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高架化して6年で廃止! 三河海線の廃線跡『寺津高架橋』が悲しすぎる
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名鉄は愛知・岐阜に鉄道網を張り巡らせる、中部地方を代表する大手私鉄です。
そんな大手私鉄でも赤字路線は多くあり、その中でも突出している路線があります。
それは西尾・蒲郡線(西尾~吉良吉田~蒲郡)です。
2018年度の西尾・蒲郡線の経常損益は7億3500万円の赤字(中日新聞)。
これは現在最も廃線が近いとも言えるJR北海道の根室本線(富良野~新得)の営業赤字額(収支)7億3400万円(2018年度,日経新聞)に匹敵します。
※輸送方法、本数、気象条件などに違いがありますから、単純に比較はせず、参考までにしてください
今回はそんな状況に立たされている西尾・蒲郡線の中でも特に末端の方、蒲郡線をご紹介します。
西尾線と蒲郡線の境となる吉良吉田駅には改札口が2つあり、右奥が改札外へ、左側が蒲郡線ホームへ向かう中間改札です。
蒲郡線はICカードの利用が不可能で、中間改札の設置によってお客さんをふるいにかけているのです。
それでは蒲郡行きのこちらの列車に乗り込みましょう。
吉良吉田駅を出発。
線路は西尾線から繋がってはいますが、直通運転は行われていません。
田んぼの中をローカル線が走っていきます。
全くお客さんがいないことはありませんが、確かに乗客は少ないようです。
蒲郡線はワンマン運転を行っており、改札のある吉良吉田駅、蒲郡駅以外は先頭車両へ行くこととなります。
最初の駅、三河鳥羽駅で列車の交換。
吉良吉田の次の駅ですが3.2kmもの距離があって、交換設備が残されています。
次に停車するのは西幡豆駅。
名鉄では駅集中管理システムの導入と共に多くの無人駅が簡易駅舎になっていますが、蒲郡線ではたくさんの木造駅舎が残されています。
列車はところどころ山の麓を走ります。
次に停車するのは東幡豆駅です。
かつては猿ヶ島やうさぎ島への連絡船があって、名鉄も蒲郡線沿線の観光拠点として力を入れていました。
列車は三河湾の近くを走るようになります。
名鉄で海を見られる区間というのは空港線と知多新線の一部とここ、蒲郡線ぐらい。
中でも蒲郡線はかなり長い間海の景色を眺められます。
2005年までは名古屋本線から直通するパノラマシリーズの特急列車も走っており、その景色も眺めてみたかったです。
こどもの国駅は名鉄で最も利用客の少ない駅で、1日の利用客は100人を下回っています。
そんな蒲郡線には観光資源もあり、西浦温泉は東三河で有名な温泉地。
日本人にはあまりなじみがありませんが、中国人観光客に人気の場所でした。
西浦駅でもまた交換のために数分間停車します。
廃線が検討されているとはいえ30分に1本という本数を維持しているので、交換がそれなりに行われているのです。
最初にもお話した通り、西尾・蒲郡線の経常損益は年間7.35億円の赤字。
そこで路線が走る自治体の西尾市が年1.5億円、蒲郡市が年1億円支援金を出すことでこれまで存続してきています。
また、2020年には名鉄との協議会で2026年3月まで存続することが決定、高校生の方々も安心して利用し続けることができます。
実際に朝夕は高校生の生徒さんが多くいらっしゃるんですよね。
蒲郡競艇場前駅に到着。
1973年までは日本で一番長い駅名の駅でした。
1988年にはJR東海道本線の三河塩津駅が開業。競艇場へ行くお客さんもJRに取られているのが現状です。
列車はJRと並走しながら、2000年に高架化された区間に入ります。
これで廃止されたらもったいないですが、名鉄には6年で廃止された高架橋もあるので、そんなにと思ってしまいます。
ここで列車は蒲郡線内で一番のスピードを出して走ります。
モーター音を唸らせながら高架橋を走っていくのはローカル線とは思えません。
終点の蒲郡駅に到着しました。
左側には非常に立派な2面4線のJRホーム。
名古屋など長距離のお客さんはあちら側に取られてしまっています。
蒲郡駅には自動改札なんてものはなく、有人改札。それでも駅員さんがいるだけ立派です。
ICカードも利用できないのであらかじめ自動券売機で切符を購入することになります。
この自動券売機も廃止検討駅でしか見ないタイプのものです。
その横には各駅までの所要時間が示されています。
名古屋駅まではJRの方が早いと自己申告しちゃっているのも哀しいポイントです。
蒲郡線は30分に1本とかなり本数があり、乗車するのは簡単。
廃止を延ばすために乗るだけでなく、今度は沿線の観光なんてのもしてみたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。