こちらは宗谷本線の名寄駅です。
2021年3月、この路線では12駅という多くの駅が廃止されました。
その一方で、2022年春には宗谷本線に新たな駅が開業します。
今回はその建設の様子を見に行ってみることにしました。まず乗車しますのは普通旭川行きです。
【開業後の様子】
やってきたのは名寄駅から1駅。
東風連駅です。
2021年3月から宗谷本線を走り始めた新型車両が傾きながら発車していきました。
こちらの駅は1面1線の板張りホームというシンプルな構造。
さらにホームには屋根も設置されていません。
倉庫のような待合室には座布団が敷かれ、新聞や駅ノートも置かれている、のどかな駅です。
そんな東風連駅の待合室にはなんだか怪しい看板が。
そこには『長い間お疲れ様 東風連駅』と書かれています。
しかしその下に書いてある文言を読んでみると…
『令和4年春 名寄高校前に移転します』とのことです。
東風連駅は小さな駅ですが、通学・帰宅時間帯には非常に多くの人が利用します。それは、ここが名寄高校の最寄り駅だからです。
しかし駅から高校は1.5km離れていて少々不便。そこで東風連駅を廃止して、名寄高校のすぐ近くに駅を作ろうということなのでした。
駅から高校までは徒歩20分。実際に歩いてみましょう。
道中は平坦な道が続いており、田んぼが広がる中を歩くのはそこまでキツくはありません。
しかし夏でも名寄は盆地で暑さが激しいですが、特に雪の中歩いていくのは明らかに大変でしょう。
名寄高校に到着しました。
吹奏楽の練習をする音が教室から漏れてきています。
さて、道路を挟んで高校の向かい側を見てみると工事中の様子。
こちらは駅から続く道で、おそらくアスファルトを敷く工事をしているのでしょう。
奥の方では駅の設置工事が進んでいます。
しかし道の舗装工事をしているため近くまで行って見ることができません。
というわけで列車の中から工事の様子を見てみます。
写真中央に田んぼがありますが、その手前の空き地がホームを設置するであろう土地です。
そして出入り口は道に面したこのあたりに作られると予想されます。
現在ホームから降りるのに階段しかありませんが、スロープになると発表されていました。
名寄高校は本当に目の前。これは今と比べてかなり列車での通学が楽になりそうです。
前面展望から見てみるとご覧の通り。土が盛られていて、駅設備の地盤を作っていることが分かります。
ただ、駅と高校の間には広い道がありますから、安全のためにも横断歩道が必要になりそうです。
道教育委員会は2023年度に名寄高校と名寄産業高校を統合して学校を新設すると決めており、校舎は現・名寄高校のものを使うとのことです。
2018年、名寄市の調査によると、JRで通学する生徒は67人(隣の名寄駅の利用者を含む)。学校前に駅ができれば新たに利用したいと答えた生徒が冬季だけの利用も含めると52人いたとのことです。
東風連駅の利用者数は13.6人(2015年〜2019年の平均)で、名寄駅を利用して通学する生徒さんも多くいることが分かります。
名寄高校駅が開業して駅の利便性が高まれば利用者が増加傾向となるのは予想できるでしょう。
移転費用は名寄市が負担することを前提にJR北海道と協議しています。市はすでに20年度予算に設計費として約1360万円を計上。21年度予算案に事業費として数千万円を計上する方向で調整しています。2021年度中に着工し、2022年3月の完成を目指します。
(『JRの赤字路線に「高校駅」 自治体が費用負担のワケ』
朝日新聞 2021年1月14日13時00分の情報を使用)
ローカル線の小さな駅だからこそ比較的簡単にできる駅の設置。これが宗谷本線の利用促進に拍車をかけるものだと期待したいです。
最後に別の方ではありますが、こちらのサイトでは名寄高校前駅の設置について非常に詳しく考察がなされています。
内容も充実していますから、ぜひ合わせてご覧ください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。