四国随一の都市である、愛媛県松山市。JRの中心駅である松山駅は、寂しい県庁所在地駅として認識されることが多かったです。
そんな時代ももう終わり。2024年9月29日、松山駅は高架駅として新たに生まれ変わります!
真新しい新駅舎には、県産木材をふんだんに使用。愛媛県の魅力がギュッと詰まった、商業施設もオープンします。
さらに、特急いしづち号と特急宇和海号の対面乗り換えも開始。宇和島方面への利便性も向上します。
遂に開業まで1ヶ月に迫った、新しい松山駅。その現状をお届けします。
まずは松山駅周辺をぐるっと回り、新しい高架線を見てみる事に。
松山駅から北へ少々歩き、こちらが最初の踏切です。
看板で事故多発の注意喚起がなされていました。
今回の連続立体交差事業により、8箇所の踏切が廃止。こうした事故や渋滞改善が図られます。
踏切を渡る途中では、地上駅の松山駅を見届けることもできました。
稼働している踏切と高架橋を一緒に見られるのは、切替工事の最中だからこそです。
この高架に沿った道路へ接続するよう、新たな道路を敷設する工事の最中でした。
現在でも、JR予讃線の本線沿いに留置線があるようで、特急宇和海の車両が唸っていました。
ちょうど特急しおかぜ・いしづち号の8600系電車が、その真横を軽やかに素通りしていきます。
そのまま北へ歩き続けると、高架下に設備が現れました。
柵で囲われており、高架上へとパイプが繋がっています。
こちらは地下タンク貯蔵所。おそらくディーゼル車の給油を行うためのものです。
JR予讃線は単線で、このまま北上するのは一番左の1本のみ。
右側の2本はここで途切れており、留置線と思われます。この留置線に止めたディーゼル車に、地下タンクから燃料を汲み上げて給油するのでしょう。
架線柱には既に架線が張られており、かなり準備が進んでいるようです。
ここから先の本線についても、架線の準備が整えられていました。
かつて松山駅の駅舎裏側には、松山運転所が置かれていました。
連続立体交差事業に伴う松山駅高架化に合わせて、松山運転所は移転。その近くには南伊予駅が開業しています。
現在では更地になった、松山運転所の跡地。
これまで松山駅によって分断されていた東西ですが、西側の再開発が進められています。
現在は西側への出口や連絡通路はありませんが、高架駅になるとこちらへ直接出られるようになります。
高架下の商業施設へ直接入れる、線路に対して垂直向きの出入口も設けられていました。
改札口正面には、セブンイレブンが入居。橙緑赤の3色ラインが既に見えています。
駅名板に関しても、すでに掲げられていました。
ダークグレーを基調にした壁面に合わせて、白文字の見やすい配色です。
また、JR四国ツアーの事務所もありました。
他にもお酒やお寿司が提供されるという、「SUGIDAMA」というお店も姿を現しています。
高架下の商業施設は「だんだん市場」と名付けられ、愛媛初出店の店舗も沢山あるそう。
駅舎デザインは、長崎駅に似ているような気がします。
ガラス張りのホーム部分の下は、ダークグレーの壁面とサッシで整えられていました。
まだ松山駅運転所の名残は残っており、こちらはおそらく架線柱を支えていた土台。
これから広場なども整備されていくのでしょう。
松山駅を挟んで南側、サクラメント通りと呼ばれる県道18号に来ました。
JR予讃線と交差していますが、道路側をアンダーパスにすることで、すでに立体交差できています。
しかし、今回線路側が高架化されるため、このアンダーパスを埋めて道路を平面にするとのことです。
松山駅高架化に伴い、将来的には路面電車のルートも変わります。
現在、松山駅からJR松山駅前停留所までは、横断歩道を渡るか地下通路を通らなければなりません。
そこで路面電車の線路を駅前広場まで少し膨らませ、松山駅からのアクセスをしやすくします。
また、将来的には松山駅高架下を通して西側へ延伸予定。構想としては松山空港まで繋げたい考えです。
当初は富山駅のように、高架下に停留所を設けることも考えられていました。
しかし、歩行者と路面電車の導線における安全性や、JR松山駅前停留所でスイッチバックが必要など、運行上の問題から実現には至っていません。
それでもJRの改札から平面で乗り換えられるのは、かなり利便性が向上します。
それでは改札内へ入りまして、新駅舎を近くで見てみましょう。
現在の松山駅は有人改札ですが、新駅舎には自動改札が設置されます。
また、「しこくスマートえきちゃん」のQRコード読み取り機も設置されるとのこと。
地上駅の構造は、駅舎に面するホーム1面と、跨線橋を渡った先の1面2線。
普通列車が停まっている手前の1番線ホームからは、基本的に特急列車が発着します。
跨線橋からは地上駅を見下ろしつつ、完成した新駅舎を一緒に見ることも可能です。
この跨線橋からは、新駅舎の様子を細かいところまで見られます。
こちらはホームの柱に設置された、簡易駅名標。
予讃線系統と内子線系統の駅ナンバリングも貼ってあります。
JR四国の駅名標は、白地に黒文字がスタンダード。
一方で松山駅新駅舎においては、黒字に白文字が採用されています。
ホームからコンコースへ降りる階段の周りは、ガラスで囲われています。
ビニールで包まれていますが、発車標も設置されていました。おそらく現在と同じ、フルカラーLEDでしょう。
新駅舎と旧駅舎は、線路に沿ってピッタリくっつく形です。
もはや新駅舎が完成しきっているので、高架ホームへ乗り換えできると勘違いしちゃいそう。
通路っぽくなっているところには、点字ブロックが貼られるのでしょう。
また、太い柱にはデジタルサイネージをはめ込める枠が見られます。
高架下には、みどりの窓口と自動きっぷうりばが現れています。
JR四国では英語・韓国語・中国語だけでなく、中華民国の繁体字にも対応しているのが珍しいです。
JR四国は台湾の台湾鉄路と友好鉄道協定を結んでいるため、そういった点が関わっているのかもしれません。
シャッターが閉まっているのため台数までは分かりませんが、みどりの窓口の隣に自動きっぷうりばが位置します。
改札を挟んで奥の方には、ガラス張りの区画が。おそらく待合所になるのではと思われます。
新駅舎開業後もしばらくの間、こちらの入口までは、現在の駅舎やホームを経由する通路を通ることになります。
おそらく今立っているホームや線路の一部が崩されて、アスファルトなどによる仮通路ができるのではないでしょうか。
新駅舎で特徴的なのが、コンコースの天井。道後温泉本館玄関の唐破風をイメージしたデザインとなっています。
県産スギ・ヒノキをふんだんに用いているとのことで、この下へ潜り込む日が楽しみです。
駅舎中央には高知駅にあるのと同じ、輪っか型の案内サインが吊るされていました。
向かって右側には、先ほど駅外側から見られたセブンイレブンの姿も。
ピエトモンドリアンみたいに、四角を組み合わせたポーチライト。
その向こうは「だんだん通り」という、高架下商業施設です。
グルメやお土産店などが立ち並ぶ、特に観光客には嬉しい施設になりそうです。
現在松山駅で行われている特急の縦列停車に関しても、高架化で見納めとなります。
ちょうど1番線ホームにやってきました、岡山・高松からの特急しおかぜ・いしづち号です。
程なくして、宇和島駅からの特急宇和海が到着です。
全国的にも珍しい特急2本の縦列停車ですが、これを見られるのも残り1ヶ月となりました。
鉄道ファンの方だけでなく、一般観光客の方にとっても珍しく映るみたい。
撮影されている方がたくさんいらっしゃいました。
奥にはほとんど完成した松山駅新駅舎。これと一緒に見られたのも良かったです。
高架化された後は、特急の縦列停車は対面乗り換えへ変更されます。
縦列停車の場合、号車によっては長距離を歩く必要がありました。
その点対面乗り換えの方がもっと便利ですね。
これに伴い、特急宇和海の指定席号車も、宇和島寄りの1~5番に変わります。
現在地上駅があるエリアには、広場を整備。
将来的に四国新幹線が事業化した際、新幹線ホームのスペースを想定しています。
以上、高架駅開業まで1ヶ月に迫った、松山駅の様子をお届けしました。
松山市は私鉄の伊予鉄道の存在感が非常に大きく、JR松山駅は遠くへ行くときに使うという位置づけ。高架駅と商業施設オープンが、松山駅の地位向上へのきっかけになれば嬉しいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。