今日は近鉄特急で大和八木駅にやってきました。
ここ奈良県橿原市からは、全国的に有名な路線バスが発着しています。
駅前のバス停には『新宮駅』の文字が書かれています。新宮と言えば和歌山県の東側、海岸の街です。
今回は奈良県大和八木駅から和歌山県新宮駅まで至る日本最長の路線バス、八木新宮線に乗ってきました。
所要時間は6時間半、停留所の数は100以上。普通の路線バスに揺られることになります。
9:15、バスは大和八木駅を発車。
自動放送は多くの経由を放送し、途中3回の休憩があるということを案内していました。
そのため飲み物を飲んでしまっていても安心です。
次に停車するのは橿原市役所前になります。
奈良県庁を奈良市から橿原市へ移転させる動きもあり、県議では賛成の声が大きいです。
この橿原市には第一代の神武天皇が即位した畝傍山のふもとに建てられた橿原神宮があります。
その案内が見られましたが、その近くを通る訳ではありませんでした。
バスは大和高田市に入り、和歌山線を交差するように走っていきます。
このあたりはまだまだ市街地で、普通の利用者もそれなりにいらっしゃいます。
とは言ってもこの路線に乗りに来ました!という人が半分くらいでしたが(笑)
近鉄南大阪線の高田市駅前に到着、ここからも乗客が7人くらいいらっしゃいました。
沢山のロードサイト店舗が立ち並ぶ国道168号線を走ります。
奈良交通 葛城営業所に到着。
奥には沢山のバスが停車していて、バスが集まる場所なのだと感じさせられます。
近鉄御所駅のロータリーへ入り、山登りの装備をしている方もいらっしゃいました。
道路を挟んで反対側にはJR和歌山線の御所駅があります。
ここからいよいよこのバスは本領を発揮!
急激に路線バスは山をぐるぐると登っていき、五條市に入りました。
今度は田んぼの中を走っていったりと景色の変化が忙しいです。
五條市のイオンが見えてきました。この周辺の地域で大きなショッピングセンターになっています。
そんなイオンに併設されている五條バスセンターバスのりばに入り、ここで1回目の休憩です。
イオンに併設されたトイレを利用することになります。バスセンターには旅行会社なんかもありました。
20分の休憩を終え、再びバスは走り出します。
五條バスセンターを出発すると大通りから少し離れ、細い道に入りました。
これは和歌山線の五条駅の前に停車するため。実際にここから乗車する方もいらっしゃいます。
駅に入る細い道の角には不二家の店舗があり、店先に立っているペコちゃんが迷子みたいに見えました(笑)
山のふもとに建っている新しそうな五条病院へ入りました。地方の街では病院がバスの集約地になることが多く、このバスも病院で乗降する方が多くいらっしゃいます。
病院を出ると鉄道の橋っぽいもの見えてきました。
こちらは先程寄った和歌山線の五条駅から新宮駅を結ぶはずだった国鉄五新線の未成線です。
五新線は途中の坂本まで建設され、とりあえず坂本線として開業する予定だったそうですが、結局列車が走ることはありませんでした。
しかし鉄道は走る予定だった場所はバス専用道として転用され、この八木新宮線が走っていました。いわゆるBRTと言われるものです。
現在バス専用道を走ることはなくなり、現在はその跡の近くの一般道を並走します。
途中には非常に立派な橋が見られて、相当お金がかかっていそうです。
こちらは宗川橋梁と呼ばれる橋でした。
一方道路の方はかなりキツいヘヤピンカーブが連続していて、鉄道のほうが山を突っ切っている様子。
それにしてもよくバスがこんなにキツいカーブを走れるなぁと感心します。
バスは五新線ひとまずの終点になる予定だった坂本に入りました。
後ろを振り返ると坂本の直前にあった5000mものトンネルの出口が見られます。
せっかく作ったのに使われませんでしたが、現在は大阪大学のニュートリノの観測所となっているそうです。
五新線の建設がなされたのはここまで。右手には新しい橋が架けられているところでした。
ここからもずっと山の中を走って行きますが、中には新しく作られた立派な道路も見えてきます。
それにしてもよくこんなところに大きな橋を作れますよね。本当に建築ゲームの世界のようです。
ここからは十津川村に入ります。
十津川村と言うと2020年3月に廃止された札沼線の終着駅、新十津川駅が思い浮かぶ所です。
明治時代にこの周囲で氾濫が起こり、北海道へ移住した人々が作ったのが新十津川町だったのでした。
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元々このあたりは峡谷だったそうなのですが、現在ではご覧の通りかなり広くなっています。やはり自然の力は凄いですね。
そんな十津川村ですが、2011年にも台風による土砂崩れが発生しました。相当の被害が出たようで、やはりこのような山中の街は自然災害に対応するのが大変だなと感じます。
しばらくすると生活用吊橋としては日本一の吊橋、谷瀬の吊橋が見えてきました。
ここでは20分間の休憩、谷瀬の吊橋まで行って実際に渡ることもできます。
昔はトイレのためだけに最低限の休憩時間だったそうですが、観光要素が濃くなって延長されました。
この橋は一度に20人以上渡れないとのこと。そのため出入口には係の方がいらっしゃって、管理なさっていました。
いざ渡ってみるとかなり揺れることもあってスリル満点!
歩いていく木の板からも軽い音がしてきます。ぜひとも渡ってみて頂きたい所です。
ただし休憩時間は20分ですから途中で引き返したほうが良いかなと思います。
元々この川には沈下橋を掛けていたのですが、洪水の度に流されてしまっていたそう。そこで谷瀬の吊橋ができたわけですが、当時で800万円もかかったとのことです。
しかもそのお金はこの辺り一帯の方々が共同で1家20万円を出し合ったそうで、相当な金額を負担したんだなと伺えます。
吊橋近くにあった売店では目張り寿司を買ってきました。
中には菜っ葉が入っていて、シャキシャキした食感で美味しかったです。
再びバスは出発。
十津川にある風屋ダムを眺めながら橋を繰り返し渡ります。
十津川村役場では5人の利用者、コンクリートづくりの大きな庁舎です。
十津川の由来は都から遠いことや、10tの支流から流れることからつけられたと言われていると案内がありました。
川が蛇行してカーブするところに平地ができるものですから、そこに集落などができています。
そのうちのひとつ、十津川高校からは土曜日でしたが4,5人の生徒さんが乗車されました。
大和八木駅から4時間、十津川バスセンターで再び休憩です。十津川高校から乗られた生徒さんもここでお降りでした。
この辺りには十津川温泉があります。
ここには源泉かけ流しの足湯が設置されていました。
タオルも持っていなかったので手だけ濡らします。塩分を含んだ温泉のようで、乾いてくると確かに温泉の成分が残った感じがしました。
十津川バスセンターでは運転士さんが八木新宮線を乗り通される方に向けて記念乗車証をお配りになりました。
五條バスセンターで乗り通す人の人数を聞いていたのですが、こういうことだったのですね。
バスは少々横道にそれまして、ホテル昴に到着しました。乗車される方はいなかったものの観光バスが2台停まっていて、人気の場所のようです。
ついに奈良県十津川村から和歌山県田辺市に入りました。
和歌山県に入ると、今度は紀伊山地の参詣道を歩いている方々が所々でお乗りになることが多くなりました。
山を歩いてきた人からは土の香りがしてきます。
そういった方々は熊鈴をつけていて、険しい山道を歩いているのだなと分かる所です。
本宮大社前に到着。
この建物は和歌山県世界遺産センターです。非常に広い範囲の紀伊山地の霊場と参詣道、それを中心に分かりやすく解説されています。
熊野本宮大社は道路を挟んだところにあります。
気の多いしげる山に向かう参道が見られて、神秘的な雰囲気が感じられました。
今度は湯の峰温泉の温泉街です。日本最古の湯とされており、何と開湯1800年とのこと!
ここでは外国人観光客の方がお二人お乗りになっていました。コロナ禍ですらいらっしゃるのですから本来だったらもっと沢山の人で賑わうに違いありません。
ここからだんだんと眠くなってきました…。流石に朝早くから移動ばかりでしたから疲れていたのでしょう。
頭を窓にぶつけて眠りに落ちての繰り返しです。
目を覚ますと、いつの間にか新宮の街に入ってきました。さっきまであんなに山中だったのに不思議なもの。1時間くらい寝ていたみたいでした。
運賃表を見るとさすがは日本一の長距離路線バス、4ページにも渡って案内がされており、番号は109まであります。
最後まで乗り通すと運賃は5350円です。
路線バスで支払う金額には思えませんが、6時間半も乗っていてこの料金は相当安いと思います。
運賃を支払うときにはお疲れ様でしたと言われましたが、運転士さんのほうが遥かにお疲れのはずです。
確かに路線バスにずっと乗っているのは結構疲れるものです。しかし段々と街が変わっていく様子を感じられ、途中の休憩時間も楽しめたのは良かったです。
ぜひもう一度乗車し、今度は途中で降りていくのも楽しいだろうなと思います。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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