九州 JR

【ななつ星も停車】明治からの駅舎が残る嘉例川駅【九州一周10】

2020年6月28日

前回はかつて鹿児島本線と日豊本線の乗換駅であった、吉松駅を訪れました。

前回
【南九州の鉄道の要衝】かつてのターミナル駅 吉松駅を訪問【九州一周9】

  朝早くから都城駅を出発し、吉都線に乗車して吉松駅に到着しました。今回は吉松駅のご紹介です。 今となっては小さな駅となってしまった吉松駅ですが、かつては九州の中でもターミナル駅として機能し ...

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吉松駅から普通列車に乗車し、肥薩線で南へ向かいます。

 

今回ご紹介するのは、JR九州では一番注目されていると思われる嘉例川駅です。

山の中にあるこの駅、古い木造駅舎が残されている駅には地元の方々による愛情が大きく関わっています。

嘉例川駅に到着しました。

表面に苔の薄っすらと生えた駅名標からも大変風情が感じられます。

 

嘉例川駅周辺の観光地は高尾山上陵。

初代天皇である神武天皇の祖父とされる山幸彦のお墓です。

 

嘉例川駅は1903年に開業しました。

古めかしい木造駅舎は開業当初から残っている歴史あるものです。

 

そんな嘉例川駅が開業から100年となる2003年、周辺の住民の方々はJR九州に記念セレモニーをお願いしたそうです。

しかし、当時全く注目されていなかった小さな駅のためにセレモニーをしようとはならなかったようで、結局地元民で行うことになりました。

 

すると、1300人もの方々が集まり、盛大なセレモニーとなったのです。

これを受けてJR九州も注目し始め、翌年運行が開始されたはやとの風が嘉例川駅に停車することになりました。

 

さらに、ここを経由するルートのななつ星も停車するようになり、今では九州を代表すると言っても過言ではない駅です。

 

以前の吉松駅の記事でご紹介しましたが、肥薩線は元々鹿児島本線でした。

それによって貨物列車も運行されていたため、このような長いホームとなっています。現在でもななつ星が停車するので意味がないわけではありません。

肥薩線での貨物列車は運行が終了しているため、交換設備は無くなっていますが、廃ホームはきれいなままでした。

 

黄色がかった土壁に新しくかけられた真っ白な駅名標、レトロさが感じられます。

 

改札のラッチが残っているだけでも目新しく感じますが、金属ではなく木製です。明治時代からのものがそのまま残っています。

もう博物館級のものと言っても良いでしょう。

 

ホーム上屋の柱には木版に筆で書かれた駅名標。流石にかすれてしまっていますが、むしろ歴史を感じさせるものです。

 

奥にはホーロー駅名標もありますが、実は嘉例川駅にあった4枚ホーロー駅名標、かつて盗難に遭ったことがありました。

そこで、地元の方々がクラウドファンディングを立ち上げたところ、全国のから寄付金が寄せられたそう。

目標金額より多くの寄付金が集まったため、残金でミニ駅名標を作って、募金した方全員に配ったみたいです。

続いては駅舎内へ。

旧事務所の窓ガラスと言い、ベンチのすり減り方と言い、至るところから古さがにじみ出ています。

作った感じのレトロさではない、本物なのだとよく分かります。

 

この駅にはにゃん太郎という猫駅長さんがいらっしゃいます。2015年の11月頃から野良猫としてこの辺りに棲みついていたそうです。

ただ、高齢で療養中ということもあって、このときはいませんでした。

駅猫は多くの人に見られてストレスも溜まるでしょうからね…。特に撮影のときのフラッシュは控えなければなりません。

 

この嘉例川駅の駅前では『100年の旅物語 かれい川』という駅弁も販売されています。

販売されているのは土日祝の10:30頃からで、2日前までに予約すれば、はやとの風の社内で購入もできます。

残念ながらこの日は平日でしたので販売はいらっしゃいませんでした。

駅舎の隣には旧事務室があって、こちらも開放されています。

 

3月だったからか、立派な雛人形が置かれていました。

周辺の方々が置かれたのでしょうか?

 

昔使われていたであろう駅名板もきれいに保存されています。

それでは駅舎を見てみましょう。

瓦屋根に大きな軒からも荘厳な雰囲気があり、焦げ茶の壁からも昔からの趣深さが漂います。

山中にこの姿を残し続けて佇む姿は素晴らしいものです。

よく開業当初からの姿を留めていただけるものです。

 

猫駅長さんはいませんでしたが、野良猫はたくさんいました。

 

嘉例川駅は実は鹿児島空港駅の最寄り駅なのでここからバスも出ています。何だか意外な感じがしますけれど…。

 

近くの公園から嘉例川駅方面を見下ろしてみます。

もう少し遅ければ線路沿いには桜が満開になるはずです。

桜の中をキハ40がエンジン音を唸らせて走る姿なんて素晴らしいでしょうね。

 

この嘉例川駅がここまで保存されたのには、JR九州が観光を重要視する会社だったこと、そして地元民が駅舎を大事にすることが重なったのでしょう。

特に地元の方々の熱意が伝わったのが大きかったと思います。

 

駅舎は国の登録有形文化財に指定され、ホームに記念碑も建てられました。

これからずっと明治からの駅舎は多くの人々を出迎えてくれることでしょう。

 

全く退屈しなかった1時間の滞在、ここから肥薩線の北部へ向かいます。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

次回
スイッチバックにループ線に矢岳越え…。魅力が多すぎるいさぶろう・しんぺいに乗車【九州一周11】

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目次
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