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鉄道ファンの大好物だらけ!黒字にもなった鳥取の小さな第三セクター若桜鉄道[鳥取・福井ローカル(5)]

2021年6月9日

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今日は鳥取駅に来ています。言わずもがな鳥取県で最も大きな駅、結構昔の1978年に高架化された立派な駅舎です。

 

まずは因美線の普通列車に乗車、八頭町の中心駅である郡家駅で降りました。

 

今回ご紹介するのは鳥取県の第三セクター若桜鉄道。向かいのホームに停まっている派手な列車です。

若桜鉄道は因美線の郡家駅から伸びる19.3kmの路線になります。

兵庫県の県境である氷ノ山を越え、山陰本線の八鹿駅に達する予定でした。

しかしその計画は無くなり、国鉄民営化の際には赤字路線として第三セクター化されます。

そんな若桜鉄道ですが、自治体からの出資もあり黒字化を達成する年もありました。

鳥取県の小さな第三セクター、若桜鉄道とは一体どのような路線なのでしょうか?

この車両にはスズキと書かれ、バイクの写真が貼られていました。その理由については後ほど分かることとなります。

 

通学時間帯、多くの高校生が車内の座席を埋めて出発しました。

 

郡家駅を出て2分ほど、真新しい色のテニスコートがある高校が見えてきます。

 

列車は八頭高校前駅に到着。

早くも高校生たちがどっと降りていき、車内には2,3人の鉄道ファンらしき方のみとなりました。

 

郡家駅から谷津高校前駅までの距離は0.9km、運賃は100円で日本一安いです。

2006年までは60円で単独最安、翌年に100円へ値上げされましたが、現在では北大阪急行、多摩都市モノレールなどと同率で最安です。

 

ホーム上屋などはリニューアルされているようで、ライトの形等がオシャレになっています。

こちらはローカル線を再発見させてくれる方、水戸岡鋭治さんによるものです。

 

八頭高校前駅は若桜鉄道になってから設置されました。



若桜鉄道にはそれほど素晴らしい景色や、観光地があるわけではありません。

ただし時々八東川を渡ったり、並行するその景色は素晴らしいものです。

 

次の停車駅は因幡船岡駅、登録有形文化財にも登録された駅舎です。

 

この駅舎には何と縫製工場が入っていて、簡易委託として切符の販売も行われています。



次の隼駅は1930年の1年足らずの間だけ、若桜線の終着駅でした。

こちらの駅舎も本当に素晴らしく、登録有形文化財に登録されています。



また、ここ隼駅はライダーたちの聖地にもなっています。

始まりはバイク誌『月刊ミスターバイク』8/8は「隼駅に集まろう」と呼びかけたこと。2日後の当日には7台のバイクが集まり、それからと言うもの隼駅はハヤブサ乗りの聖地になったのでした。

 

今回乗っている車両にバイク『ハヤブサ』のラッピングがされているのはそのため。車内にもスピードメーターの写真が貼られていたりと、遊び心があります。



駅には北陸鉄道で使われていた、赤いED01機関車、そしてムーンライト高知で使われていた12系客車が停まっていました。

こちらはムーンライトはやぶさというライダーハウス。

 

現在は新型ウイルスで閉鎖されているそうですが、バイクでいらっしゃる方も多いですし、このような施設は人気でしょう。

 

若桜鉄道の最高速度は65km/h。普通列車も頑張って音を立てながら走っていきます。

 

転換クロスシートの車窓左手には八東川の流れを綺麗に見られます。

 

あれほど窓に派手なラッピングがされていても、そんなに景色が見られないということはありません。



安部駅に到着、しかしこの辺りには安部という地名はありません。

駅設置当時、駅がある日下部地区、そして八東川の対岸にある安井宿地区とで駅名の争奪戦が起きたのです。

最終的にそれぞれから1字ずつ取ったことで収まりました。

 

安部駅には理髪店が入居していて、オーナーさんが駅長さんにもなっています。



次の八東駅は最近大きくなった駅です。

ローカル線の駅設備は段々縮小されるもの。しかしこの駅は2020年にホームが増設され、列車交換が可能となりました。

左側の元々あったものと比較するとその違いは歴然です。

 

また、駅には宇都宮貨物ターミナルに置かれていたという緩急車が搬入されています。

これを受けて土砂に埋もれていた貨物用ホームの姿を復活させたというのだから驚きです。

 

ついに八東駅からは車内で一人ぼっちになってしまいました。

 

若桜線の中で最も立派な橋と思われる、第二八東川橋梁を渡ります。

 

そして到着しましたのは徳丸駅。八頭高校前駅と同じような水戸岡デザインです。

 

2002年に開業した新駅で、スロープもある利用しやすい清潔な駅になっています。



次の停車駅は丹比駅、日本で唯一『ぴ』で終わる駅名です。

ホームには鯉のぼりたちが泳いでいました。

 

右側にはホームらしき構造物がありましたが、旅客列車の交換が行われていた訳ではなく、チップ工場の貨物側線として使われていました。

 

また駅舎内に美容院が入っている簡易委託駅。利用客も多くなっています。

 

山の向こうが若桜駅。しかしあの山が北に突き出ているため、列車も北を迂回して駅間距離は5.7kmです。

 

列車は路線バスを軽く追い抜いていき、若桜を目指して走っていきます。

 

若桜線にはトンネルがほとんど無く、落石や土砂から線路を守る囲い程度ぐらいです。

 

郡家駅から終点の若桜駅まで料金は440円。往復で880円です。

 

一方で1日フリーきっぷは760円ですから、往復で元が取れてしまいます。

駅でなくても車掌さんから購入できますのでぜひ利用してみてください。



若狭駅では様々な列車たちがお出迎え。

左に停まっているのはまたまた12系客車、そして車庫にいる赤色の列車は水戸岡デザインの『八頭号』です。

 

ホームにはカメラを構えた方がいらっしゃって、やはり若桜鉄道は人気の鉄道会社なのだと感じさせられます。

 

鮮やかな青色に白い筆文字で書かれた駅名標。

ホーム上は古すぎない昭和レトロを感じさせます。

 

駅舎内に入るとそのデザインが如何にもJR九州感を漂わせていました。

喫茶店も入居していて、落ち着いた様子です。

 

待合場所は昔ながらの喫茶店みたいで、本をゆっくり読むこともできます。

 

一方で外観は昔からの形を留めているのだから良いのです。

 

若桜駅にはSLありますが、ただ置かれているだけでなく1万円で体験運転もできます。これは相当魅力的なお話ですね。

 

また5年前には12系客車を連れてSLが走りましたが、それからは運行されていません。

 

しかし若桜鉄道には新たに昭和テーマにした列車が登場しました。

最初はこちらの『昭和号』。もちろん水戸岡鋭治さんによるデザインです。

車体には桜をかたどったマークが付され、若桜鉄道らしいものになっています。

 

そして続いたのが赤色の『八頭号』、そして緑色の『若桜号』でした。

 

貴重な車両を保存したり、昔ながらの駅舎が大量に残されていたり、春にはショッキングピンクのSLを公開したりと普通とは違った事をする若桜鉄道。

この鉄道には本当に多くの魅力が詰まっていることを感じさせられます。

 

今度はただ乗るだけでなく、もっと多くの方面で楽しめたらと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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