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世界初の乗り物が徳島・高知に!阿佐海岸鉄道のDMV試運転を見てきた。[四国沖縄(2)]
こちらは徳島県南部、阿波海南駅です。 徳島駅から海岸沿いに南へ伸びる牟岐線。この駅はその終着駅であり、第三セクター阿佐海岸鉄道の始点にもなっています。 しかし牟岐線と阿佐海 ...
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阿佐海岸鉄道は徳島県と高知県の県境に位置する第三セクター鉄道です。
阿波海南駅から甲浦駅までの阿佐東線を運営しており、日本一乗客の少ない鉄道会社とも言われています。
そんな阿佐海岸鉄道ですが、今日からDMV(デュアル・モード・ビークル)が走り始めるということで注目を集めています。
DMVとは道路と線路どちらも走ることが車両で、線路の上を走るバスのような乗り物です。
このDMVは世界で初めての実用化。今回は運行ルートの詳細や、これによる影響について見ていきたいと思います。
国内のDMV開発は、2004年からJR北海道で始まりました。日産シビリアンを改造した試験車両による運転が道内で行われます。
(JR北海道 デュアル・モード・ビークル(苗穂工場一般公開時に撮影),欅,CC BY-SA 3.0
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Dual_Mode_Vehicle.jpg#mw-jump-to-license より)
しかし、札沼線での試験運転中に雪に乗り上げて脱線。車体の軽さが原因とされ、その後は積雪の少ない地域に限定された試験運転となりました。
その後、JR北海道で鉄道事故が多発し、安全対策や北海道新幹線へ資金が費やされたことで、DMVの導入は断念しています。
その後、岳南電車や明智鉄道など様々な鉄道会社が導入を検討していましたが、それを実用化するのに至ったのが阿佐海岸鉄道です。
DMV93型気動車と呼ばれる車両は、トヨタ・コースターをベースとしたマイクロバス。日野エンジニアリングアネックスが車軸の交換や車台の強化を行いました。
青:未来への波乗り 緑:すだちの風 赤:阿佐海岸維新
の3台が導入されています。
運転席のスイッチ一つで、鉄道へ変身。
ボンネット部分に線路走行用の車輪があり、下へ降ろされる形で出てきます。
後輪はゴムタイヤの後輪よりやや浮き気味で、線路上であってもゴムタイヤの後輪が駆動輪として、線路に力を伝えて走ります。これは保線用に使用されている鉄道会社の事業用車両と同じです。
道路から線路へ入るのに必要なのが、モードインターチェンジです。
ここで鉄道の車輪を降ろして、線路上を走ることができます。
これに伴い、それまでJR牟岐線だった阿波海南〜海部が、阿佐海岸鉄道に経営移管されました。
それまで境界駅だった海部駅は高架駅で、道路へ降りるのが難しかったためです。
終点の甲浦駅も同じく高架駅で、ご覧のように大規模なスロープが必要となっています。
一方で海部駅はすぐ近くにトンネルがある上、民家がすぐ近くにあるためスロープの建設が困難でした。
そのため、阿佐海岸鉄道は阿波海南〜海部の一区間を受け継ぎました。JR四国としても牟岐線末端の僅かな区間であることから、抵抗はほとんど無かったと思われます。
ただしJR牟岐線の線路はここで途切れ、阿佐海岸鉄道への直通は物理的に不可能になりました。
DMVは独自開発の保安システムを採用したため、JRと一体の運行はされないこととなったのです。
続きまして、予想されるバスの走行ルートを見てみます。
バスの起点は阿波海南文化村、博物館や工芸体験、食事ができる施設が集まっています。
また、その近くには町立海南病院があり、一定の住民利用も見込まれるでしょう。
阿波海南駅からはモードインターチェンジを通って線路を走ります。
海部駅から高架線を走っていった先、宍喰駅は車庫が置かれた有人駅となっています。
そして終点の甲浦駅に到着。DMVは高架線上のモードインターチェンジを通ったのち、スロープを降りて道路を走っていきます。
甲浦から先のバス路線には、2つのルートがあります。
ほとんどの便がこちら。線路で来た道を戻るようにして、道の駅 東洋町、道の駅 宍喰温泉へ向かいます。
一方で最も注目されるのが、土日祝に1往復だけ運行される室戸方面へのルートです。
甲浦から海沿いを走り続け、室戸市内の観光施設に停車していきます。
以上各停留所を見てきましたが、全て観光地に設置されていることが分かります。唯一地域住民の利用が増加し得るのは、阿波海南文化村近くにある町立海南病院でしょう。
阿佐東線は、生活利用者が非常に少ない鉄道路線でした。2019年度の定期利用客は1440人で、1日あたり4人未満です。
DMVの定員は18名と非常に少なく、運転開始日以降も事前の予約受付あり。
これは生活利用者が非常に少ないからこそできたことで、DMV導入を機に、観光客の利用者を増加させる方向に振り切ったと言えます。
DMVの導入は、阿佐海岸鉄道の経営改善というよりも、この地域全体の価値を高めることに寄与すると思われます。
旅行客としては乗りに行くだけでなく、施設を訪れたり、道の駅で買い物をしたりという観光も含めていきたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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