のキハ32形です。ここには給油口までついていました。

 

宇和島駅では給油の装置までホームから見ることができます。なかなか見られない部分だと思い、かなり珍しいでしょう。

 

ツアーの社員さんが、えひめれっちゃくんを棲みつかせていました。

参加するわけではないものの、ほっこりと楽しませてもらえます。

1218 宇和島駅 発

団体ツアー客に向けてですが、ホームではお見送りしてくださいました。

この日は団体車両が連結されているため、ワンマンではなく車掌さんが乗務。

JR四国の特急列車で使用されている車内チャイムが流れ、四国に新幹線が来ていたらこんな感じという疑似体験ができます。

 

正面には宇和島車両区が見えまして、ここには四国で唯一の扇形庫が残されています。

現在ではイベントでしか使用されておらず、有志の団体が保存を検討しているところです。

 

予讃線と予土線の乗換駅は、お隣の北宇和島駅。ここから史上最長片道切符のルートに復帰します。

 

予讃線から離れまして、予土線は右へカーブしていきました。



こちらはきっぷ鉄の聖地とも言われる近永駅です。

ここでは常備券や補充券が販売されており、NHK松山放送局の記者さんが詳しく紹介したこともあります。

 

近永駅では、海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』と行き違いました。2022年5月頃までの1年足らず運行したラッピング列車です。

 

葛川沈下橋が見えますと、立派な道路橋の向こうが高知県との県境です。

 

予土線といえば四万十川沿いを行くことで有名ですが、まだこちらは四万十川と繋がる広見川です。



四万十市の中心である江川崎駅に到着しました。

地元の方々が団体ツアーのお客さんをお出迎えしてくださいます。

 

ここ高知県四万十市西土佐江川崎では2013年8月12日、最高気温41.0℃を記録しました。これは当時日本一高い気温であり、5年間この記録は破られませんでした。

 

2018年7月23日に埼玉県熊谷市で41.1℃を記録。 これによって西日本一暑い駅となっています。



ツアーの方々は江川崎駅で下車されました。

ここからは日本最後の清流、四万十川沿いを走ります。宇和島の雪が嘘のように良いお天気で、川も濁っていない美しい緑色です。

 

四万十川が日本最後の清流と言われるのは、本流にダムが無いから。川岸にも人工物が少なく、自然そのままの姿を見られます。

 

そして、四万十川といえばたくさん架けられている沈下橋です。

欄干が無い構造により、増水時に流木が引っかかったり土砂で橋が壊れるのを防ぐことができます。



何とも不思議な珍駅名、半家はげ駅に到着しました。

駅名の由来は、この地に住み着いた平家の落武者が源氏からの追討を逃れるため、「平」の横線を移動させて「半」にして偽ったからと言われています。

 

予土線の最高速度は85km/h。

トンネルなど直線的な区間ではしっかりスピードを出してくれます。

 

トンネルに挟まれた四万十川の渓谷には鉄橋が架けられ、素晴らしい自然を楽しめました。



列車は土佐昭和駅へ。

次は土佐大正駅と続きますが、どちらも天皇即位にちなんで名づけられた旧村名が、駅名として残っているのです。

 

蛇行しまくっている四万十川ですが、鉄路は構わず一直線に結ばれます。

予土線の江川崎〜若井が繋がって全通したのは、1974年とかなり最近。技術も発展したことで、山をトンネルで貫くことも多いです。



土佐大正駅にて、観光列車しまんトロッコと行き違いました。

「清流しまんと号」は国鉄・JRグループ初のトロッコ列車として、1984年より運行を開始。水戸岡鋭治さんによるデザインで「しまんトロッコ」として2013年に生まれ変わりました。

 

時刻表を見てみると、列車は1日4往復だけ。いかにここが過疎路線であるかが分かります。

 

真反対の季節を貼り付けたかのように、鮮やかな青色を見せる四万十川。

予土線の旅も終盤に近づきまして、この光景を目に焼き付けておきます。

 

家地川駅の手前で見えてきたのは、四万十川本流で唯一ダムらしい構造物、佐賀取水堰です。

一見ダムに見えるのですが、ダムの定義は「河川水を貯留する高さ15m以上の構造物」。一方で佐賀取水堰は高さ8mなので、「堰」として捉えられています。

 

第一家地川トンネルを抜けますと、左から土佐くろしお鉄道中村線が近づいてきました。

 

すぐ先にある川奥信号場で、予土線の線路が土佐くろしお鉄道中村線と合流します。

 

土佐くろしお鉄道とJR予土線の会社境界駅は、ここ若井駅です。どう見ても普通の途中駅で、とても境界駅や乗換駅に見えません。

 

若井〜窪川の一区間だけは、JR予土線ではなく、土佐くろしお鉄道中村線です。

そのためJR四国の鉄路は四国を一周しておらず、ここだけわずかに途切れています。



1423 窪川駅 着

しかし、予土線の列車はすべて窪川駅まで来ますので、実質的にJRで四国一周できるようなものです。

 

予土線では個性的な列車がたくさん走っています。

その中でも鉄道ホビートレインは非常に惹かれ、よくこれを考えたなと感心させられるものです。

 

四万十川沿いを駆け抜ける予土線の旅は本当に素晴らしいもの。かなり奥地ではありますが、ぜひJRでお越しになってください!

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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