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羽越新幹線はミニ新幹線とフル規格、どっちが良いのか?【羽越新幹線 後編】

2020年5月31日

前回は羽越新幹線の概要、そして必要性についてお話しました。

前回
次期新幹線の候補 羽越新幹線は本当に必要なのか?【羽越新幹線 前編】

羽越新幹線は富山から新潟を経由し、新青森に至る日本海を通る新幹線です。 開通すれば寝台特急、日本海やトワイライトエクスプレスのような大阪〜札幌のルートが出来上がります。東京を通らずに西日本と北日本が結 ...

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結局必要性は低いということ結論になりましたが、今回は仮に建設するならば、フル規格かミニ新幹線どちらが良いのか、それぞれのメリット、デメリットを挙げていきます。

 

ミニ新幹線

デメリットは、ミニ新幹線は実質在来線特急であり、スピード等の面でフル規格新幹線に劣ることです。

現在秋田新幹線、山形新幹線が東北新幹線に直通しているように、新幹線との直通は可能ですが、在来線特急並のスペックしかありません。

例えば東京〜青森は東京〜山形の約2倍の距離があるのにも関わらず、東京〜青森は3時間、東京〜山形は2時間40分かかっています。

たしかに東京から山形へ直接行けるのは便利ではあるものの、スピード効果は少なくなってしまうと言わざるを得ません。

また、ミニ新幹線の場合は線路の幅を変える必要があるのですが、そうすると現在日本海縦断線として羽越本線などを通っている貨物が走れなくなります。それを考えると青函トンネルのように三線軌条にする必要があります。

 

一方、メリットは在来線の線路を改良するだけで良いということです。

羽越新幹線をフル規格として開通させる場合、460キロ新たに線路を敷設する必要がありますが、ミニ新幹線ならばこの区間の在来線の線路を改良・利用するだけで済みます。

これにより、建設費を大幅にカットすることが出来ます。

例えば山形新幹線は1キロあたり6.6億円、秋田7.2億円かかっていました。これは東北新幹線の50億よりはるかにコストカットされていると言えます。

また、建設にかかる時間も短縮出来ます。東北新幹線10年以上かかりましたが、山形新幹線では4年、秋田新幹線では5年で建設されています。

 

フル規格新幹線

フル規格新幹線とは新たに線路を建設して、200㎞/h以上で走行する鉄道です。

デメリットは建設には莫大な費用がかかることです。例として東北新幹線を上げると、東北新幹線の東京〜盛岡は2.5兆円、盛岡〜新青森は9172億円かかっています。

これは単純計算すると1キロあたり50億円かかるということです。東北新幹線は積雪の多い区間を走るため、他の新幹線と比べても相当の費用がかかる模様です。

羽越地方も同様に多くの積雪があるため、建設費用は同じように高額になることが予想されます。

これを受けて1キロあたり50億円として単純計算すると、新規建設路線である460キロの鉄道建設には2.3兆円かかります。

 

メリットは所要時間を在来線よりはるかに短縮することができ、新幹線建設の意義がより強まることです。東京等からの時間距離が短縮され、観光産業の発展がなされるでしょう。

また、大阪〜札幌を乗り換え無しで移動できる可能性もあり、フル規格新幹線によって速達化に力を入れれば飛行機からシェアを奪うことも出来ます。

 

結局どっちが良い?

ここまではミニ新幹線とフル規格新幹線それぞれのメリット、デメリットを簡単に挙げてきました。ここで、ミニ新幹線にした場合、区間ごとに細かな問題が発生しますので、それをご説明します。

ミニ新幹線で開業した場合在来線の線路を新幹線が通るため、普通列車とのダイヤ調整が必要になります。

 

例えば、弘前〜青森では片方向で1時間あたり2、3本の列車が走っています。しかもこの区間は単線区間のため、このままの設備ならば交換時間の増大が発生することでしょう。

 

また、北陸新幹線から新潟方面へ羽越新幹線を直通させる場合、上越妙高駅で新幹線から在来線へ乗り入れるときにスイッチバックが必要となります。

鉄道ファンとしては新幹線のスイッチバックなんて面白すぎますが、実用的に考えて不便極まりありません。

また、上越妙高〜直江津は第三セクターの別会社、えちごトキめき鉄道となっています。この扱いをどうするかというのも小さいことではありますが、問題点です。

 

最後に、新青森から北海道新幹線へ直通させる場合、浪岡駅を過ぎたあたりから8キロ程度、ミニ新幹線専用線を建設する必要があります。

 

ミニ新幹線×フル規格

これまでのメリット、デメリットを踏まえ、それぞれの利点を活かし、区間によってミニ新幹線とフル規格新幹線を混合してみてはどうなるでしょうか?

いわゆるいいとこ取りってヤツです。

 

今回僕が考えたのは上の図のように、村上〜羽後本荘だけミニ新幹線にするというもの。

先程の路線の構造上の問題を踏まえ、上越妙高〜長岡新潟〜村上羽後本荘〜新青森フル規格としました。

村上〜羽後本荘は約170km。新設区間の約36%がミニ新幹線となっています。

スピード面と建設費のバランスや普通列車の本数などを考えてこれが一番ではないかなと思いました。

ただ、これは素人の感覚的に考えた妄想に過ぎませんのであしからず…。

 

羽越新幹線はいらない

結論としては、羽越新幹線を建設するならばフル規格にするのが妥当だと思われます。

前回お話したように羽越新幹線は沿線人口が少ないため、建設の一番の目的は大阪〜北海道への鉄道建設です。つまり、飛行機に太刀打ちできるスピードが必要になります。

となると、結局はフル規格新幹線で建設しないと羽越新幹線の意味はほぼ無いと言っても良いほどです。

 

ここまでは『羽越新幹線が建設される』という過程を前提としてきましたが、羽越新幹線は必要ないということがよくわかったような気がします。

おそらく2兆円以上かけなければ大阪〜札幌のアクセスにおいて意味のある新幹線建設はなされません。しかし、それだけ巨額の資金をかける意味があるのか…?皆さんの多くもお分かりの通りかと思います。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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