特急しらさぎ号は名古屋・米原〜敦賀を結ぶ、北陸新幹線にバトンを渡す特急列車です。
ここで主に使われてきた車両が681系電車。登場から30年経ち、素人目にも分かるほど老朽化してきました。
そこでより新しい車両へ置き換えようと目をつけられたのが、特急サンダーバードで活躍する683系です。
北陸新幹線敦賀延伸により、特急サンダーバード号は大阪〜敦賀へ運行区間を短縮。短い距離で往復するようになったので、必要な車両数が少なくなりました。
そこで余った車両を、特急しらさぎ号へ回すことになったのです。
特急しらさぎ号と分かりやすくするために塗装を変更。青い帯の下にオレンジの帯を配色しています。
2024年12月2日から、一部の特急しらさぎ号で旅客営業を開始しました。
ほとんどサンダーバードと変わらない車両で、名古屋まで行ってみます。
北陸特急の終着駅である、敦賀駅に来ました。
久しぶりに敦賀駅へ来ましたが、在来線駅舎内の工事も落ち着いていました。
みどりの窓口は改札内と新幹線駅舎側のみ。こちらには、みどりの券売機プラスが設けられています。
改札を通って長いコンコースを歩き、特急専用ホームへ。
今回乗車する特急しらさぎ号に乗る場合は、オレンジ色のラインに従います。
それに導かれて34番線ホームへ降りてみると…
いらっしゃいました!
青ラインの下にオレンジラインの引かれた、しらさぎ新塗装の683系です。
窓枠部分の帯は真っ黒に塗られ、その下に青色のライン。
サンダーバード時代はそれだけでしたが、特急しらさぎ号のイメージカラーである、オレンジのラインが追加されました。従来よりもオレンジの赤みが強く感じます。
行先表示器は、「名古屋」を示しています。
これまでも683系は一部の特急しらさぎの運用に就いたことはありますが、新塗装は黒光が非常に強く、まさに新時代が来たというのがよく分かります。
オレンジのラインは車両側面だけでなく、先頭部分にも施されました。
貫通型ではライトの下部分に引かれています。
今回は基本編成の6両で運転ですが、多客期には3両連結して9両での運転。いつかオレンジラインのある6両と、それが無い3両の連結を見られるでしょう。
しらさぎ新塗装を施されたのは、683系W36編成と呼ばれる車両です。
Xなどで編成の番号を検索すれば、目撃情報から狙って乗れる場合もあると思います。
乗務員室横のロゴマークに施されたタグ的なのも、青ではなくオレンジ色になっていました。
かつて中間車両の一部分に「サンダーバード」のロゴがあったのですが、黒く塗りつぶされています。
ちょうどお隣に停車中のサンダーバードには、鳥が描かれているのが分かるかと思います。
塗装変更は特急サンダーバードと特急しらさぎの誤乗車を防ぐためなので、塗りつぶしは当然のこと。
一方で、残念ながら特急しらさぎのロゴは入りませんでした。
富山方の1号車はグリーン車です。塗装が変わっただけなので、車内の座席はサンダーバードと同じになっています。
こちらは非貫通型で、流線型の顔。
楕円型のライトが配置されており、下側の尾灯が点灯しています。
こちらも僅かながら、オレンジの塗装が施されています。
フレンチネイルみたいなデザインです。
今回は車両の塗装が変わっただけ、車内はサンダーバードと同じもので統一されています。
特急しらさぎ号よりも、居住性が高まっているでしょう。
車内へ入りますと、完全に特急サンダーバードと全く同じ座席です。
特急しらさぎ号では赤色や灰色のモケットが使われていたので、青色とは中々縁がありませんでした。
背面テーブルも大きくなって、使いやすいものに。
飲み物を置く凹みは1つだけのタイプでした。
肘掛けの小さいテーブルも、割と安定感があります。
運用に就き始めた編成だからなのか、敦賀駅乗り換え案内のシートが無くなっていました。
コンセントは車端部の座席にのみで、窓側含め通常の座席にはありません。
それでも、特急しらさぎ号でコンセントにありつける時代が、ようやくやって来ました。
唯一サンダーバードらしさが残っていたのは、デッキに貼られている車内案内のシール。
「←金沢」「大阪→」のほか、「女性専用席」までそのままです。
ちょうどお隣から、特急サンダーバードが出発。
同じ車両の色違いを、一緒に見ることができました。
9:11 敦賀駅 発
こちら特急しらさぎ号も、続くようにして出発。
車内チャイムは「サンダーチャイム」ではなく、「北陸ロマン」でした。自動放送はまだ搭載していないのか、車掌さんによる肉声放送です。
サンダーバードは近江塩津駅から湖西線に入りますが、特急しらさぎは引き続き北陸本線を南下。
一部特急しらさぎ号が停車する、長浜駅を通過します。
まもなく米原駅に到着です。
敦賀〜米原に関しては、特急サンダーバード号の米原迂回運転が行われる際、そこそこ走ったことがありました。
しかし、米原駅から先のJR東海区間は、今回が初めてのはず。
名古屋までサンダーバード号として活躍してきた、683系が走ります。
米原駅で進行方向が変わるので、座席を回転させます。
この座席を回転させる日が来るとは…。
今度は非貫通型の方に、前照灯が灯されました。
米原駅 発
6分ほど停車したのち出発。
ほとんどの方が米原駅で東海道新幹線へ乗り換えるため、ここから先はだいぶ空きます。
JR東海エリアでは車内チャイム無しで、引き続き車掌さんによる肉声放送が行われていました。
JR東海エリアに入りまして、オレンジの駅名標を通過。
左手には伊吹山が見えてきて、その手前に東海道新幹線が通っています。
東海道本線の中でも、かなり上位に食い込む景色の良い場所です。
JR東海の近郊型車両、313系とすれ違い。
関ヶ原駅を通過すると、垂井駅を通らない新垂井線が分かれていきました。
特急しらさぎ号も敦賀方面であれば、新垂井線を通ります。
大垣駅に到着、奥には新型通勤電車の315系が停まっていました。
岐阜駅を出発して、最高速度120km/hに近い速度で走ります。
サンダーバードの最高速度は130km/hなので、全力よりやや抑えめくらいです。
名鉄名古屋本線との併走区間では、赤い電車を追い抜き。
サンダーバードと同じ車内から、名古屋の大手私鉄を見られるようになりました。
尾張一宮駅を出発しまして、次は終点の名古屋駅。この時も車内チャイムはありませんでした。
東海道新幹線、貨物列車と並走しながらホームへ。
奥には特急ひだ号、HC85系がいました。
大阪駅ではサンダーバード、名古屋駅ではしらさぎ、それぞれ違った姿の683系とHC85を一緒に見られます。
10:49 名古屋駅 着
パッと見ではこれまでと同じ側面ですが、明らかに塗装が綺麗な車両で目を引きます。
先頭まで見に行ってみれば、その違いは明らか。
特急しらさぎ号の新しい顔になります。
特急しらさぎ号は名古屋駅到着後、熱田駅近くの留置線へ回送されます。
ホームからもその姿を、簡単に見られました。
315系と並んでいるだけでなく、奥には名鉄線。
かなりの高頻度で通過してくれるので、非常に面白いポイントです。
名古屋本線と河和・空港線方面の複々線区間なので、特急の並走も一緒に見られました。
やっぱりこの新塗装は、近くで見てこそ。これまでとは色の輝きが明らかに違います。
しばらくすると名古屋方面へ出発、折り返し敦賀行きになります。
683系と言ったら、優しくもちょっと鋭い目つきをした、流線型の顔。
これから徐々に本数を増やして、特急しらさぎ号でもお馴染みの車両になるのでしょう。
北陸新幹線敦賀延伸後、そこまで重要視されていないように見られる、名古屋〜北陸の特急しらさぎ号。
より快適性の高い683系が、より本数を増やして入ってくれることを期待したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。