12月15日、名古屋市中心部で不発弾処理が行われ、名古屋市営地下鉄の一部区間が運休になりました。
運休したのは、桜通線太閤通駅〜今池駅と、東山線栄駅〜池下駅。
両路線の運休区間の前後では、折り返し運転が行われていました。
これにより、普段は走っていない行先の電車も出現。
イレギュラーな折り返しですが、一体どのような運転方法が取られたのでしょうか。
まずはJR・私鉄各路線との乗り換え駅である、名古屋駅からスタート。
名古屋駅には部分運休を行なっている、東山線と桜通線が乗り入れています。
桜通線の運休区間「太閤通駅〜今池駅」に含まれており、名古屋駅から桜通線に乗ることができない状態です。
電車が走っていない桜通線はどうなっているのか、案内サインに従い改札へ向かうと…
自動改札が閉まっていました。
こちらは西中改札口で、桜通線のホームに近い改札。桜通線の電車が走っていないため、ここから改札内へ入ることはできません。
改札横に設置されていた運行情報案内でも、運休中の区間が示されていました。
しばらくすると駅員さんによって、改札前に三角コーンが立てられます。
桜通線の発車標には、運休情報が繰り返し流されていました。
駅構内図が書かれたホワイトボードには、おそらく事前から書かれていたのでしょう。桜通線の運休がお知らせされていました。
今回の運休は、午前9時30分ごろから規制解除まで。名古屋駅基準では、9:24発徳重ゆき、9:37発太閤通ゆきが最後だったみたいです。
一方で東山線の運休区間は、栄駅〜池下駅。名古屋駅はこの区間に含まれておらず、東山線なら乗ることができます。
今度は別の改札を見るべく、東山線の案内を辿ってみましょう。
次に現れたのは、東改札口。
入場することはできませんが、出場のみできるようになっていました。
入場できない改札近くの自動券売機では、発売中止できっぷを購入できません。
続いて地下街に隣接した大きな改札、中改札口に来ました。
東山線に近い改札であり、通常通り開かれている状態です。
東山線は、高畑駅〜栄駅で折返し運転を行なっています。
発車標には出発時刻が無く、行先のみ表示。
折返し運転は5分間隔で行っているとのことです。
改札内へ入るとすぐ近くに、桜通線ホームへの階段があります。
しかし、ロープが張られており、立ち入れないようになっていました。
栄駅まで折返し運転を行なっている、東山線の様子を見てみましょう。
ホーム上の発車標でも、「栄」と行先が表示されていました。
名古屋市で一番の繁華街がある栄ですが、「栄」ゆきは普段存在しません。
電車の行先方向幕に関しても、「栄」を表示することはできません。
そのため白い幕での運転が行われていました。
東山線の行先方向幕は、「高畑」「藤が丘」「星ヶ丘」「岩塚」「池下」の、5種類の駅を表示できます。
新しい車両のLED行先表示器に関しても同様で、「栄」の表示は無く暗い状態でした。
車内の液晶ディスプレイも、「名古屋市交通局」で固定。
新旧の名古屋市交通局章が描かれていました。
電車は終点の栄駅に到着です。
東山線は1,2番線ホームを使っており、1番線から池下・藤が丘方面、2番線から名古屋・高畑方面の電車が発着します。
しかし、部分運休中は1番線ホームのみ使って折り返し。
普段は2番線ホームから出発する高畑行きの電車が、1番線ホームから出発します。
名古屋駅から栄駅までの先頭車両。栄駅に到着すると、赤い尾灯になりました。
3分ほど停車していた後、名古屋・高畑方面へ折り返していきました。
しばらくは藤が丘方面の線路を逆走。
名古屋方にあるポイントから渡り線を通り、名古屋・高畑方面の線路へ入ります。
今度は運休区間を挟んだ東側の区間。
今池駅〜徳重駅と池下駅〜藤が丘駅で折返し運転している、東側へ向かいます。
迂回するため、栄駅から名城線右回りで上前津駅へ。
名城線の液晶ディスプレイ型発車標でも、運休情報が流れていました。
上前津駅で鶴舞線に乗り換えて、鶴舞線と桜通線の乗り換え駅である、御器所駅へ向かいます。
3番線が今池・名古屋方面、4番線が徳重方面です。
桜通線は、今池駅〜徳重駅で折り返し運転中。
運休区間との境目である、今池駅へ向かいます。
発車標には時刻だけでなく、行先の表示もありませんでした。
桜通線で見られる行先は基本的に、「太閤通」「徳重」の2種類。
しかし、御器所駅0:20発の最終列車は「今池」ゆきです。
そのため、「今池」の行先表示は最終列車を狙えば、普段でも見られます。
車内表示もこれに対応しており、「まもなく 今池 終点」と流れてきました。
今池駅到着手前で、名古屋方面の線路から留置線や徳重方面の線路へ繋がる、渡り線が見られました
この渡り線を使って、今池駅での折返し運転が行われているみたいです。
今池駅では、4番線に当駅止まりの電車が到着。3番線から徳重行きの電車が出発するようです。
こちらでも発車時刻の表示はありませんでしたが、「先発」と行先である「徳重」が出されていました。
それでは今池駅における、電車折り返しの様子を見てみましょう。
4番線に到着した当駅止まりの電車は、①徳重方(吹上駅方面)の留置線へ。
②その留置線で折り返して、3番線へ入ります。
徳重方から、当駅止まりの電車がやってきました。
先ほど前面展望から見えていた、渡り線が分岐するポイントが照らされています。
電車がホームに到着すると、ポイントが切り替えられた様子。信号が青に変わりました。
4番線に到着した当駅止まりの電車は準備を終え、尾灯が前照灯に切り替えられました。
折り返し出発し、ポイントを渡ります。
ホームからは見えないのですが、どうやら引き込み線があって、そこに一旦電車を置いているようです。
続いて3番線ホームに停まっていた、徳重行きが出発。
まっすぐ徳重方面の線路を進んでいきます。
それに対して右側に、バッテンの形をした渡り線が見られました。
ポイントが切り替わり、留置線に置かれていた電車が、渡り線を通ります。
徳重方面の線路を逆走するような形で、ホームへ入線。
3番線ホームに到着後、ここで折り返し。徳重行きとして出発準備を進めます。
さて、この今池駅は東山線との乗換駅でもあります。
しかし、東山線の運休区間は栄駅〜池下駅で、ここ今池駅も運休区間に含まれています。
そのため、東山線ホームへ行くことはできない状態です。
こちらの改札は普段通り、出入りできました。
桜通線は今池駅〜徳重駅で折返し運転のため、発車標は徳重方面のみ表示されています。
もう一つの改札近くには東山線の発車標があり、両方面共に暗いままでした。
池下駅〜藤が丘駅で、折り返し運転を行っている東山線。
その様子を見るため、覚王山駅まで歩いてきました。
こちらは池下駅の隣、藤が丘駅寄りの駅です。
発車標には行先のみ、「藤が丘」ゆきと「池下」ゆきと表示されていました。
ホーム上の発車標も同様。5分おきの運転が行われています。
列車の行先方向幕は、「池下」に対応していました。
東山線の行先方向幕は5種類あります。
そのうち「池下」だけは、定期列車で存在しない行先です。
終点の池下駅に到着しました。
池下行きは当駅止まり。名古屋方の、渡り線と留置線を使って折り返します。
留置線から藤が丘ゆきの電車が入ってくる様子が分かります。
前照灯が線路を照らしており、確かに線路の分岐するポイントがある様子。
それでは池下駅での折返しを見てみましょう。
2番線に到着した当駅止まりの電車は、①今池駅寄りの留置線へ。留置線は2本あるのですが、おそらく左側に入っていたと思われます。
②留置線で折り返し1番線に入線。藤が丘行きとして出発します。
池下行きの電車が到着、LEDでも表示されています。
車内の液晶ディスプレイでも、終点池下に対応していました。
お客さんを降ろした後、名古屋方へ回送。ポイントを越えて留置線へ入っていきました。
今度は反対側の1番線、藤が丘方面ホームへ来ました。
先に池下止まりの電車が、2番線ホームに入線。
その後、留置線に停まっていた電車が2番線ホームに入ります。
続いて、1番線ホームに停まっていた、池下止まりの電車が名古屋方面へ。
ポイントを越えて留置線へと入っていきます。
1番線ホームに池下止まりの電車が到着。
その後、藤が丘行きの電車が2番線ホームから出発しました。
ちょうど池下駅で撮影していた頃、東山線の運行再開は12:42発からとアナウンスされました。
1番線ホームは、栄や名古屋へ行く人でいっぱいになります。
通常通り「高畑」ゆきの電車が到着。
先程までの運休区間を越えて、東山線を端から端まで往復できるようになりました。
不発弾処理に伴う名古屋市営地下鉄の運休は、これにて終了。普段通りの地下鉄運行へ戻りました。
大都市中心部でありながら、大きなトラブル無く終わった計画運休。限られた設備の中で、可能な限りの輸送が行われました。
対応に追われた局員さんや、迅速な処理を行ってくださった自衛隊の方々にも、心より感謝したいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。