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北海道の鉄道の玄関口として機能してきた函館駅に来ています。
ここ、函館から伸びる函館本線は旭川まで至り、その長さは423.1kmです。
そんな函館本線には不思議な形をした区間があります。
それがこちら、函館〜森周辺にある、8の字の線路です。
線路が分かれて走っていますが、これらはすべて函館本線。途中で違うルートを走る路線は全国にいくつかありますが、8の字になっているのはここだけです。
メインルートは函館から新函館北斗を経由して真っ直ぐ行く路線。
一方で、七飯から大沼まで途中駅のない藤城線、大沼から森まで駒ケ岳の東側を大回りする砂原線も敷かれています。
新幹線が開業する以前、かつての渡島大野駅に特急が停車する必要がなかった頃は、札幌方面へ向かう特急列車は藤城線を通っていました。
このような線路が作られたのは鉄道の大敵である勾配を緩和するためです。
特に七飯→仁山では20‰の区間があり、藤城線(七飯→大沼)はそれを9.5‰に軽減しています。
また、森→大沼も20‰の勾配で、砂原線の大沼→森は駒ケ岳を大回りすることで6‰になりました。
※矢印の方向は登り(列車が大変な方)
しかし新函館北斗が新幹線の乗換駅となった今、この駅には大きな需要が生まれています。
そのため特急列車全てを含むほとんどの列車が、本線を経由しているのです。
そんな中、1日3本だけ新函館北斗を通らない藤城線を経由する普通列車が運行されています。
その中の1つが函館駅5:49発、普通列車森行きです。
この列車は七飯駅から藤城線を走り大沼駅へ。さらにその先、本線ではなく砂原線へと入ります。
ホームでは新函館北斗へ行かないことを繰り返し放送していました。
乗っているのは旅行者ばかり。わざわざ藤城線に乗りに来ているのだろうと丸分かりです。
サボの表示は森↔函館、矢印の下には『砂原経由』と書かれていました。
それではキハ40に乗って、普通とは違った函館本線の旅の始まりです。
列車は各駅に停車していきます。七飯駅までは何ら変わりありません。
最初の分岐点、七飯駅を出発しました。ポイントを真っ直ぐ進むと藤城線に入ります。
その後段々カーブしながら高架へ登っていき、本線とクロスして東方向へ進みました。
山へ向かって列車は走り続け、真っ暗で何も無い場所へ行き着いてしまいました。
藤城線には途中駅が無いため、周りに光が見られないのは当然の所。しかし遠くには街の明かりが点々と集まっています。
そこに見えるのは函館新幹線総合車両所や、光り輝く新函館北斗駅周辺の景色。右側の青い光は恐らく東横インのサインです。
今では大きな駅となった新幹線の駅をこのように列車から見下ろせるのは非常に面白い体験でした。
トンネルを抜け、本線と並行していきます。
左手に現れたのは本線でも見られる小沼の景色。奥には駒ケ岳がそびえ立ちます。
本線は藤城線の右側にあるため、こちらは小沼の真横を走ることができます。
大沼駅に到着しました。
メインルートから藤城線と砂原線が別れていく駅です。
駅名標には砂原周りの池田園駅と、本線の大沼公園駅が書かれています。
一方で函館方の隣の駅は仁山駅だけで、藤城線経由の七飯駅は書かれていませんでした。
大沼駅の乗換案内では鹿部方面とされています。
砂原線というのはマイナーな呼び方で、どちらも函館本線ですから、このような表示になるのですね。
ここ大沼駅では長万部方面からの普通列車と行き違いました。
あちらの列車は砂原線を走り、この後は新函館北斗を経由して函館駅へ向かいます。
大沼駅では14分ほどの停車。
こちらもいよいよ砂原線へ入っていきましょう。
函館本線の大沼〜森は駒ケ岳をぐるっと一周するような形です。
そのためメインルートとは違った駒ケ岳の様子を見られます。
銚子口駅で反対列車と行き違い。
この辺りでは数人程度、高校生の乗車が見られました。
とは言っても朝時間帯に生徒さんが乗られるのは函館方面の方が多いと思うので、少ないのは仕方ありません。
メインルートの方は田んぼの平地を駆けていくイメージですが、砂原線は山の中をずっと走るようです。
砂原周りで一番中心的な駅の鹿部駅に到着。
間歇泉公園など観光地もある、内浦湾沿いの町です。
登別温泉の鬼が指差す『鹿部はこっちだ!』でも有名になりました。
駅舎もかなり大きく立派な木造駅舎です。
左手に見える駒ケ岳、朝日が真っ赤に照らしていてとても鮮やかでした。
先ほどとは表情も変わってきています。
大島沼尻駅は味のある小さな木造駅舎で、降りてみたくなる駅のひとつです。
駅周辺には数軒の家々がありますが、山中の秘境駅にもなっています。
ずっと海岸近くを走っていたものの、木々が繁茂しているので見えなかった海。わずかに森林の途切れた所で内浦湾が見えました。
砂原周りと呼ばれる所以である、渡島砂原駅を出ます。
駒ケ岳も手前の木に邪魔されなくなってきて、どれだけ大きな山であるか実感できる所。
逆光になったということはそれだけ線路がぐるりと回ってきたということです。
途中では貨物列車とも行き違い。途中駅で取り扱う必要の無い貨物列車は五稜郭方面の場合、勾配の緩やかな砂原線を通ります。
東森駅周辺では左手からメインルートも見えてきました。
森駅に到着しました。
ここから函館へ戻りますが、駅で程よい待ち時間ができました。
ここ、森駅にはかつてキヨスクやピザ屋さんもあったのですが閉店。今では函館バスの営業所が入っています。
せっかく森に来たのだから駅弁のいかめしを買おうと思ったのですが、柴田商店さんの営業時間が9時からとのことで買えず。
仕方がないので近くのセブンイレブンへ入ってみると…。
予想外にも売っていました。袋にポットのお湯を入れて温めます。
森駅は非常に海が近く、この先特急列車で札幌へ向かう際ずっと内浦湾を眺められます。
それでは特急北斗に乗って函館駅へ戻りましょう。
今度はさっきとは違ってメインルートです。
車内で温まったいかめしをいただきます。
醤油の染みたイカは噛み切りやすく、お米がモチモチしていてとても美味しかったです。
途中では反対方向からの貨物列車とすれ違い。
札幌方面の場合はメインルートの方が勾配が緩やかですから、こちらを走っていきます。
左手には駒ケ岳が見えていて、メインルートのほうが障害物がないので綺麗かもしれません。
砂原線では見えなかった大沼が近づくと、大沼公園駅に停車します。
主要な観光名所であり、多くの特急列車が停まる駅です。
隣の大沼駅までの距離は1kmでかなり短くなっています。
しかし路線の分岐駅と観光名所の駅、どちらも重要な駅です。
大沼駅を出るとすぐ、右手には小沼。藤城線を挟んで先よりも少し遠くなっています。
大沼と小沼は元々同じ湖だったのですが、函館本線の線路によって分断されたそうです。
新幹線との乗換駅、新函館北斗駅に到着しました。
駅を見下ろした藤城線は向こうの山を走っています。
高架橋の藤城線が段々接近してきて、メインルートに合流。
あまり注目されない線路ですが、かなりダイナミックな光景です。
函館〜札幌の列車をスムーズに運行させるために作られたこれらの線路。
技術が向上したことで特急列車は困難な道のりも走り抜けることができていますが、現在も機関車の走行を助け、地域輸送を担っています。
札幌までの新幹線が開業し第三セクターへ移行した後、8の字路線がこの役割を担い続けてくれるのか…。
線路を使用することになるJR貨物との兼ね合い等様々な関門はありますが、残ってもらえたら嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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