新千歳空港~旭川に直通特急を走らせる構想が浮上しました。JRと道内7空港の運営を担う北海道エアポート(HAP)の幹部が新ルート検討に着手していて、実現できるかどうかも具体的に考慮しているようです。
ルートは新千歳空港→南千歳→追分→岩見沢→旭川。所要時間は1時間30分程度、現在の札幌乗り換えよりも50分短縮されるとのことです。
カムイ新千歳空港行きの廃止
かつて新千歳空港~旭川には札幌を経由する特急スーパーカムイが運行されていました。新千歳空港~札幌間を快速エアポートとして走っていましたが、2ドアで特急座席の車両では運びきれなくなり、2016年のダイヤ改正で新千歳空港乗り入れが廃止になったのです。
構造上の課題
経由する室蘭本線(沼ノ端~岩見沢)はJR北海道単独では維持困難している路線です。ここを経由する特急列車が新たな収益源になればJR北海道のメリットもあります。またHAPによる要請があって検討がされているのですから、HAPが設備投資を負担することも考えられるでしょう。
(Mister0124-Own work,CC表示-継承4.0
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:JR_Chitose-Line_New_Chitose_Airport_Station_Platform.jpg#mw-jump-to-licenseより)
しかし、新千歳空港に特急を発着させるのはかなり難しいことです。新千歳空港駅は1面2線で、新千歳空港~南千歳間は単線になっており、ダイヤを汲むのが難しいかもしれません。
特に旭川から室蘭本線で雪などに寄る遅れが発生した場合、千歳線にもそれが波及する可能性があります。
また、室蘭本線は非電化のため、ディーゼル特急を走らせる必要があります。かつて地下駅の新千歳空港駅にディーゼル特急が入線したことはありますが、定期列車ほど頻繁になると排煙対策が必要になるかもしれません。
いずれにせよ新千歳空港の2面4線化や、南千歳〜新千歳空港の複線化は必要になりそうです。
また、新千歳空港駅を千歳線の途中駅、石勝線の起点駅とする構想を実現するとして可能性もあります。それについては以下の記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
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新千歳空港駅の大改造 複線2面4線化・ルート変更について解説
新千歳空港駅は1992年、新千歳空港ターミナルビルのオープンと同時に開業しました。 元々は千歳空港でしたが発着便の増加に伴って新千歳空港が開港。千歳空港駅であった現在の南千歳駅から分岐す ...
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本当に1時間半で走れる?
一番気になっているのは想定されている1時間30分という所要時間です。
南千歳駅の方向転換もありますし、石勝線・室蘭東線には単線区間があるので、行き違いも考慮しなければなりません。
それぞれの区間を考えてみると、
南千歳駅方向転換 4〜7min
南千歳〜追分 12min
追分〜岩見沢 28min
岩見沢〜旭川 60min
これらを合計すると1時間47〜50分となりました。
特に追分〜岩見沢については表定速度の85km/hで距離を割っただけ。三川〜由仁,栗山〜岩見沢は単線のためもっと時間がかかる可能性が十分あります。
かつてのスーパーカムイは2時間弱でしたからそれより短縮は出来るでしょうが、1時間30分というのはどこから算出されたのかなと思うところです。
利用者はそんなにいる?
かつての特急スーパーカムイは、旭川~札幌、旭川方面~新千歳空港、札幌~新千歳空港など全区間だけでなく途中区間だけでの利用者もあったため運行できていました。
しかし、新たな特急は旭川~新千歳空港の利用者しがほとんどです。
さらに旭川〜新千歳空港の直通列車が廃止された代わりに2018年からは高速バスたいせつライナーが運行を開始しています。既に高速バスがシェアを伸ばしつつある中、果たして鉄道はそのシェアを奪い返すことが出来るのかも疑問です。
かなり課題の多い今回の計画ではありますが、実現し成功したならば新たな収益源として期待できます。
具体的な検討が進む訳ですが、これからの動向を見ていきたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。