2023年6月17日、北海道新聞はJR北海道が無人駅42駅の廃止を検討していると報道しました。
1日あたりの平均乗車人数3人以下を目安を示し続けており、334駅のうち1割以上を占めます。
2016年から経営効率化のため、積極的に始まったJR北海道の駅廃止。2023年3月末限りまでに路線そのものの廃止含め計104駅が廃止されました。特に2021年春のダイヤ改正では宗谷本線だけで12駅が廃止されました。この時宗谷本線では利用者の少ない廃止対象駅について、沿線自治体が駅維持管理費を負担して残すか、駅を廃止するか判断を迫られています。
今回廃止検討駅として示された駅の中には、こういった自治体が維持管理して残る駅も含まれます。2023年6月29日現在、駅存続に関して廃止決定や自治体との協議状況など、公表されている部分をまとめます。
宗谷本線
瑞穂駅
今回発表された宗谷本線の廃止検討駅では初野駅と合わせて2駅だけ、自治体による維持管理駅ではなく、JR北海道が維持管理している駅です。
日進駅
2021年度より名寄市による維持管理駅になりました。
智北駅
2021年度より名寄市による維持管理駅になりました。
初野駅
2023年6月14日、北海道新聞の報道では2024年春限り廃止とされています。
2021年春の廃止対象からは免れた一方、2021年6月にJR北海道は美深町に廃止の打診がされ、2023年7月までの回答が求められました。
恩根内駅
2021年春の廃止対象になり、2020年3月25日、美深町は他3駅とともに廃止を容認しました。4月に地元住民にも説明をしましたが、6月に自治会が存続の要望書を提出。7月に町長と自治会役員の会談が行われ、住民による除雪や清掃など環境整備を条件に、維持管理費用200万円以内に抑えることで存続が決まりました。2021年度より美深町の維持管理駅になっています。
天塩川温泉駅
2021年度より音威子府村による維持管理駅になりました。大きく傾いていた待合室について、2023年3月から5月に改修工事を実施。費用は音威子府村のふるさと納税より支出されました。
咲来駅
2021年度より音威子府村による維持管理駅になりました。
筬島駅
2016年7月、2017年春のダイヤ改正で廃止する意向がJR北海道から自治体に伝えられました。のちに撤回されて当面の間JR北海道が存続する意向を示しています。2021年度より音威子府村による維持管理駅になりました。
佐久駅
2021年度より中川町による維持管理駅になりました。中川町令和3年度一般会計予算審議では、『佐久駅については当面維持していく考え。』とされています。2022年3月12日の読売新聞で、『除雪日など維持管理費は年間191万円にのぼり、同町の担当者は「毎年払い続けるのは難しい」』と報道されていました。
問寒別駅
2021年度より幌延町による維持管理駅になりました。駅存続理由について、「市街地を形成していること」が挙げられています。
糠南駅
2016年8月、JR北海道は南幌延駅、下沼駅とともに2017年3月限りで廃止する方針を伝えました。幌延町は平成29(2017)年度一般会計で糠南駅の維持管理費用年間54万円を計上しています。その後、2021年度より幌延町による維持管理駅になりました。駅存続理由について、「秘境駅等鉄道系資産によるまちおこしの象徴的存在であり民間有志による大規模イベントも開催されていること」が挙げられています。
雄信内駅
2021年度より幌延町による維持管理駅になりました。対岸の天塩町や周辺住民は、駅存続にあまり積極的ではない姿勢です。駅存続理由として、「宗谷本線の歴史を伝える国鉄型木造駅舎の希少性について考究が必要なこと」が挙げられています。
南幌延駅
2016年8月、JR北海道は糠南駅、下沼駅とともに2017年3月限りで廃止する方針を伝えました。幌延町は平成29(2017)年度一般会計で南幌延駅の維持管理費用年間48.2万円を計上しています。 その後、2021年度より幌延町による維持管理駅になりました。駅存続理由として「廃止容認2駅の中間点に位置すること」を挙げており、2021年3月に安牛駅、上幌延駅が廃止されたことに関連します。
下沼駅
2016年8月、JR北海道は糠南駅、南幌延駅とともに2017年3月限りで廃止する方針を伝えました。幌延町は平成29(2017)年度一般会計で下沼駅の維持管理費用年間60.8万円を計上しています。 その後、2021年度より幌延町による維持管理駅になりました。駅存続理由として、「サロベツ湿原等観光資源の玄関口として活用度が高いこと」が挙げられています。
兜沼駅
2021年度より豊富町による維持管理駅になりました。2021年8月の北海道新聞で『兜沼駅から稚内の高校に通う2人の生徒が卒業する再来年度以降は未定』としており、2023年度限りで廃止される可能性もあります。
抜海駅
2021年度より稚内市による維持管理駅になりました。2021年には有志による利用促進事業として、開業100周年記念事業の資金をクラウドファンディングで調達しています。
しかし2022年6月、稚内市は自治体負担による維持存続を2022年度限りで終了する方針を表明しました。これに対して住民が大きく反発、年間100万円の維持費を調達するため、再びクラウドファンディングを実施しました。
その後、稚内市は説明会を開いた上で、2023年度も存続する方針を決めました。2024年度も自治体負担で存続するか、7月末までに回答します。
名寄〜稚内では、既に多くの駅が自治体負担によって存続されています。仮にこれら対象駅全て廃止された場合、特急列車が止まらない駅は、智恵文駅、勇知駅だけになります。車両運用の効率化を考えた場合、特急が廃止されて快速列車になる可能性も考えられる状況です。
石北本線
愛山駅
2023年6月14日、北海道新聞の報道では2024年春限り廃止とされています。一方で、愛山町との交渉について報道はされていません。
瀬戸瀬駅
2021年度より遠軽町による維持管理駅になりました。2021年2月26日遠軽町第31回町長定例記者会見によると、『瀬戸瀬駅につきましても廃止の検討が行われてきましたが、瀬戸瀬地区から高校への通学者の利用が当面見込まれる』ため存続しています
緋牛内駅
今回発表された廃止対象駅の中では比較的多く、1日9.5往復の運行本数が確保されています。
釧網本線
緑駅
行き違い可能設備だけでなく、当駅始発列車も存在しており、廃止になった場合運行形態にも変更が見込まれます。
美留和駅
6月20日北海道新聞電子版では、駅前で商店を営み毎月通院でJRを利用している方の声がありました。弟子屈町は20日時点で駅利用者数の調査を行う予定です。
茅沼駅
6月20日北海道新聞電子版では、標茶町長の廃止に懐疑的な声がありました。タンチョウが来る駅として知られており、SL冬の湿原号と共に撮影へ訪れる観光客が多いです。
根室本線
東滝川駅
滝川市によると、駅廃止について特に事前連絡はなかったとのこと。東滝川連合町内会長は利用者が少ない中、存続を求めるのは難しいとのことでした。
厚内駅
北海道新聞の報道によると、1日の平均乗車人員が1人以下。
尾幌駅
6月20日北海道新聞電子版では駅を利用する高校生の声があった。厚岸町によると、2022年3月に糸魚沢駅が廃止された時にあった事前打診が、今回は無かったとのことです。
別当賀駅
駅周辺にバス路線が乏しく、高校生や高齢者が駅を利用してきました。
昆布盛駅
別当賀駅とともに駅周辺にバス路線が乏しく、高校生や高齢者が駅を利用してきました。
6月20日北海道新聞電子版では昆布漁師の方や主婦の方による、車が運転できない場合の二次交通としての重要性について訴える声がありました。一方で、それは日常的に利用していないことを意味します。
富良野線
鹿討駅
黄線区の中では比較的輸送密度が高い富良野線、その中で最も利用者が少ない駅です。
石勝線
滝ノ上駅
2023年6月14日、北海道新聞の報道では2024年春限り廃止とされています。
2023年6月19日北海道新聞によると、5月ごろJR北海道から夕張市へ廃止方針が伝えられ、20日に住民説明会が開かれました。滝ノ上地区の住民によると、高校生の生徒さんが週末の帰省に利用する程度とのこと。廃止に反対する人は少ないとの住民の声が色濃く、夕張市の財政状況からも駅廃止が濃厚です。
室蘭本線
静狩駅
礼文駅
大岸駅
函館本線
仁山駅
赤井川駅
山越駅
山崎駅
黒岩駅
国縫駅
中ノ沢駅
2023年6月14日北海道新聞の報道では2024年春限り廃止とされています。
既にJR北海道は長万部町に移行を伝えており、6月17日に説明会を行いました。
二股駅
北海道新幹線の並行在来線のため新幹線開業と同時に廃止(2030年度予定)が決まっていますが、それ以前に廃止の可能性があります。
目名駅
北海道新幹線の並行在来線のため新幹線開業と同時に廃止(2030年度予定)が決まっていますが、それ以前に廃止の可能性があります。
比羅夫駅
北海道新聞の報道によると、1日の平均乗車人員が1人以下です。
駅舎内に宿がある駅として非常に人気。北海道新幹線の並行在来線のため新幹線開業と同時に廃止(2030年度予定)が決まっていますが、それ以前に廃止の可能性があります。