JR西日本が2023年をもって廃止を発表している、木次線の観光列車『奥出雲おろち号』。
JR西日本は1月に代替として、『あめつち』を走らせることを提案していました。
そして2月9日に検討会が松江市で開かれ、観光列車『あめつち』が引き継ぐことが決まったのです。
あめつちは鳥取〜出雲市で運行されており、特に島根県内での日本海や宍道湖が人気。車内は地元の工芸品を使った装飾がなされ、テーマとなっている山陰の神話に沿った高級感ある内装です。
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ただし一番問題なのは、運行区間が宍道〜出雲横田であり、木次線の目玉『3段スイッチバック』、『おろちループ』を走らなくなることです。
これはあめつちの車両がキハ47であり、当区間の坂を登れないため。これは木次線の観光列車としては非常にイタい点です。
木次線のこの区間を観光資源として保つにはどうしたら良いのか、問題点と対応策を考えてみました。
あめつちになることで、いくつかメリットはあります。
これまでの奥出雲おろち号は全車指定席でした。
しかしあめつちはグリーン車指定席ですから、JR西日本は収入を上げることができます。また、青春18きっぷでの乗車もできなくなるため、正規の運賃を得ることが可能です。
また、あめつちという豪華内装のため、一般の人から新たな需要を生み出すことができるかもしれません。
一方で、注目されているデメリット、そしてその対応策について。
あめつちが出雲横田駅までしか行けないのはどうしようもありませんから、そこから先も乗り継ぐ列車を設定することが必要です。
木次線沿線自治体は協力金を捻出した上で新たな観光列車製造を求めていましたが、そもそも種になる列車がないということ。
また、出雲横田〜備後落合の輸送密度は18。この数値は日本で2番目の値であり、JR西日本としては追加投資をしたくないでしょう。
JR西日本はこの区間についてラッピング列車を提案していますが、正直そこまで効果を見込めるのか疑問があります。
そこで提案したいのが、通常運行しているキハ120に、簡単な装飾を行うということです。
一番参考になるのは道南いさりび鉄道で走る『ながまれ海峡号』。社員さんが手作り感あふれる飾り付けをしており、日本一貧乏な観光列車としても知られています。
あめつちに乗った後これに乗り継ぐことで、こちらが見劣りし蛇足と思われるかもしれませんが、違った楽しみが生み出されるという考え方もできるでしょう。
また、海峡ながまれ号を主催しているのは、JR西日本子会社の日本旅行です。このような観光列車については、ある程度のノウハウがあるのではと思います。
そしてもう一つの問題は、運行ダイヤです。
現在奥出雲おろち号は、寝台特急サンライズ出雲号との接続が取られていません。この乗り継ぎを考慮できれば、遠方からのお客さんも取り込みやすくなります。
もちろん島根県としては県内で宿泊してほしいと考えるのでしょう。奥出雲おろち号の旅行商品を見てみると宿泊プランがあり、玉造温泉や出雲市での宿泊がセットになっていました。
しかし、利便性を上げて乗車機会を増やし、島根をより多くの人に訪れてもらうことが重要。強制的に前泊させるのではなく、いかにこの後宿泊して観光しようと思わせるかということのほうが必要です。
最後に、鉄道考察系の動画投稿者さんの鐵坊主さんの動画を貼っておきます。高千穂鉄道の高千穂あまてらす鉄道を参考にしたスーパーカートの利用を提案されていました。
この方の提案はあまりに具体的で現実性があるため、本記事を書いたあとに視聴させていただきました。
このブログをご覧の方はすでに多くの方が視聴されていると思いますが、是非併せて参考にご覧ください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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